イエローストーン国立公園

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世界遺産 イエローストーン
国立公園
アメリカ合衆国
Grand canyon of yellowstone.JPG
英名 Yellowstone National Park
仏名 Parc national de Yellowstone
面積 898,349 ha
登録区分 自然遺産
登録基準 (7), (8), (9), (10)
登録年 1978年
IUCN分類 II(国立公園)
公式サイト ユネスコ本部(英語)
使用方法表示

イエローストーン国立公園(イエローストーンこくりつこうえん、Yellowstone National Park)はアイダホ州モンタナ州、及びワイオミング州に位置するアメリカ合衆国国立公園である。イエローストーンは世界最古の国立公園であり[1]、ワイオミング州北西部を中心として3,470平方マイル(8,980平方km)にわたる。この国立公園は様々な間欠泉温泉地熱によるその他の見所で有名であり、グリズリーオオカミ、及びアメリカバイソンバッファロー)やワピチエルク)の群れが生息している。ここは地上に残された数少ない手付かずの巨大温帯生態系の一つであるイエローストーン圏生態系 (Greater Yellowstone Ecosystem) の中心になっている。

イエローストーン火山[編集]

一番下の円は1815年タンボラ山噴火。イエローストーンの噴火史の中では比較的小さいとされる64万年前の噴火でもこれよりはるかに大きい。

イエローストーン地区は北アメリカ大陸最大の火山地帯である。巨大カルデラの形成を伴う超巨大な噴火が約210万年前、約130万年前、約64万年前の計3回起こり[2]、それ以外にも小規模な噴火は約7万年前まで続いていた。現在でも地下には非常に大量のマグマが溜まっており、近い将来(数十万年以内)にまた破局噴火を起こす可能性が高いとされている。地下のマグマだまりのサイズは様々な研究の結果、ほぼイエローストーン国立公園全体の面積に等しい途方もない大きさであることが確認されている。最後の破局噴火は64万年前であるが、その噴火は比較的小さな噴火であったにも拘らず、セント・ヘレンズ山の1980年の噴火の1000倍のマグマが噴出し、火山灰の地層はメキシコ湾に達する範囲で観察されている。現在 マグマが噴出している場所はないが、地震が活発化しており、この10年間で公園全体が10cm以上隆起し、池が干上がったり、噴気が活発化するなど危険な兆候が観察され、新たに立ち入り禁止区域を設置したり、観測機器を増設したりしている。アメリカ地方紙デンバーポストは、米国地質監査局のリーズ地質科学者が、イエローストーン公園内の湖の底で高さ30m以上、直径600m以上の巨大な隆起を発見したと伝えている。

ユタ大学イエローストーン火山観測所のボブ・スミス所長によれば、超巨大噴火が起きた場合、イエローストーン国立公園は完全に消えてなくなるという[3]

イギリスの科学者によるシミュレーションでは、もし破局噴火が起きた場合、3〜4日内に大量の火山灰がヨーロッパ大陸に着き、米国の75%の土地の環境が変わり、火山から半径1000km以内に住む90%の人が火山灰で窒息死し、地球の年平均気温は10度下がり、その寒冷気候は6年から10年間続くとされている[1]

イエローストーン国立公園を乗せた北アメリカプレートは南西方向に一年間に約4センチメートル移動している。そのため南西方向にたくさんの噴火口跡ができている。最古の噴火口は1800万年前のものである。[4]

沿革[編集]

この地域と人との関りは1万2千年前にまで遡り、地域内の大峡谷周辺の鉄分を含む黄色い石の存在から、インディアン達に“Mitzi-a-dazi”(「黄色い石のある川」の意)として知られていた(黄色い色は一般に信じられている様に硫黄分の色ではなく、熱水作用によって変色した鉄分の色である)。

イエローストーン地区で産出される黒曜石は、一帯で狩猟していたインディアン達によって石鏃やナイフとして利用されていた。それらは遠くミシシッピ川周辺でも発見されており、イエローストーン周辺で生活していた部族と、はるか東方の部族との交易を示唆する物とされている。

1806年ルイス・アンド・クラーク探検隊を離れて猟師達に加わった元隊員のジョン・コルターが、非インディアンとして初めてこの地域を訪れたとされている。その後、クロウ族ブラックフット族の戦いに巻き込まれて負った重傷の床で、彼はこの地を「火と硫黄」の地であると述懐した。しかしこの記述は熱に冒されていたためのうわごとだと捉えられ、人々はその土地の事を「コルターの地獄」と呼んだ。

1857年にイエローストーン地区を探検したジム・ブリッジャー (Jim Bridger) は沸騰する泉や空高く飛び出す水、ガラスや黄色い石で出来た山の事を人々に話したが、ブリッジャーは法螺吹きとして通っていた為にほとんど信じてもらえなかった。しかし彼の話に興味を持った探険家兼地質学者のファーディナンド・ヘイデン (F.V. Hayden) は、1859年にブリッジャーとアメリカ陸軍測量官のレイノルズを伴って2年の予定でミズーリ川上流の測量の旅に出かけた。一行はイエローストーン地区の入り口まで達したが、豪雪のために先に進めなかった。更に南北戦争のために探検は中止を余儀なくされ、ヘイデンが探検を再開するのは11年後になる。

モンタナ州測量長官ヘンリー・ウォシュバーン (Henry Washburn) 率いる探検隊は、後にイエローストーン国立公園初代管理官となったナサニエル・ラングフォード (Nathaniel Langford) や陸軍派遣隊司令官グスタフ・ドーンと共に1870年に1ヶ月間イエローストーン地区を探検。地域の山などを名付け、標本を持ち帰った。

1871年、ヘイデンは政府支援により大規模な2度目の探検隊を率いてイエローストーン地区に赴いた。ヘイデンはイエローストーンの総括報告書をまとめ、その中にはウィリアム・ヘンリー・ジャクソン (William Henry Jackson) による写真や、トーマス・モラン (Thomas Moran) による絵が含まれていた。このレポートによって議会はイエローストーン地区をオークションにかけて売却する案を変更し、1872年3月1日ユリシーズ・グラント大統領はイエローストーン国立公園を設立する法案に署名した。

1872年に世界で最初の国立公園として指定される。1978年世界遺産に登録された[1]

隣接する保留地(Reservation)を持つショーショーニー族バンノック族などは、伝統文化としてのバッファロー狩りを19世紀末に合衆国政府から禁止されてきたが、長年の要求運動によって1990年代に狩猟権を回復し、現在、イエローストーン内でのバッファロー狩りを年に数度行っている。

20世紀前半に平原オオカミが白人牧場主による組織的な駆除によって絶滅し、公園内の生態系のバランスが崩れていたが、周辺のインディアン部族の粘り強い復活請願が実り、1995年より人間の手で生態系への再導入が行われ、生態系の再構築に成功した。この再導入は違法であるという判決が一時下されたものの、控訴審でその判決が覆された。ネ・ペルセ族が要請を受け、オオカミの管理育成にあたっている。

地理[編集]

イエローストーン国立公園(濃緑・中央部)及び周辺の連邦政府所有地(薄緑)。

大きく5つの地域に区分できる

  • ガイザー・カントリー
  • マンモス・カントリー
    • テラスマウンテン
  • ルーズベルト・カントリー
    • タワー滝
  • キャニオン・カントリー
    • イエローストーン大峡谷
    • アッパー滝とロウアー滝
    • ノースリム
  • レイク・カントリー
    • イエローストーン・レイク

自然[編集]

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  • ケーブ・フォール (Cave Falls 35ft/11m)
  • デュナンダ・フォール (Dunanda Falls 110ft/36m)
  • ケィゼル・フォール (Quzel Falls 235ft/72m)
  • コロネード・フォール (Colonnade Falls 100ft/30m)
  • ファイアホール・フォール (Firehole Falls)
  • ムース・フォール (Moose Falls)
  • ルイス・フォール (Lewis Falls 29ft/9m)
  • ユニオン・フォール (Union Falls 260ft/79m)
  • ミスティック・フォール (Mystic Falls)
  • フェアリー・フォール (Fairy Falls)
  • ギボン・フォール (Gibbon Falls 84ft/26m)
  • ウンディーネ・フォール (Undine Falls)
  • レイス・フォール (Wraith Falls)
  • タワー・フォール (Tower Fall)
  • ロワー・フォール (Lower Falls)
  • アッパー・フォール (Upper Falls)
  • ケプラー・フォール (Kepler Cascades)

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グランド・プリズマティック・スプリング。周辺の緑・黄・赤・オレンジの色は、湖 に生息するバクテリアによって作り出されている。中心部は高温の為バクテリアが生息できず、青色になっている。
グランド・プリズマティック・スプリング
  • ベリル・スプリング (Beryl Spring)
  • グランド・プリズマティック・スプリング (Grand Prismatic Spring)

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  • イエローストーン・レイク (Yellowstone Lake -400ft/-122m)
  • ショーショーニ・レイク (Shoshone Lake)
  • ルイス・レイク (Lewis Lake)
  • デルシオン・レイク (Delusion Lake)
  • リデル・レイク (Riddle Lake)
  • トレイル・レイク (Trail Lake)
  • エレノア・レイク (Eleanor Lake)
  • シーヴィン・レイク (Sylvan Lake)
  • トービッド・レイク (Turbid Lake)
  • フローティング・アイランド・レイク (Floating Island Lake)
  • ファントム・レイク (Phantom Lake)
  • カスケード・レイク (Cascade Lake)
  • グレーブ・レイク (Grebe Lake)
  • ウルフ・レイク (Wolf Lake)
  • アイス・レイク (Ice Lake)
  • ウィート・レイク (White Lake)
  • ビーチ・レイク (Beach Lake)
  • インディアン・ポンド (Indian Pond)
  • ハート・レイク (Heart Lake)
  • ビューラ・レイク (Beula Lake)
  • ヘリング・レイク (Hering Lake)
  • イサ・レイク (Isa Lake)
  • スコープ・レイク (Scaup Lake)
  • デ・レイシ・レイクス (De Lacy Lakes)
  • マラード・レイク (Mallard Lake)
  • グース・レイク (Goose Lake)
  • メリー・レイク (Mary Lake)
  • ニンフ・レイク (Nymph Lake)
  • ツイン・レイクス (Twin Lakes)
  • グリズリー・レイク (Grizzly Lake)
  • ビーヴァー・レイク (Beaver Lake)
  • スポーツマン・レイク (Sportsman Lake)
  • サミット・レイク (Summit Lake)
  • バーファロー・レイク (Buffalo Lake)
  • レンジャー・レイク (Ranger Lake)

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  • トゥーレット山 (Turret Mountain 11,063ft/3,351m)
  • テーブル山 (Table Mountain)
  • イーグル山 (Eagle Peak 11,358ft/3,462m)
  • コルター山 (Colter Peak 10,683ft/3,256m)
  • シュルツ山 (Mount Schurz 11,139ft/3,395m)
  • スティーヴンソン山 (Mount Stevenson 10,352ft/3,155m)
  • ドーン山 (Mount Doane 10,656ft/3,248m)
  • ラングフォード山 (Mount Langford 10,774ft/3,284m)
  • トップ・ノッチ山 (Top Notch Peak 10,238ft/3,121m)
  • ギズリー山 (Gizzly Peak 9,948ft/3,032m)
  • レシーヴェーション山 (Reseivation Peak 10,629ft/3,240m)
  • コービー山 (Coby Peak 10,267ft/3,129m)
  • アヴァランチ山 (Avalanche Peak 10,566ft/3,221m)
  • Pyramid Peak (10,497ft/3,199m)
  • Pelican Cone (9,643ft/2,939m)
  • Castor Peak (10,854ft/3,306m)
  • Pollux Peak (11,067ft/3,373m)
  • Saddle Mountain (10,670ft/3,252m)
  • Cache Mountain (9,596ft/2,925m)
  • Mount Norris (9,936ft/3,028m)
  • The Thunderer (10,554ft/3,217m)
  • Abiathar Peak (10,928ft/3,331m)
  • Prosect Peak
  • Overlook Mountain (9,321ft/2,841m)
  • Mount Sheridan (10,308ft/3,142m)
  • Mount Hancock (10,213ft/3,113m)
  • National Pake Mountain (7,500ft/2,286m)
  • Mount Holmes (10,336ft/3,150m)
  • Dome Mountain (9,894ft/3,016m)
  • Antler Peak (10,023ft/3,055m)
  • Obsidian Cliff (7,283ft/2,250m)
  • Sheepeater Cliff
  • Quadrant Mountain (9,944ft/3031m)
  • Little Quadrant Mountain (9,885ft/3,013m)
  • Bunsen Peak (8,564ft/2,610m)
  • Mount Everts (7,841ft/2,390m)
  • Electric Peak (10,969ft/3,343m)

[編集]

イエローストーン川本流とその支流には、カットスロートトラウト(Cutthroat trout)の固有亜種であるイエローストーン・カットスロートトラウト(Yellowstone cutthroat trout)が生息する。
スネーク川本流とその支流には、カットスロートトラウト(Cutthroat trout)の固有亜種であるスネークリバー・ファインスポッテド・カットスロートトラウト(Snake River fine-spotted cutthroat trout)が生息する。
  • Lamar River
  • Gibbon River
  • Lewis River
  • Firehole River
  • Madison River
  • Gallatin River
  • Little Firehole River
  • Bechler River

小川[編集]

  • Mountain Creek
  • Chipmunk Creek
  • Miller Creek
  • Cache Creek
  • Soda Butte Creek
  • Pebble Creek
  • Slough Creek
  • Blacktail Deer Creek
  • Tower Creek
  • Antelope Creek
  • Lava Creek
  • Pelican Creek
  • LeHardy Rapids
  • Chipmunk Creek
  • Grouse Creek
  • De Lacy Creek
  • Nez Perce Creek
  • Straight Creek
  • Winter Creek
  • Indian Creek
  • Panther Creek
  • Specimen Creek
  • Fan Creek
  • Grayling Creek
  • Gneiss Creek
  • Fairy Creek
  • Boundary Creek

登録基準[編集]

この世界遺産は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
  • (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
  • (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

この国立公園に由来する物[編集]

この国立公園を記念して「イエローストーン」と命名されたバーボンもある [5] 。 この銘柄は、他のバーボンよりも厚い木材で作った樽で熟成が行われており、禁酒法の時代には、医薬品として販売されていたことでも知られている [6]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

出典[編集]

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  1. ^ a b c d 映画『2012』の大災難は現実となるか スーパー火山が噴火周期に”. 大紀元 (2010年8月23日). 2012年9月10日閲覧。
  2. ^ 地底に眠る超巨大火山「スーパーボルケーノ」、地球を脅かす可能性 1/3”. CNN (2012年8月31日). 2012年9月10日閲覧。
  3. ^ 地底に眠る超巨大火山「スーパーボルケーノ」、地球を脅かす可能性 2/3”. CNN (2012年8月31日). 2012年9月10日閲覧。
  4. ^ 谷合稔著『たくさんの生命を育む地球の様々な謎を解き明かす!「地球科学」入門』ソフトバンククリエイティブ 2012年 63ページ
  5. ^ 橋口 孝司 『ウイスキー銘酒事典』 p.176 新星出版社 2001年3月25日発行 ISBN 4-405-09663-5
  6. ^ 橋口 孝司 『ウイスキー銘酒事典』 p.176 新星出版社 2001年3月25日発行 ISBN 4-405-09663-5