ウラジロナナカマド

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ウラジロナナカマド
朝露を浴びたウラジロナナカマド
中央アルプス 空木岳・2008年7月撮影
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : ナシ亜科 Maloideae
: ナナカマド属 Sorbus
: ウラジロナナカマド
S. matsumurana
学名
Sorbus matsumurana (Makino) Koehne (1901)[1]
和名
ウラジロナナカマド(裏白七竃)
下位分類群

品種

ウラジロナナカマド(裏白七竃[3]学名: Sorbus matsumurana)はバラ科ナナカマド属落葉低木高山植物和名の由来は、ナナカマドによく似ているが、葉の裏側が白いことから[4]

特徴[編集]

落葉広葉樹低木[4]。樹高は1 - 3メートル (m) になる[4]。根元から多数の細い幹を出して株立ちし、半球形の樹形になって群生するのが特徴[4]は帯紫色で、若枝にも毛がない。葉状の托葉があり、花時にも残存する。は互生し、長さ10 - 20センチメートル (cm) の奇数羽状複葉で、葉軸はふつう無毛。小葉は9 - 13個つき、長楕円形で、長さ2 - 6 cm、幅1 - 2 cm、先端は丸みを帯びた鈍頭[4]または鋭頭、基部は、頂小葉は切形から鈍形、側小葉は円形になる。葉縁の上半分に鋸歯があるが下部は全縁になる[4]の両面は無毛で光沢がなく、裏面は粉白色になる。秋には紅葉し、橙色から赤色に染まるが、色の変異が多く、時に黄色くなる個体もある[4]

花期は6 - 8月。枝先に複散房花序を直立させ、白色のを多数つける。は広い杯状で萼裂片の長さ1 - 2ミリメートル (mm) 。花弁は長さ5 - 6 mm、幅4 - 5 mmになり、広倒卵形からほぼ円形で平開し、5枚。雄蕊は15 - 20個、花柱は5個あり子房は中部以下で合着する。果期は9 - 10月。果実ナシ状果で長さ8 - 13 mm、幅7 - 10 mmの広楕円形になり、赤く熟し、果序は直立する。果実に皮目はなく、ふつう頂部に萼裂片が内曲して残る。種子は長さ4 - 5 mm、幅2 mmの卵状楕円形になる。果実は熟しても苦く、種子にアルカロイドが含まれ有毒。

分布と生育環境[編集]

日本固有種で、北海道本州中部地方以北に分布し、亜高山帯から高山帯の低木林や林縁に生育する[4]。ナナカマドがブナミズナラなどの森林地帯に生えるのに対して、本種は森林限界を超えた高山に生えるため、日本アルプス大雪山の紅葉でよく見られる樹種でもある[4]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月27日。ISBN 978-4-8299-0187-8 
  • 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本Ⅰ』(1989)平凡社
  • 茂木透、石井英美他『樹に咲く花(離弁花1) 山渓ハンディ図鑑3』(2000)山と溪谷社
  • 豊国秀夫『日本の高山植物 山溪カラー名鑑』(1988)山と溪谷社

関連項目[編集]