アメリカン・ピット・ブル・テリア
愛称 | ピット、ピットブル、APBT | |||||||||||||||
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原産地 | アメリカ | |||||||||||||||
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イヌ (Canis lupus familiaris) |
アメリカン・ピット・ブル・テリア(英語: American Pit Bull Terrier)とはアメリカ合衆国で改良された闘犬用の犬種である。通称はピットブル等で、アメリカン・ブル・テリア、スタッフォードシャー・テリアなどとも呼ばれる。噛む力が強く、攻撃的な性格で、人間を死亡させることもあるため、複数の国で輸入や飼育が禁止されている。
歴史
アメリカン・ピット・ブル・テリアは、1870年代にイギリスからアメリカ合衆国に輸入された闘犬用のスタッフォードシャー・ブル・テリアから作出された犬種である[1]。ブルドッグなどを厳選して交配し、四肢の長い大型の犬となった。1898年、同年に創設されたユナイテッド・ケネルクラブにより、犬種として公認された。
アメリカ合衆国では1900年に闘犬が禁止されたが、非合法な賭博を伴う闘犬は20世紀を通じて盛んに行われ、1990年代でも年間約1500頭のピット・ブル・テリアが闘犬により死亡したという[1]。その一方で、飼い主に対しては忠実であるところなどからコンパニオンドッグとしての人気もあり[1]、マーク・トウェイン、発明家のトーマス・エジソン、セオドア・ルーズベルト大統領、ヘレン・ケラーなどの著名人の愛犬であったことが知られる[要出典]。なお、ほぼ同じ容姿を持つアメリカン・スタッフォードシャー・テリアは、性格をより温厚にした犬種とされ、1936年にアメリカン・ケネルクラブに公認されている。
ピット・ブル・テリアは1980年代にイギリスに多く輸入されたが、人間に重傷を負わせる事故が多発したため、1991年に輸入・所有を禁止する「危険犬法」(Dangerous Dogs Act)が成立した。イギリスではこの法を回避して本犬種を飼うために、「アイリッシュ・スタッフォードシャー・ブル・テリア」といった名前で取引されることもある[2] 。
特徴
闘犬として育種されてきた犬種であるため、筋肉質で力が強く、身体能力は高い。必要運動量は膨大で、毎日2時間以上の運動を1~2回必要とする。
闘犬の一種であるため、突発的な攻撃性も含めて飼育者およびその家族の完全な制御下におく必要があり、犬の飼育初心者や興味本位で飼育するのは困難である。人間に重傷を負わせたり死亡させる事故も多発しており、米国疾病対策センター (CDC) の調査によると、1979-1998年の20年間における犬を起因とする人間死亡事故238件のうち、犬種別で1位(66件)に位置した[3]。また、同国の2012年時点の調査では、飼育されている犬にピット・ブルが占める割合が6%なのに対し、死亡事故原因の61%を占めた。被害者のうち半数は飼い主と家族、もしくは同居人である[4]。
その一方で、愛好家によれば、本来は我慢強く、飼い主に対しては忠誠心と服従心が強い性格であり、忠実なペットとなるという[1]。
なお、現在ピットブルはショー・タイプ、闘犬タイプ、ブリー・タイプの3タイプに細分化されつつある。また、ウェイトプルなどの競技(重量引き)に使用されている大型のタイプもあり、大きな個体では60キロを超えるものも存在する[要出典]。
法的制限
豪州[5]、エクアドル[6]、マレーシア[7]、ニュージーランド[8]、プエルトリコ[9]、シンガポール[10]、ベネズエラ[11]、デンマーク、フランス、ドイツ、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、ポルトガル、スペイン[12]では、犬種指定による法的規制が存在し、輸入と所有が禁止や制限されている[12][13]。豪州のニューサウスウェールズ州では強制的避妊を含む厳しい規制がある[14][15]。
米国でも市・郡によっては所有が禁止されている。カナダのオンタリオ州でも所有禁止[12][16]。英国では所有禁止4犬種のうちの一つ[17]。
2012年7月11日、北アイルランドのベルファスト市議会は、禁止規定に違反して飼育されていた7歳のピットブルの殺処分を行ったが、強い非難を浴びた。これには各国の愛犬家に加えて有名人や政治家など20万人が助命嘆願に署名していた[18]。
脚注
- ^ a b c d デズモンド・モリス著、福山英也監修『デズモンド・モリスの犬種事典』誠文堂新光社、2007年、301ページ
- ^ Daniel Foggo; Adam Lusher (2002年6月2日). “Trade in 'Irish' pit bulls flouts dog law”. The Daily Telegraph 2010年10月12日閲覧。
- ^ Breeds of dogs involved in fatal human attacksin the United States between 1979 and 1998 (PDF)
- ^ Pit Bull Attacks
- ^ “Customs (Prohibited Imports) Regulations 1956 No. 90, as amended – Schedule 1”. Commonwealth of Australia (2009年7月6日). 2009年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年7月18日閲覧。
- ^ “Ecuador descalifica a perros pit bull y rottweiler como mascotas” (Spanish). Ecuador: Diaro Hoy. (2009年2月4日) 2009年8月24日閲覧。
- ^ A.Hamid, Rashita (2012年5月9日). “Pit bull kills jogger”. The Star (Kuala Lumpur, Malaysia) 2012年5月9日閲覧。
- ^ “Dog Control Amendment Act of 2003”. New Zealand Department of Internal Affairs (2009年7月2日). 2009年8月2日閲覧。
- ^ “H.B. 595 (Law 198) – Approved July 23, 1998”. Puerto Rico Office of Legislative Services (1998年7月23日). 2009年8月4日閲覧。
- ^ AVA.gov.sg
- ^ “Venezuela restringe tenencia de perros Pit Bull” (Spanish). La Prensa (Managua, Nicaragua). (2010年1月6日) 2010年1月8日閲覧。
- ^ a b c Vancouver.ca
- ^ Dogbitelaw.com
- ^ Barlow, Karen (2005年5月3日). “NSW bans pit bull terrier breed”. Sydney, Australia: Australian Broadcasting Corporation 2009年12月23日閲覧。
- ^ Hughes, Gary (2009年10月20日). “Pit bull bite prompts call for national approach to dangerous dog breeds”. The Australian (Sydney, Australia) 2009年12月23日閲覧。
- ^ “Information on The Dog Owners' Liability Act and Public Safety Related to Dogs Statute Law Amendment Act, 2005”. Ministry of the Attorney General of Ontario. 2009年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年1月8日閲覧。
- ^ James, David (2006年9月29日). “Are dangerous dogs out of control?”. WalesOnline. 2010年10月13日閲覧。
- ^ “「禁止犬種」に指定の飼い犬、市が取り上げ殺処分 各国愛犬家から批判”. CNN (2012年7月12日). 2012年7月14日閲覧。