アメリカン・ピット・ブル・テリア

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アメリカン・ピット・ブル・テリア
アメリカン・ピット・ブル・テリア
愛称 ピット(Pit)、ピットブル(Pit Bull)、APBT
原産地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
特徴
体重 オス 15.8–27.2 kg (35–60 lb)
メス 13.6–22.6 kg (30–50 lb)
体高 オス 45–53 cm (18–21 in)
メス 43–50 cm (17–20 in)
外被 艶やかな短毛
毛色 全ての色と模様
出産数 5-10 匹
寿命 約 8-15 年
イヌ (Canis lupus familiaris)

アメリカン・ピット・ブル・テリア英語: American Pit Bull Terrier)とはアメリカ合衆国で改良された闘犬用の犬種である。通称はピットブル等で、アメリカン・ブル・テリア、スタッフォードシャー・テリアなどとも呼ばれる。

歴史[編集]

レッドノーズの子犬
成犬
断耳された個体

アメリカン・ピット・ブル・テリアは、1870年代イギリスからアメリカ合衆国に輸入された闘犬用のスタッフォードシャー・ブル・テリアから作出された犬種である[1]アメリカン・ブルドッグなどを厳選して交配し、四肢の長い大型の犬となった。1898年、同年に創設されたユナイテッド・ケネルクラブにより、犬種として公認された。

アメリカ合衆国では1900年に闘犬が禁止されたが、非合法な賭博を伴う闘犬は20世紀を通じて盛んに行われ、1990年代でも年間約1500頭のピット・ブル・テリアが闘犬により死亡したという[1]。その一方で、飼い主に対しては忠実であるところなどからコンパニオンドッグとしての人気もあり[1]マーク・トウェイン、発明家のトーマス・エジソンセオドア・ルーズベルト大統領、ヘレン・ケラーなどの著名人の愛犬であったことが知られる[要出典]。なお、ほぼ同じ容姿を持つアメリカン・スタッフォードシャー・テリアは、性格をより温厚にした犬種とされ、1936年アメリカン・ケネルクラブに公認されている。

ピット・ブル・テリアは1980年代にイギリスに多く輸入されたが、人間に重傷を負わせる事故が多発したため、1991年に輸入・所有を禁止する「危険犬法」(Dangerous Dogs Act)が成立した。イギリスではこの法を回避して本犬種を飼うために、「アイリッシュ・スタッフォードシャー・ブル・テリア」といった名前で取引されることもある[2]

特徴[編集]

筋肉質で力が強く、身体能力は高い。必要運動量は膨大で、毎日2時間以上の運動を1~2回必要とする。

闘犬の一種であるため、突発的な攻撃性も含めて飼育者およびその家族の完全な制御下におく必要があり、犬の飼育初心者や興味本位で飼育するのは困難である。米国疾病対策センター (CDC) の調査によると、1979-1998年の20年間における犬を原因とする人間死亡事故238件のうち、犬種別で1位(66件)に位置した[3]。また、同国の2012年時点の調査では、飼育犬中の占有率が6%なのに対し、死亡事故原因の61%を占めた。被害者のうち半数は飼い主と家族、もしくは同居人である[4]

我慢強く、飼い主に対しては忠誠心と服従心が強い性格であり、忠実なペットにもなるという意見もある。

なお、現在ピットブルはショー・タイプ、闘犬タイプ、ブリー・タイプの3タイプに細分化されつつある。また、ウェイトプルなどの競技(重量引き)に使用されている大型のタイプもあり、大きな個体では60キロを超えるものも存在する[要出典]

法的制限[編集]

豪州[5]エクアドル[6]マレーシア[7]、ニュージーランド[8]、プエルトリコ[9]、シンガポール[10]ベネズエラ[11]、デンマーク、フランス、ドイツ、ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、ポルトガル、スペイン[12]では、犬種指定による法的規制が存在し、輸入と所有が禁止や制限されている[12][13]。豪州のニューサウスウェールズ州では強制的避妊を含む厳しい規制がある[14][15]

米国でも市・郡によっては所有が禁止されている。カナダのオンタリオ州でも所有禁止[12][16]。英国では所有禁止4犬種のうちの一つ[17]

2012年7月11日、北アイルランドベルファスト市議会は、禁止規定に違反して飼育されていた7歳のピットブルの殺処分を行ったが、強い非難を浴びた。これには各国の愛犬家に加えて有名人や政治家など20万人が助命嘆願に署名していた[18]

日本国内での飼育[編集]

日本国内の飼育は禁止されていないが、茨城県の「茨城県動物の愛護及び管理に関する条例」および施行規則で特定犬に指定され、飼育にあたっては特定犬と書かれた標識を入り口に表示することと檻の中での飼育が定められている。咬傷事故はこれまで数件確認されており、飼い主には責任を持った飼育としつけが求められている。

  • 2020年5月15日、千葉県銚子市で闘犬として敷地内で放し飼いをされていたピットブルが逃げ出し、200m離れた民家に侵入し住人の女性とトイ・プードルに噛みついた。女性は全治40日の重傷を負い、トイ・プードルは死んだという。千葉県警銚子署は7月6日に、県動物愛護条例違反や過失傷害などの疑いで飼い主を書類送検した。ブリーダーから譲り受けた際に狂犬病の予防接種を受けさせておらず、狂犬病予防法違反容疑でも書類送検している。咬まれた女性に狂犬病の症状は無く、犬はブリーダーに返された[19][20][21]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c デズモンド・モリス著、福山英也監修『デズモンド・モリスの犬種事典』誠文堂新光社、2007年、301ページ
  2. ^ Daniel Foggo; Adam Lusher (2002年6月2日). “Trade in 'Irish' pit bulls flouts dog law”. The Daily Telegraph. http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/1396088/Trade-in-Irish-pit-bulls-flouts-dog-law.html 2010年10月12日閲覧。 
  3. ^ Breeds of dogs involved in fatal human attacksin the United States between 1979 and 1998 (PDF)
  4. ^ Pit Bull Attacks
  5. ^ Customs (Prohibited Imports) Regulations 1956 No. 90, as amended – Schedule 1”. Commonwealth of Australia (2009年7月6日). 2009年6月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年7月18日閲覧。
  6. ^ “Ecuador descalifica a perros pit bull y rottweiler como mascotas” (Spanish). Ecuador: Diaro Hoy. (2009年2月4日). http://www.hoy.com.ec/noticias-ecuador/ecuador-descalifica-a-perros-pit-bull-y-rottweiler-como-mascotas-332398.html 2009年8月24日閲覧。 
  7. ^ A.Hamid, Rashita (2012年5月9日). “Pit bull kills jogger”. The Star (Kuala Lumpur, Malaysia). http://thestar.com.my/news/story.asp?file=/2012/5/9/nation/11255532&sec=nation 2012年5月9日閲覧。 
  8. ^ Dog Control Amendment Act of 2003”. New Zealand Department of Internal Affairs (2009年7月2日). 2009年8月2日閲覧。
  9. ^ H.B. 595 (Law 198) – Approved July 23, 1998”. Puerto Rico Office of Legislative Services (1998年7月23日). 2009年8月4日閲覧。
  10. ^ AVA.gov.sg
  11. ^ “Venezuela restringe tenencia de perros Pit Bull” (Spanish). La Prensa (Managua, Nicaragua). (2010年1月6日). http://www.laprensa.com.ni/2010/01/06/internacionales/12316 2010年1月8日閲覧。 
  12. ^ a b c Vancouver.ca
  13. ^ Dogbitelaw.com
  14. ^ Barlow, Karen (2005年5月3日). “NSW bans pit bull terrier breed”. Sydney, Australia: Australian Broadcasting Corporation. http://www.abc.net.au/pm/content/2005/s1359018.htm 2009年12月23日閲覧。 
  15. ^ Hughes, Gary (2009年10月20日). “Pit bull bite prompts call for national approach to dangerous dog breeds”. The Australian (Sydney, Australia). http://www.theaustralian.com.au/news/pit-bull-bite-prompts-call-for-national-approach-to-dangerous-dog-breeds/story-e6frg6of-1225788552051 2009年12月23日閲覧。 
  16. ^ Information on The Dog Owners' Liability Act and Public Safety Related to Dogs Statute Law Amendment Act, 2005”. Ministry of the Attorney General of Ontario. 2009年12月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年1月8日閲覧。
  17. ^ James, David (2006年9月29日). “Are dangerous dogs out of control?”. WalesOnline. 2010年10月13日閲覧。
  18. ^ 「禁止犬種」に指定の飼い犬、市が取り上げ殺処分 各国愛犬家から批判”. CNN (2012年7月12日). 2012年7月14日閲覧。
  19. ^ 闘犬種にかまれた女性が全治40日 飼い主を書類送検:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル(2020年7月6日). 2020年7月6日閲覧。
  20. ^ 日本放送協会. “大型犬 女性にかみつき大けが 飼い主を書類送検 千葉 銚子”. NHKニュース(2020年7月6日). 2020年7月6日閲覧。
  21. ^ 女性が闘犬にかまれ重傷 抱いていた愛犬も死ぬ 放し飼いの男を書類送検 千葉” (日本語). ライブドアニュース(2020年7月6日). 2020年7月6日閲覧。

関連項目[編集]