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におい

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においは、空気中を漂ってきて嗅覚を刺激するもの[1]

表記

旧仮名遣いはにほひ。

漢字では、良いにおいを匂い、悪いにおいを臭いと書く。ただし「匂」は当用漢字ではなく、また国字である。例外として「くさいにおい」を臭い臭いでであるはなく「臭い匂い」と書くこともある。

よいにおい(匂い)はかおり(旧仮名 かほり)とも言い、漢字は香り薫り芳り(いずれも当用漢字だが「芳」は表外訓)などを当てる。

概説

嗅覚を刺激され人が感じる感覚、それが《におい》である。

近年の医学領域における様々な研究成果により、匂いは他のの感覚とは異なり、大脳辺縁系に直接届いていることが明らかになった。その大脳辺縁系は「情動系」とも呼ばれており、匂いは人間の本能や、特に感情と結びついた記憶と密接な関係がある、と指摘されている。つまり匂いはもっとも感情を刺激する感覚なのだとされているのである[2]

ただし、視覚的イメージ(視覚)、(聴覚)、味(味覚)などに比べると、匂い(嗅覚)というのは、論じられたり教育されたりする機会は比較的少ない。また、近年の日本では匂いが無いことがよしとされて、消臭グッズなどの売上が伸びている。このような、匂いを避けるという現象の背後には、匂いの抑圧があり、さらにその背後には、本能の抑圧や抑圧が潜んでいる、と鈴木隆は述べた[3][4]

にほひ、香り

においのなかでも、特に好ましいものは「香り」と呼びわけることがある。

においは人に生理的な影響を与えることがある。例えば、ジャスミンの匂い(香り)は心拍のパワースペクトルのLF成分を有意に増大させる、との研究もある。これはジャスミンの香りが副交感神経の活動増大させ(=交感神経を抑制し)精神性の負荷を減少させることを示唆している[5]

アロマテラピーは、主として花や木に由来する芳香成分の香りを活用し、ストレスを解消したり心身の健康の維持に役立つ、ともされる技術である。

最近では、さまざまな業種の、様々な企業がにおいを活用して、イメージアップや販売促進をはかろうとしている。こうしたことは10時間以上も香りを長続きさせる最新のにおい噴霧器が開発されたり、「禁煙を手助けする効果がある」とされたり「記憶力を高める効果がある」とされる《機能性アロマ》が開発されたことによる。ただし、人工的な香りが氾濫することによって、「日本人がもつ繊細な《香り文化》が失われつつあるのではないか」「自然のかすかなにおいを教える必要があるのではないか」という専門家の指摘もあるという[6]

臭い

いやなにおいは「臭」という漢字をあて、「臭い」と書く。

臭いの中でもとくに強い不快感をもたらすものを悪臭という。

人間の生活に関連した化学物質のにおい

比喩

視覚で捉えられる美しい色彩を「匂い」という。襲の色目のひとつ、上を濃く、下を薄くする配色。「匂い」。

微妙さをにおいと喩える。人の五感に喩えたとき、味や色よりもさらに微妙なもの。また、ある何かとの影響・痕跡・関連を示す、不定型な細部のこと。不定形な推測を働かせることを「嗅ぎつける」などと呼ぶこともある。

出典

  1. ^ デジタル大辞泉
  2. ^ 青木 孝志、足達 義則「ジャスミンの匂いが心拍変動に与える影響」(研究発表,第21回生命情報科学シンポジウム)
  3. ^ 鈴木隆『匂いのエロティシズム』集英社, 2002、ISBN 4087201295
  4. ^ 鈴木隆『匂いの身体論:体臭と無臭志向』八坂書房, 1998、4896944151
  5. ^ 青木 孝志、足達 義則「ジャスミンの匂いが心拍変動に与える影響」(研究発表,第21回生命情報科学シンポジウム)
  6. ^ NHKクローズアップ現代「広がる“においビジネス”

関連項目

関連文献

単行本

論文

外部リンク