かなとこ雲

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かなとこ雲
かなとこ雲
略記号 inc
雲形記号 CL9
変種 かなとこ雲
高度 地上付近~16,000 m
特徴 巨大、かなとこ状
降水の有無 あり
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かなとこ雲(かなとこぐも、Incus)とは、成長した積乱雲のうち、頂上部分が広がって平らになっているもの。

雲形分類では、部分的に特徴のある雲を細分類した「副変種」として扱われ、積乱雲だけに見られる。

金属加工などで用いる金床に形状が似ていることからこう呼ばれている。学術名"Incus"も、ラテン語で「金床」を意味する。ちなみに、耳小骨の1つである砧骨(きぬたこつ)も英語でIncusという。

巨大なかなとこ雲

てっぺんに毛羽立ったような雲がくっついている多毛雲とは似ているが異なる。ただ、かなとこは毛羽立ちの1種とみなされ、かなとこ雲は多毛雲に含められる。

積乱雲は発達するにつれ高く盛り上っていく。やがて、対流圏界面と呼ばれる面に達すると、雲はそれ以上上へと盛り上がることができず、横に広がってくる。対流圏界面はふつう高度17,000m(赤道付近の場合)~8,000m(極地の場合)で緯度が高いほど低くなるが、地域や季節によっても変化する。

対流圏界面よりも高い所にある成層圏に入ると、上空に行くほど気温が高くなっていく。これは大気の上下運動が起こりにくい状態である(成層安定な状態という)。このように成層圏では空気が上昇する事が難しいため、発達中の積乱雲の中に存在する上昇流は成層圏にはほとんど入り込めない。しかし下からは上昇流で続々と空気が供給されてくるため、行き場を失った空気は対流圏界面の下で横に広がるしかないのである。

一般的に、積乱雲がかなとこ雲になったということは発達が力強く続いていることを示しており、その下の雨風も強い傾向にある。ただ、かなとこ雲のてっぺんの横に広がる部分があまりに巨大化した場合は、そこから上昇気流が下降気流に転じて積乱雲の本体が弱まることもある。

出典

関連項目