KAPPA-ONE

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KAPPA-ONE(カッパ・ワン)またはKAPPA-ONE登龍門(カッパ・ワンとうりゅうもん)は、光文社による長編小説の公募新人発掘企画(新人賞)。2007年分の募集を最後に実質休止し、2014年より本格ミステリを対象とする後継の新人発掘企画カッパ・ツー(KAPPA-TWO、Kappa-II)が開始された。同企画についても本項で扱う。

概要[編集]

KAPPA-ONEのONEは、「Our New Entertainment」を意味する[1]

ジャンルを問わず、長編小説を募集する[1]。原稿枚数は、400字詰め原稿用紙換算で200枚以上1000枚以内[1]。毎年6月末日と12月末日が締め切り[1]。先に始まった講談社メフィスト賞と同じく、編集者が応募作を審査する[1]。プロ・アマは問わないという規定であり[1]、すでに書籍を刊行していた陰山琢磨大濱真対もKAPPA-ONEから作品を刊行している。

受賞作はすべて、光文社のカッパ・ノベルスから刊行された。

初回だけは純粋な公募ではなく、光文社文庫の公募アンソロジー『本格推理』に掲載されたことのあるアマチュア作家から4人(石持浅海林泰広東川篤哉加賀美雅之)が選出された。4人の書き下ろし長編は2002年4月にKAPPA-ONEの第一期として刊行された。この4作品はすべて推理小説だったが、KAPPA-ONE自体は推理小説の賞というわけではなく、その後推理小説を発表したのは相原大輔船越百恵詠坂雄二の3人だけである。KAPPA-ONEから刊行された14作品中、推理小説は半分の7作品である。

受賞者・受賞作品[編集]

受賞者 受賞作 推薦文 初刊 文庫化
第一期 石持浅海 アイルランドの薔薇 西澤保彦 2002年4月 2004年9月
林泰広 The unseen 見えない精霊 泡坂妻夫
東川篤哉 密室の鍵貸します 有栖川有栖 2006年2月
加賀美雅之 双月城の惨劇 二階堂黎人 2006年12月
第二期 相原大輔 首切り坂 若竹七海 2003年5月
浅田靖丸 幻神伝 菊地秀行 2003年6月
佐神良 S.I.B セーラーガール・イン・ブラッド 岩井志麻子 2003年7月
第三期 船越百恵 眼球蒐集家(アイボール コレクター) 三雲岳斗 2004年6月
陰山琢磨 蒼穹の槍 山田正紀
KAPPA-ONE 2005 大濱真対 異進化猟域 バグズ 牧野修 2005年5月
澤見彰 時を編む者 田中芳樹 2005年6月
KAPPA-ONE 2007 樹月弐夜 バロックライン 森福都 2007年2月
沖水幹生 ルナ 細谷正充 2007年2月
詠坂雄二 リロ・グラ・シスタ the little glass sister 綾辻行人 2007年8月 2013年12月

関連作品[編集]

カッパ・ツー[編集]

ジャーロ』No.52 2014 AUTUMN-WINTERにて開始が発表された。KAPPA-ONEとは異なり本格ミステリのみを対象とし[2]、毎年ではなく不定期に開催されている。原稿枚数は、400字詰め原稿用紙換算で250枚以上550枚以内[2]。選考委員はKAPPA-ONE出身者である東川篤哉石持浅海が務める[2]。受賞作は単行本にて刊行されている。

受賞者・受賞作品(カッパ・ツー)[編集]

期(結果発表年) 受賞者 受賞作 初刊 文庫化
第一期(2016年) 阿津川辰海[注 2] 名探偵は嘘をつかない[注 3] 2017年6月 2020年6月
第二期(2019年) 犬飼ねこそぎ 密室は御手の中 2021年7月
第三期(2023年) 真門浩平 バイバイ、サンタクロース 麻坂家の双子探偵[注 4] 2023年12月
信国遥[注 5] あなたに聞いて貰いたい七つの殺人 2024年4月

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 書籍自体にはKAPPA-ONEの作品だと記されていないが、光文社 【書籍】2009年6月新刊内の内容紹介で、「歴代「カッパワン」作品最強の作品、満を持して刊行!」とされている。
  2. ^ 「谷本秀一」より改名。
  3. ^ 『名探偵は噓を吐かない〜名探偵・阿久津透最後の事件』を改題。
  4. ^ 『麻坂家の双子喧嘩』を改題。
  5. ^ 「信国敦子」より改名。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f KAPPA-ONE<募集要項>”. 光文社. 2022年3月14日閲覧。
  2. ^ a b c 《公募》 新人発掘プロジェクト カッパ・ツー 応募要項 | ジャーロ | 光文社”. 光文社. 2022年3月11日閲覧。

関連項目[編集]

編集者が応募作を審査するという共通点を持つ新人賞

外部リンク[編集]