龍城温泉

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龍城温泉
外観 地図
所在地 愛知県岡崎市田町35
座標 北緯34度57分32.7秒 東経137度9分24.6秒 / 北緯34.959083度 東経137.156833度 / 34.959083; 137.156833座標: 北緯34度57分32.7秒 東経137度9分24.6秒 / 北緯34.959083度 東経137.156833度 / 34.959083; 137.156833
交通 名鉄名古屋本線岡崎公園前駅から徒歩
開業 1925年
廃業 2021年(休業)
建物の特徴
建築年 1925年
建築構造・様式 木造
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龍城温泉(たつきおんせん)は、愛知県岡崎市田町35にある銭湯公衆浴場)。1925年(大正14年)創業[1][2]。2021年(令和3年)4月から長期休業している[3]

歴史[編集]

煙突

創業[編集]

1925年(大正14年)に岡崎市田町に創業した[1]。同年の岡崎市には21軒の銭湯があったとされる。戦前の田町には劇場の龍城座があったが、龍城座は1940年(昭和15年)9月2日に幡豆郡西尾町(現・西尾市)に移築されて西尾劇場となった[4]。田町の南の板屋町には花街の龍城連があり、創業当初には龍城連の芸妓も龍城温泉を訪れた[3][5]

全盛期[編集]

豊橋市人参湯(にんじん湯)に勤務していた藤井公人は、1960年(昭和35年)に龍城温泉の経営を継いで3代目の経営者となった[3]。1963年(昭和38年)には藤井公人が三千代と結婚し、以後は夫妻で経営している[1][2]。特に盛況だったのは1965年(昭和40年)から1970年(昭和45年)頃であり、昼の13時から深夜1時頃まで長時間の営業を行っていた[3]

龍城連から流れてくる客、近隣の長屋に住む家族など、昭和40年代には一日に150人以上の客を集めた[2]高度経済成長期には宿泊施設の客の団体利用があり、第2次ベビーブームの際には家族で訪れる客も多かった[3]。1970年(昭和45年)頃の岡崎市には龍城温泉を含めて29軒の銭湯があった[6]。1982年(昭和57年)時点の岡崎市には龍城温泉を含めて20軒の銭湯があったが、岡崎市街地で伊賀川より西にあるのは龍城温泉のみだった[5]。同年時点では15時から23時30分まで営業しており、5日・15日・25日が休業日だった[5]

近年の動向[編集]

2010年(平成22年)には経営者の藤井公人が大病を患って入院したが、家族の支援もあって休まずに営業し続けた[6]。2013年(平成25年)時点の岡崎市には龍城温泉と伝馬通の花乃湯の2軒の銭湯があったが[6]、2015年(平成27年)10月30日には花乃湯が廃業し[7]、龍城温泉は岡崎市で唯一の銭湯となった[1]。2017年(平成29年)時点の三河地方には龍城温泉のほかに、豊橋市に3軒、碧南市に1軒、蒲郡市に1軒の計6軒があった[2]。同年時点では一日に約40人の客を集めていた[2]

2021年(令和3年)4月から、薪をくべる窯の不具合を理由に長期休業を余儀なくされている[3]。2022年(令和4年)1月には龍城温泉ファンクラブが設立され、3月には撮影会やリサイタルなどのイベントを開催した[3]。4月に龍城温泉の見学会を開催すると、見学会には東京や関西など遠方からも参加者が訪れた[3]

特徴[編集]

釜形ヘアドライヤーとマッサージ器

岡崎城の城下町にあり、入口は東海道に面している。2017年(平成29年)時点では客の大半が男性であり、女性は約1割に過ぎなかった[1]。近年には口コミによって若い客が増えている[1]。同年にはYouTuber東海オンエアが訪れている。

木製の脱衣箱には電気屋やうなぎ屋[2]、診療所やクリーニング店など[6]、昭和30年代の広告が描かれている[2]。往時の釜型ヘアドライヤーマッサージチェアは現在も使用されている[1]

浴室には中央部に大きな浴槽があり、奥には変わり湯とぬる湯の浴槽がある[1]。両壁には蛇口とシャワーがある洗い場がある[1]。薪で沸かしている湯の温度は熱めに設定している[1]。浴室の壁面にはピンク色や緑色などのタイルが貼られている[6]

利用案内[編集]

2017年時点
  • 入湯料 - 中学生以上380円、小学生150円、未就学児70円[1][2]
  • 営業時間 - 16時から21時[1][2]
  • 休業日 - 毎月5日・10日・15日・20日・25日・30日[1][2]
  • 駐車場 - 3台[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 大正14年創業の超レトロ銭湯「龍城温泉」の魅力 岡崎ルネサンス、2017年8月1日
  2. ^ a b c d e f g h i j 「はっくつ 新・三河遺産 21 龍城温泉」『中日新聞』2017年5月22日
  3. ^ a b c d e f g h 「龍城温泉」『RARE』RARE編集室、2022年5月号
  4. ^ 西尾劇場 港町キネマ通り
  5. ^ a b c 「岡崎の銭湯」『リバーシブル』1982年3月号、pp.13-28
  6. ^ a b c d e 「ぶらり三河 65 岡崎・2軒の銭湯 愛される街の社交場」『中日新聞』2013年4月21日
  7. ^ 「老舗の風呂屋 あとわずか 岡崎市の伝馬通り 『花乃湯』30日で閉店」『東海愛知新聞』2015年10月27日

外部リンク[編集]