軌道マヌーバ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
低い円軌道(青)から高い円軌道(赤)の円軌道への二重楕円遷移

軌道マヌーバ(Orbital maneuver)は、宇宙船軌道を変えるために推進システムを使用すること。太陽軌道のように地球から遠く離れた場所にいる宇宙船が行うものは、深宇宙マヌーバ(deep-space maneuver, DSM)と呼ばれる。

衝撃マヌーバ[編集]

衝撃マヌーバは一度で、そしてほぼ一瞬で宇宙船の速度を変えるものであるが、実際には小さい宇宙船でも質量があるため、真に一瞬で速度を変えることは不可能である。しかし、宇宙ミッションの計画の段階で、設計者はまず衝撃マヌーバを用いた宇宙船の軌道の変更を概算する。これにより、正しい軌道遷移を探す際の複雑さを大幅に減らすことができる。一瞬での速度の変更は、デルタブイと呼ばれる。ミッションに必要な全てのマヌーバのデルタブイの合計は、デルタブイバジェットと呼ばれる。デルタブイバジェットを正しく概算することにより、宇宙船のペイロードに必要な燃料を見積もることができる。

非衝撃マヌーバ[編集]

長い時間をかけて弱いスラストで宇宙船の速度を変えるものは非衝撃マヌーバと呼ばれる。オーベルト効果英語版により多くのエネルギーが失われて非効率であるが、小さな反応質量で大きなデルタブイを産まなければならない場合にはこの方法しかなく、低質量で大きな比推力のイオンエンジン等が用いられる。打ち上げには使えない。

有限燃焼軌道[編集]

ランデブー等の高い正確性が要求されるミッションでは、宇宙船やスラスタの詳細なモデルに基づいた計算が要求される。特に重要なのは、質量、重心、内部モーメント、スラスタの位置、スラスタのベクトル、スラスタの曲率、比推力、スラスタの重心、燃料組成である。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]