草鞋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
草鞋
草鞋と同じ稲藁の材料で作られた深靴(ふかぐつ)。(ゴム長靴が普及する以前に日本雪国庶民が使った。温度が十分低く、また稲藁が断熱材となり雪は解けずが浸み入ることもない。また断熱性の違いからゴム製長靴のように、足が冷えることが少ない。)
着用の様子

草鞋または(わらじ)は、稲藁で作られる日本の伝統的な履物の一つである。

同様に稲藁で作られる藁草履(わらぞうり)と混同され易いが、形状が若干異なる。

草履が現在のビーチサンダルに近い形状であるのに対し、草鞋は前部から長い「緒(お)」が出ており、これを側面の「乳(ち)」と呼ばれる小さな輪およびかかとから出る「かえし」と呼ばれる長い輪に通して足首に巻き、足の後部(アキレス腱)若しくは外側で縛るものである。

この形状から、草履に比べ足に密着するため、山歩きや長距離の歩行の際に非常に歩きやすいものとなっており、昔の旅の必需品であった。現在日常生活においては殆ど使用されなくなったが、祭り等の伝統行事における装束の一部として履かれるほか、沢登りなど一部用途においては柔軟で水中の苔の付着した岩でもグリップが利くことなどから、いまだ標準的装備とされており、多くの登山用品店で実用品として販売されている。ただし、基本的に使い捨てが前提の消耗品である上、アスファルトのような固い地面で使うことを想定されていないため、摩耗が著しく耐久性が期待できない点に注意が必要である。草鞋を長持ちさせるためにはすり足のような歩き方ではなく、しっかりした歩行が求められる。

舗装されている道がほとんど無かった時代では、土の地面を歩く事で藁の隙間に土が入り、それにより摩擦消耗が軽減されていたが、舗装されていない道を探す方が難しい現代においてはそういった効果は全く期待できず、むしろ舗装された固い地面を歩くとすぐに磨り減ってしまうので日常的な実用性は良くなくなってしまっている。

草鞋がほとんど使われなくなった現在においても、一人の人間が趣の異なる二つの仕事や責任を担う場合、「二足の草鞋を履く」と例えることがある[1]

また、長径30センチメートルほどの長円形の物体を指す形容詞として用いられることもあり、例えば大きな豚カツを「わらじトンカツ」と呼称して販売することもある。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 「二足の草鞋」三省堂提供「大辞林