放送禁止用語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

放送コード から転送)

放送禁止用語(ほうそうきんしようご)は、テレビ局ラジオ局といったマスメディアにおいて、公序良俗に反するなどの理由により、その使用を自主規制する言葉のこと。俗に放送コードに引っかかる言葉などともいう。

目次

[編集] 概要

放送通信と異なり、不特定多数に一斉に情報を伝達することを目的とするものである。このため、その社会的責任は重く、その内容には正確性に加え、中立で健全なものが求められる。当然、放送に用いる言葉はこれを阻害するものであってはならない。

国家の体制により違いはあるが、言論・表現の自由を認められた国であれば、概ね、公序良俗に反する、すなわち、差別的あるいは侮蔑的、卑猥犯罪を肯定しこれを模倣・助長させる意味などを持つ言葉などで、放送の中立性・健全性を阻害する、もしくはその恐れのあるものについて、「放送に用いるのに不適切な言葉」として「解釈」、規制の対象とし、放送に用いない、あるいは放送に用いることに一定の制限を設けるものとしている。しかし、その判断を行う主体などはまちまちで、それぞれの国の歴史的経緯などが反映され、法に「放送禁止用語」として定めている国もあれば、全く自主的なものとしている国もある。

日本では、戦前の放送の国家統制の結果の反省の上に立ち、放送の社会的責任、使命を自覚してそれを遂行することは、放送に対する国民の信頼を保持し、公権力の介入を排除して放送事業者の表現の自由を確保し、放送の自主性を貫くためにきわめて重要なことであるとされ、放送事業者は放送法の定めるところに従い、それぞれ、放送番組の憲法とも言うべき、番組基準(放送基準)を定め、各放送事業者の自己責任においてこれを運用する。この番組基準の下に「放送に用いるのに不適切な言葉」は取り扱われる。すなわちその判断は、放送局が自ら行い、自ら規制し、中立で健全な放送を維持するものであり、従って厳密には日本の放送において、放送禁止用語というものは存在せず、あくまでも番組基準の「解釈」の中に存在するものである。つまり、第三者によって「禁止」されるものではなく、放送局及び制作担当者の現場判断で放送に用いるか、あるいは「自粛」するかを決めるものであることから「放送自粛用語」とも言われている。

なお、言葉に限らず「表現」、すなわちひとつひとつの言葉は不適切なものではないが、これを組み合わせた「内容」が不適切なものとなるようなコメント、歌や映像なども規制の対象となる。過去、要注意歌謡曲なるものが存在したが、現在は廃止になっている。ただし、電波法に抵触し、放送事故をまねく内容を含むものについては今でも放送されないか、該当部分をカットして放送される。

「自主規制」であることから、第三者により規定された「放送禁止用語リスト」というものがあるわけではなく、テレビ・ラジオ業界ともに、それぞれの番組基準の解釈に従い、「使わない」から「使うのに注意を要する」の段階分けしたリストなどを作り、これに世論動向や番組の種類(教養、娯楽などの分類)、時間帯による視聴者、聴取者層の変化などの要素を加えて判断・規制を行っていることが多い。このため、例えば「使うのに注意を要する」の用語、あるいは表現を含んだものについては、時間帯・番組ジャンルなどによって視聴者、聴取者の年齢層などが異なることを考慮し、いわゆるゴールデンタイムでは駄目でも深夜帯では許されるものなどがある。

近年、「不適切」として放送しない言葉は少なくなってきており、後述のラジオ番組のように以前は使わなかった言葉を放送の趣旨や文脈の上から必要と判断し、大胆に使うケースもみられる。しかし一方で、 圧力団体等の過敏な反応を恐れたり、部落問題等のデリケートな話題に触れることを嫌い、デリケートな内容を含む番組の制作自体を見合わせる、医療系の教育番組で、コメントや患部の映像などをカット、あるいは修正するといった自主規制も増えている。

「言論・表現の自由」と「言論・表現による暴力」、流動する公序良俗の概念、さらに「言葉は生き物」であることから「放送に不適切な言葉や表現」の解釈等に関する論争は絶えず、場合によっては法廷闘争にまで至ることがある。古くは、アナウンサのアドリブ発言問題、最近では法曹の発言問題などがある。

[編集] 具体的な取り扱い

[編集] 通常番組など

番組収録中に該当する言葉が出演者から発せられた時は、編集でカットするか無音もしくは「ピー音」に換えて放送する。喘ぎ声や銃声、サイレンなどといったパターンもある。番組にもよるが、いわゆる口パクではなく口元にテロップ処理する場合もある。ただし、生放送では不適切な発言がそのまま放送されてしまうため、その後、司会者などが訂正もしくはお詫びのコメントを読む、あるいはテレビであれば、テロップにより訂正もしくはお詫びのコメントが出される。しかしながら放送の社会的責任の重さから、深刻なものについては、不適切な発言をした出演者を直ちに降板させたり、番組そのものを打ち切りとしなければならなくなる場合もある。これを防ぐため、アメリカなどでは生放送でも数秒~10秒の時差(ディレイ)をつけて放送(en:Broadcast delay)し、突発的な発言やパフォーマンスが出た時には、音声または映像をその場でカットするシステムが構築されている。日本でもショップチャンネルなど一部のチャンネルで同様のシステムが採用されている。また、例外として過去の『さんま&SMAP!美女と野獣のクリスマススペシャル』や『ムハハnoたかじん』などに司会者などがピー音で発言を隠す番組があった。

[編集] 映画古典落語など

編集によって作品性・芸術性が大きく損なわれる内容のものでは、その前後に「一部不適切な表現があるが、作品の芸術性を尊重しそのまま放送する。」などの断り書きを表示ないし告知した上で、該当部分を修正せず放送することがある。また、時代背景を表す上でその表現が不可避であると認められる場合にも同様の措置が取られることがある。

[編集] アニメーションなど

1970年代までに制作された古いアニメーションなどの再放送では、突如として会話が途切れることがある。具体的には、『巨人の星』における「俺の父ちゃんは日本一の日雇い人夫だ!」という星飛雄馬の台詞や『空手バカ一代』における「アボリジニの土人の酋長ウポルさん」という飛鳥拳の台詞などがある。

これは、制作された当時は問題にされなかった言葉や表現が、現在では使用を自粛すべきと判断され、そのシーンの音声を消して放送しているためである。前出の『巨人の星』と同じ梶原一騎原作(「高森朝雄」名義)で同時期に制作・放映された『あしたのジョー』についても、リクエストが多く、同様の扱いでCS放送などで幾度となく再放送されているが、フジテレビ721アニマックスで放映した際に「めっかち」・「脳タリン」・「きちがい」などの語句をことごとくカットした結果、作品として成立しなくなったとの批判を受ける結果となった。また、著作権の一種でもある著作者人格権との関連もあり、カートゥーンネットワークでは「原作者のオリジナリティを尊重し…」の注釈を入れた上で該当語句をノーカットで放映した。

また、近年制作されたアニメーションでも、一部のローカル局において、放送するのに問題があると判断され、該当部分の音声を消して放送するケースも見られた。(九州朝日放送でのBLACK LAGOONテレビ和歌山での魔法少女リリカルなのはStrikerS(第22話)など)[要出典]

[編集] 表現の自由との関わり

表現の自由も参照

差別糾弾を表面的に回避する手段の一つとして、商業メディアでは差別用語の言い換えが行われており、主にアメリカで行われているそれをポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)と呼ぶ。日本では、差別用語の一部もしくは全部の言い換えに反対する立場からこの差別用語の言い換えを言葉狩りとして批判する向きもある。

差別に反対する側からも「単なる言い換えでは現実を覆い隠すのみだ」とする批判もある。同様の批判は、英語圏でもポリティカル・コレクトネスに対して行われている。また、当然ながら単なる言い換えで意味するところは同じであるため、時期を経て言い換えた用語そのものが差別用語とされるようになることが多い。

ひとつひとつの言葉や表現には問題はなく、言論・表現の自由の範囲にあるものと判断され、自主規制の対象とならなかったものでも、結果として問題になるものがある。このような例で高度なものについては対応が困難であるのが現実である。最近の例では、ある法曹があるテレビ番組で刑事被告人の弁護人に対する懲戒請求を視聴者に呼びかけたことから、弁護人に対して懲戒請求が殺到、この弁護人より業務妨害として提訴され、一審で原告勝訴となる事態に至っている。また過去には逆に、アナウンサが余った放送時間を使ってアドリブで話した内容が、言論・表現の自由の範囲を逸脱しており、自主規制すべき内容であったとされて会社から懲戒処分を受けたことから提訴、原告勝訴となった例もある。


[編集] 過剰な自主規制

日本では前述のように『放送禁止用語はこの言葉とこの言葉…』等と規定されたものはなく、あくまでも放送局の判断により、言葉や表現に対して自主規制がなされているが、1980年代後半から1990年代初期にかけて、この自主規制が過剰に行われた時期と言われている。

この時期を象徴するような自粛例としては、「奴隷」、「下人」、「百姓」等の史実語を自粛したり、「狂った」という言葉に過剰反応して「時計が狂っていた」という台詞を消音、いわゆる「四つ(指)」とは全く無関係なちあきなおみの『四つのお願い』の放送自粛、子供の台詞「唖(おし)の振りをしていた」を「緘黙児(かんもくじ)の―」と修整する、さらには洋画の戦争ドラマの再放送では、敵が使った閃光弾について「目眩ましを使ってきた」という台詞を、「めくらまし」→「メクラまし」→メクラ=盲目と語呂があうので消音措置、といった病的とも言える過剰な自主規制が繰り返される有様であった。素人出演の生番組で、素人ゲストが職業を聞かれて「百姓です」と答えたところ、リポーターが慌てて「ちょっと不適切な表現があった」と釈明する場面もあった。また、景山民夫の回想では、「屯田兵」も一時自粛対象になっていた時期もあった。

また、制作したものをそのまま発売するのが普通であったビデオソフトなどについても、問題になりそうな台詞部分を消音・音声処理した上で発売するといったケースも増えた。

このような過剰な自主規制の動きの沈静化にはかなりの期間を要し、「常識的な範囲」にまで落ち着いたのは90年代中頃であった。

[編集] 例外的に禁止用語の発言をすることにした番組

TBSラジオBATTLE TALK RADIO アクセス』の2002年2月5日放送のテーマだった「井伏鱒二氏翻訳の『ドリトル先生』に差別表現で訂正要求。過去に書かれた名作での差別表現は変更したほうが良いと思いますか?」という内容のトーク内で、この発言で嫌な思いをしましたなどと説明するため、例外的に禁止用語を発言しても良いとして発言したことがある。なお、途中で何度も「今日の放送では、説明をするのに必要な場合に、通常では禁止用語になることを言いますが、誰かを差別しようという意図はありません」と説明がなされた。

フジテレビ系列でかつて放送された番組『北野ファンクラブ』のお下劣バンド亀有ブラザーズの替え歌は深夜放送ということもあり編集なしでそのまま毎週放送された。しかしTBS系列の昼2時からのワイドショー北野武の特集で亀有ブラザーズに関して取り上げた際には、替え歌の不適切な部分はすべてピー音で編集された状態で放送された。

[編集] 放送禁止用語として主に扱われる言葉

あいのこ
人間の場合は、「ハーフ」とも呼ばれる。物の場合は、「ミックス」・あるいは「ハイブリッド」という単語が使われる事が、近年では多い。
アカ
日本共産党党員および信奉者、さらに旧日本社会党とその流れをくむ社会民主党支持者・関係者を侮蔑する意味で使われる。保守論客は抗議を嫌い使用しないことが多い。
あきめくら
視覚障害の様態のひとつを示す言葉で、古い文学作品中にも登場することのある言葉であるが、今日、医学的にも正確性を欠き、概ね差別的、侮蔑的なものとしてとらえられることから使わない。なお、この言葉を使っている文章の場合、言葉のみの言い換えをしても、差別的、侮蔑的な意味が残り、そうとわかることが多く、たとえ文学作品であっても、この言葉が使われている文章部分を全てカットすることが多い。「あき」の部分を取った「めくら」についても、視覚障害の様態を示す目的の場合、それぞれの様態について正確な言葉があることから使わない。視覚障害の様態を示す目的以外の「めくら~」(固有名詞など)などについても慎重な取り扱いがなされる。
あばずれ
インチキ
特定の商品や人物、団体等を名指しにして使用する場合に限り、放送禁止扱いとなる場合がある。
インディアン
クリーブランド・インディアンスなどスポーツチームとしては問題にされないが、それ以外ではネイティブ・アメリカンと言わなければならない。「インド人」「インドの」を意味する英語表記と混同するため。
裏日本
元々は地理用語だが、侮蔑的な意味合いで使用されていたとの主張もある為。
売れ残り
30代後半以上の年齢で結婚歴のない人に対する差別用語とされているが、店頭で売れ残った商品についてはこの限りではない。また、ドラマのストーリー上、どうしても使わなければいけない場合も枠を外される。
エジプト人
エジプト・アラブ共和国の民族に対する侮辱あるいは差別と誤解されることから使用禁止となる。呼称はコプト人、アラブ人に言い換えられる。ただし古代エジプトの民族に関連する場合は問題ない。
エスキモー
北極圏に住む先住民族の呼称。森永乳業アイスクリームのブランドとして使用している。かつてはCMの最後に「by エスキモー」というフレーズを流していたが、殆ど使われていない時期があった。しかし、最近になって「エスキモー」という単語をCMなどで使うようになり、森永乳業の公式ホームページでは、「エスキモータウン」や eskimo.jp などのように使用されている。イヌイットまたはイヌイトと言い替えられていた事があるが、特定の部族を指す事などから現在では推奨されない。
えた非人
江戸時代、士農工商の下に置かれた身分。その部落差別問題は今でも深刻なため、放送禁止用語になっている。
(おし)
発話障害者に対する侮辱用語のため放送禁止用語となっている。ゴルゴ13の劇中の台詞が差し替えられているのはこういう事情から。
おまわり
警察官の侮蔑となるため。ただし「おまわりさん」をつけるのは問題ない。ただし、一部の映像作品で使用している例がある(アニメ『AKIRA』など)。
外人
外国人の略称として個人的な会話では日常茶飯事使われているが、公の場では「グループ外、縁もゆかりも無い人」が原義とされている。その代わりに、「外国人」や「(国家)人」を使っている。ただし、日本語が話せる外国人タレントが自分のことを指して「外人」と言うような場合には、カットされずにそのまま放送される場合がある。
片手落ち
本来は「片-手落ち」(片方のみ裁断される不当な手落ち)なのだが、「片手-落ち」と強引に曲解され、“身体障害者差別だ”と槍玉に挙げられる事が多い(但し、政治家が傷痍軍人の論敵に対し「肉体の片手落ちは、精神の片手落ち」と攻撃して、名誉毀損に問われた例がある)。NHK大河ドラマ『元禄繚乱』で「片落ち」と言い替えられた事から「言葉狩りだ」と非難の声もあった。
かたわ
身体障害者に対する侮辱用語とされている。
かったい
ハンセン病のらい腫(結節)が現れている人。地方では1950年代まで用いられていた。
気違い
精神障害者が回復期に「きちがい(気違い)」という語句をテレビなどで耳にすることにより、その回復が遅れる恐れが指摘されているため、放送禁止用語とされている。また米軍基地などの敷地外を意味する「基地外」が「気違い」に通じることから「基地の外」と言い換えられることが多い。
ぎっちょ
左利きの人に対する差別用語であることから禁止されている。ただし1990年代初め頃まではカットされずにそのまま放送されていたケースもあり、放送禁止扱いとなった時期は他の差別用語よりも比較的後発だったと考えられる。
キムチ
朝鮮民族に対する罵倒に限り放送禁止となる。「キムチ臭い」など。ダチョウ倶楽部は以前多人数のコント集団「キムチ倶楽部」として活動していたが、ソウルオリンピックなどの当時の社会情勢を考慮して現在のグループ名に改名した[1]
匈奴
暴力団関係の用語であるため。ただし土建など企業名としての「○○組」や幕末の新撰組、学校のクラスの「1組2組」や「○年A組」ならば問題ない。
黒ん坊
黒人、または「夏に日焼けした肌の子」。かつては海水浴場などで「黒ん坊大会」などと銘打ったイベントが開かれていた事もあったが、現在では単語そのものが使われていない。
毛唐
白人。西洋人。「毛」(頭髪)が「唐」(中国の王朝としての「」ではなく、東アジア以外のという意味合い)、つまり金髪・赤毛・栗毛の意味。
乞食
「現在の日本においては、生活保護が行き届いているために物乞いで生計を立てる人は理論的に存在しない。よってこれは死語であり、存在しないものを指す言葉は放送に用いるべきではない」という理論に基づく[2]。ただし『王子とこじき』という作品であれば問題なく、また軽犯罪法第1条22項でも「こじきをし、又はこじきをさせた者」と記載されているため、法令の条文や法律用語で使うのであれば問題はない。
小人(こびと)
背が低い人に対する侮辱用語であるため禁止されている。「チビ」も同様。
サツカン
警察官に対する侮辱用語の為、使用しない。同様の例に「ポリ公」や「マッポ」があるが、一部の漫画・アニメやドラマでは使用されていた(加瀬あつしの漫画「ポリ公マン」など)。また、雑誌Optionでは「K察」、「オマーリ」等の表現を使用していた時期がある。
ジプシー
移動型民族を指すが、エジプト人に対する侮辱あるいは差別と誤解されることから使用禁止となる。近年『DQ4』(スクウェア・エニックスロールプレイングゲーム)がPSDSでリメイクされた際、「ジプシーの姉妹」という台詞が「踊り子の姉妹」に変更されたのはそのため。太陽にほえろ!三田村邦彦がその呼び名で呼ばれているが、その当時は差別用語ではなかった。現在地上波ではジプシー刑事のシーンはカットされている。(ただし、CS放送では放送している。)ただし、ゲーム『ポケットモンスター』においては、ジプシージャグラーというトレーナーが登場するなど、必ずしも差別的な意味を含めるわけではない。
ジャップニップ
自国日本人に対しての差別用語であるため使用禁止。ただし、映画の性質上、演出での効果を求めたり宣伝として映画の内容を伝えるためにあえて使用するケースもあり、この場合においては例外となる。北野武監督作品「BROTHERの名シーン「ファッキンジャップくらいわかるよバカヤロウ」のセリフの部分がこれに当たる。
ジャパニーズアーミー
「日本軍」を意味する。海外において自衛隊に対して使う。自衛隊が諸外国から軍隊視されている事の表れ。戦力不保持を定めた第9条第2項との関係で、憲法上使われることが少ない。
ジュー
ユダヤ人に対する別称であり、同民族への侮蔑、ナチスヒトラー礼賛につながり、また、サイモン・ウィーゼンタール・センターからの強硬な抗議を受けることもあるため、ヨーロッパ等を中心に国際的な放送禁止用語とされている。
酋長
○○障害を持つ
NHKのみ「○○障害がある」に言い換える。
本来の意味で使われる場合は放送禁止用語には当たらない。
スチュワーデス
客室乗務員の女性を指すが、アメリカでの言い換えの風潮や、女性差別であると強硬に抗議を行う団体があるため使用禁止となった。フライトアテンダントと言い換えることが多い。「看護婦→看護師」「保母→保育士」に言い換えられたのと同様の問題。ただしこれらの用語は日本では必ずしも放送禁止というわけではなく、トーク番組などでは勢いを削がないために音声はカットせずそのまま流し、字幕で「キャビン(フライト)アテンダント」などと注釈表記する、といった配慮を取っている場合もある。
正室側室
皇室の制度上は現在も存在するが、男尊女卑の肯定が憚られる現在では事実上の放送禁止用語となっている。寛仁親王の側室発言は皇族という身分から社会的非難には至らなかったが、かわりに評判を落とすという代償を払っている。またある人[要出典]デヴィ・スカルノに対して使用したためグラスを投げつけられるという事件にまで展開したため、国際的な放送禁止用語とされている。
精神分裂病
かつては精神病患者の病名だったが、精神障害者対する侮辱あるいは差別と誤解されることから、現在では統合失調症と呼称しなければならない。しかしまれに該当病名を使用した本が発売されていることがある。
贅六(ぜいろく)
丁稚」を意味する「才六」の江戸訛りで、上方出身者に対する侮蔑語。現代でも愛知県以西(特に関西地方)の人間を侮辱する発言となるため事実上の禁止用語となっている。
せむし
この規制は世界的名作であるユーゴーノートルダム・ド・パリ』の別の邦訳『ノートルダムのせむし男』の題名が使用できない、などといった問題をかかえる。ディズニー映画は邦題を『ノートルダムの鐘』とした。また、日本国内向けに表示される英題も『The Hunchback of Notre Dame』(Hunchback=せむしの意)から『The Bells of Notre Dame』と変更されている。
台湾政府
1972年日中国交樹立以後、日本政府は台湾政府を認めていないため使用しない。また、代替語「台湾当局」と紛らわしくなるため使用しない。呼称は「台湾当局」で統一されている。
ダッチ
オランダの英称だが「ダッチマン」・「ダッチワイフ」など卑猥な意味で使用されていたという事情から放送禁止用語となる。近年レミー・ボンヤスキー(オランダのK-1選手)のリング・フレーズ「フライング・ダッチマン」が使用できなくなったのはこういう事情から。ただしダッチロールダッチオーブンは問題ない。
知恵遅れ
学力の低い人などに対する侮辱であるため。『落ちこぼれ』も同様。
チョン
朝鮮人の蔑称として使用する場合。
チャンコロ
中国人への蔑称であるため。
朝鮮
冷戦後の韓国に関連する場合に限る。日本統治時代の過去や北朝鮮が朝鮮を正式名称にしており、混同される可能性もあるため。「南朝鮮」・「南鮮」・「朝鮮民族」・「朝鮮語」など。ただし朝鮮日報や朝鮮ホテルなど固有名詞及び文化に関する記述であれば問題ない。
ちんば
通信制高校または定時制高校
「通信制高校に通う」のように使用。「通信制・定時制であること」をわざわざ伝える必要があるのか論議あり。
(つんぼ)
聾学校は2007年度より、盲学校・養護学校とあわせ特別支援学校
つんぼ桟敷
出稼ぎ
関東もしくは関西方面在住の東北出身者及び在日の日系外国人に対する差別用語とされている。
鉄砲撃ち
特殊部落
歴史的に部落差別問題を隠蔽する政治的な意図のある言葉で、通常は使わないが、部落差別問題を取り扱う内容の番組では、明確に、被差別部落の意味として用いることが多い。被差別部落に対し、歴史的にこの言葉が公権力の側ですら差別的に使われたため、本来、差別的意味のない「部落」までも差別的意味を持つ(被差別部落を連想させる)ととらえられるようになり、一時、全く使わなくなっていたが、部落差別問題に対し「寝た子を起こすな。」はむしろこれを助長する一因でもあり、言葉のみを規制しても問題の解決にはならないことから、今日、古いドキュメンタリー番組の再放送などではノーカットで放送されることもあるようになった。部落差別は根強く、現在でも多くの隠語を伴って続いていることから、今日ではむしろ、その隠語が問題で、普通に使う言葉が問題となることがある。例えば「川向こう」も被差別部落を示す隠語であり、現在でも使用しない場合がある。
土方(どかた)
土木・建築に従事する作業員等に対する差別用語として禁止されているが、姓としての土方(ひじかた)は問題ない。
ただし、現在はガテン系という言い回しがあるので、放送禁止に当たらないという場合もある。
床屋
江戸時代、売春を副業としていた店があったという俗説があるため。しかし内容によってはそのまま放送される場合も多い。
土人
かつてアイヌ民族、熱帯地区都市における地域住民に対して侮蔑する意味で使用されたため放送禁止用語となる。本来テレビで放送されることはない言葉であるが、かつて鈴木史朗がニュース番組で臨時ニュースの原稿を読む際、縦書きで「十一人」と書きなぐられた文字を見て「土人」と読んでしまうミスを犯したことがある。
原住民
台湾原住民は問題ない。
どもり
2005年放送の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』のトークで浜田雅功が発言。生放送ではなかったため音声は編集されていた。
トルコ
トルコ風呂」・「トルコ街」・「トルコ密集地」など、性産業に関連する場合に限り放送禁止になる。『戦国自衛隊』(秋田書店プレイコミック)が世界文化社によってリメイクされた際、劇中の台詞「川崎堀の内のトルコよく通ったもんだが」という台詞が「川崎堀の内のソープランドよく通ったもんだが」に変更されたのはそのため。もっとも、この作品が最初に発表された時代には「ソープランド」という言葉が存在していないが、そういった面での違和感はまったく考慮しないようである。現在法律上性風俗で「トルコ」とは用いられない。『嫌われ松子の一生』など、昭和後期の時代背景を重視した作品でまれに劇中で使われることがある。
奴隷
屯田兵
歴史関係の番組で単純な歴史用語(差別の意図はない使い方)として使われる事はまれにある。
日共
かつて日本共産党の略称だったが、現在は同党を侮辱する意味になってしまうため使用しない。略称は共産党・共産と呼称する。同種の語に、“中華民国こそ中国大陸の正統政府である”という立場からの中共(中国共産党)。なお、“ソ共”(ソビエト連邦共産党)は存在しない語句である。
バカチョン
バカでもチョンと押せば使えるという意味だったが、バカでもチョンでも使えるという意味となったという説による。本来はこのチョンは朝鮮民族を示していたものではない[要出典]。60年代から70年代に自動露出カメラが「バカチョン」または「バカチョン・カメラ」と呼ばれた。コンパクトカメラの頁も参照。
白痴(はくち)
かつては使用されていたが、精神障害者を侮辱した用語であるため現在は放送禁止用語である。大宅壮一テレビジョン批判として使用し流行らせた一億総白痴化はテレビ業界を侮辱した意味合いが強くテレビ業界においては「最放送禁止用語」されている。田原総一朗菅直人にテレビ番組で発言されて不快感を示したのが代表例。しかしまれにドストエフスキー坂口安吾の作品のタイトルに使われることがある。
番太
パンパン
性風俗関係者を侮辱する用語のため、使用しない。
非国民
戦中、戦争に反対する人を“政府に逆らう者”として罵る意味で使われた。ただし戦前の背景を重視した作品であればその限りではない。
びっこ
身体障害者に対する侮辱であるため。
中国語や朝鮮語[3]では、中央政府の行政機関として使う場合、省を意味する語だが日本語では中央省庁の組織の一部門を意味する表現で使用されているため。
新聞やNHKのニュース番組などでは部→省に言い換えられる(例:国防省、公安省など。外交部は丸ごと外務省になる)。
部落
東北地方などでは「村落」などと同様の意味で問題なく使用される単語だが、関西地方や九州地方など、いわゆる部落問題が顕在する地域においては差別用語と取られかねないため、放送禁止用語扱いとなっている。
浮浪者
北鮮
かつては(主に冷戦期)北朝鮮を示す地理用語だが、侮蔑的な意味合いで使用されていたため放送では使用禁止となり、死語となっている。
ポコペン
中国人への蔑称として使用された経緯があったため。『ケロロ軍曹』がテレビアニメ化された際、地球の事を「ペコポン」と変更したのはこういう事情による。
まんこ」など女性器の俗称
女性の性器。一般的に放送禁止用語の代名詞に近いほど広く知れ渡っている。成年コミックアダルトゲームでも、大抵「お○○こ」といった伏字にされている。松本明子が生放送で叫び、謹慎処分となる。(四文字言葉事件
AVやアダルトゲームでは製造元により聞こえないように編集するメーカーと、しないメーカーがいる。
同じ音である沖縄本島にある漫湖についてはイントネーションを変えたりテロップで表記することで対処しており、糸満港を「いとまんぎょこう(糸満漁港)」と言い換えられた例もある。
かつて、プロ野球の助っ人外国人選手としてロッテオリオンズに在籍したフランク・マンコビッチ選手が、登録時にフランク・マニーという登録名に変更させられたことがある。
九州地方の方言である「ぼぼ」については、猿の赤ちゃんを意味する飛騨地方の観光客のお土産のひとつ「さるぼぼ」もあるということからか、放送されることも多い。
○万個や○万戸は数量を表現することであるためか、禁止はされていなく、そのままの言い方をされている。
ロシアのヤキマンコ通りは禁止されておらず(同様にスイスのレマン湖も)、そのままの言い方をされている。
あのねのねの『つくばねの歌』のサビはレコード版では暈しつつも○ンコという歌詞があるため放送禁止の歌と言われた。
つボイノリオの『インカ帝国の成立』は、インカ帝国創設者とされる伝説の英雄マンコ・カパックの功績を讃えた歌であるけれども、ラジオ放送ではピー音が入れられた(すでに1970年代には歌詞が存在していたとされるが、2000年代まで未発表だったためいわゆる「放送禁止歌」を逃れた)。なお、限定版シングルでは、この自主規制バージョンが「学校放送向け」バージョンとして収録されている。
その他、例外として放送されたものとしては、「北野ファンクラブ」の替え歌コーナー「亀有ブラザーズ」などで、西城秀樹YOUNG MAN」の替え歌「コーマン」など業界用語風にひっくり返した呼称がカットされずに流された、「きらきらアフロ」で松嶋尚美が「万古焼」という漢字が読めずに「まんこやき」と連呼した、などのケースはあった。ただしDVD版では当該発言箇所にピー音が被せられている。
めっかち
めくら・盲目
視覚障害者への差別助長につながるとして。
しかし、「盲判(めくらばん)」などといった言葉は国会中継などで放送されてしまうケースもある。また、「鶴瓶上岡パペポTV」で、「国会中継での『盲判』という発言はなぜカット(言い換え)されないのか」という話題が出た際にも、トークの内容を伝えるために例外的にそのまま放送されたことがある。
盲縞
モーテル
自動車で旅行する人が泊まるホテルだが、日本ではラブホテルを指す卑猥な意味合いで使用されていたため、最近では使われていない用語となっている。
○○屋
商店やサービス業などの日銭が入る職業を軽蔑する者が使用していたため。問題視されるとは限らず、そのまま放送されることも多い。また「○○屋さん」をつければ問題にはならない。
テレビ朝日系で放送されたドラマ「菊次郎とさき」では、ドラマホームページおよび各放送のエンディングで『「塗装業」を「ペンキ屋」と表現するように、昭和30年代に一般的に使用されていた名称・呼称を使用しています』とのテロップを流した。
四つ(四つ指・四つ足)
部落関連+極道関係の用語であるため、動物としてのヨツユビリクガメは問題ない。
ルンペン
住所不定無職という(やや広義の)語を使用する。過去の一部のドラマ(『裸の大将放浪記』など)があまり再放送されないのはこのセリフが頻発するため。
ロンパリ

[編集] 英語での放送禁止用語

shit(=糞)
海外での放送禁止用語の代名詞的存在であり、俗に「Sワード」とも呼ばれる。
piss(=小便)
fuck(=性交、馬鹿)
「shit」同様有名な放送禁止用語で、俗に「Fワード」とも呼ばれる。
cuntpussy(=女性性器)
cocksucker(=フェラチオ、ホモセクシュアル、気違い)
motherfucker(=間抜け、見下げ果てた野郎。字義的には「母子相姦する奴」という意味の、キリスト教文化圏としては最悪の侮辱表現の一つ)
tits(=女の乳房)

※以上の7つは「The Seven Dirty Words」とも呼ばれている。


La puta(=売春婦)
アメリカのみでヒスパニックが住んでいるため、不適切な用語だから。『天空の城ラピュタ』のアメリカ版の英題が『Castle in the Sky』になっているのはこういう事情から。
Nigger(=黒ん坊)
黒人を侮蔑する放送禁止用語で、俗に「Nワード」とも呼ばれる。黒人の意味でBlackという単語を使うことも同様に禁忌される(当然ながら、一般的な黒色を表現するBlackは全く問題ない)。
なおアメリカ合衆国においては、楽曲においてこれらの用語が使用されている場合、放送の際にその部分のボーカル音をカット編集したり「ピー音」を入れたりする事が多い(特にクリア・チャンネル・コミュニケーションズ傘下のラジオ局においてこの傾向が強い。英語版ウィキペディア『en:KIIS-FM』にある「Editing」も参照のこと)。

[編集] 過去に放送禁止用語として扱われていた言葉

うんこなど大便関連
これは時と場合により禁止にされない場合もあるが、禁止されない場合でも、伏せ字にされたり「食事中の方々に迷惑を掛けた」という趣旨のお詫びが行われることが殆どである。
キンタマ(金玉) - 睾丸
放送時間帯などによって扱いは異なる。かつては青少年が視聴することの多いゴールデンタイムに禁じられていたが、1990年代以降は特に自主規制はなくなった。しかし、NHKでは「放送問題用語」の1つであり、また男性器そのものは現在も放送が禁止されている。放送すると電波法放送法に違反するため(ジャッカスの劇場版が放送できないのはこのため)。
ただし2007年12月31日に放送された第58回NHK紅白歌合戦では、紅組司会・中居正広と白組司会の笑福亭鶴瓶がショートコントをしていた冒頭場面において、笑福亭鶴瓶がSMAPが歌う曲の「弾丸ファイター」を「睾丸ファイター」と言い放った事例もある。ビートたけしはラジオ番組「ビートたけしのオールナイトニッポン」中では放送禁止用語を避けるために、業界用語風に逆から呼んで「タマキン」「コーマン」等を良く用いた。
(時計、コンピュータ等に対し)狂っている
ただし精神障害者に対して使うのは現在も放送禁止用語。
在所
関西部落の意味。被差別部落の意味合いも含む地域もあったが、実際は、一般的な部落、集落の意味合いでしかない。1969年にフォークソンググループ・赤い鳥が発売した『竹田の子守唄』の歌詞の中に含まれていたが、これが一部で被差別部落のことを歌った曲と見られ、長い間自粛された。1990年代以降は自粛はされなくなった。
将棋倒し
日本将棋連盟からの意見で、現在では使われることが少ない。
お灸をすえる
将棋倒しとほぼ同様の理由であり、こちらは鍼灸師の団体から意見が出された。
支那
英語の「CHINA」同様、を語源とする言葉。放送禁止でなくなった今、中国に批判的な人が使用することが多い。
  • 「支那料理」が問題となったために言い換えられた「中華料理」も、のちに槍玉に挙げられることがあり、中国料理と表記することがある。
  • また、ラーメンの具などに用いる「支那竹」もメンマに言い換えることがある。
  • 英語のChina(チャイナ)に対し、フランス語などでは「シ(ー)ナ」「キーナ」「ヒーナ」と発音されるので、使用するにあたっては問題ないのだが、放送局によっては使わないところもある。
  • 地理用語の東シナ海南シナ海はそのまま用いても問題がない。
セックス
かつては厳しく規制されていたが、バブル期以降はそのまま放送されることが常態化した(『東京ラブストーリー』の「カンチー、セックスしよう」など。ただし、この台詞のインパクトは大きかったといわれる)。常態化したのは、明石家さんまが、『H(えっち)』という言葉に言い換えたことによるところが大きい。NHKでは「放送問題用語」の1つに数えられるが、性教育や性関連の相談等、どうしても使わなければならない場合は枠を外される。
オナニー
自主規制用語ではないが、大便関連同様『オ○ニー』のように伏字にされる。また、ごく稀に『ONANY』と横文字表現にする事も。NHKでは「放送問題用語」であり、使うと永久出入り禁止となると言われる。
ちんちんなど男性器の俗称
女性器と違い、しばしばそのまま放送されている。ただしメディアではあまり使わないようにしており、中には修正を加えているものもある。特にNHKでは「放送問題用語」の1つに数えられておりその傾向が著しい。主に市内を走る路面電車のちんちん電車は枠を外される。
ドヤ
「いわゆるドヤ」という形で最近用いられることがある。
百姓
百の姓という意味で、何ら差別的な意味合いはない。国民(人民)が本来の意味。北宋時代の書物に『百家姓』というものがある。当時の中国における代表的な姓を集めたもので、の始祖である太祖・趙匡胤の姓で宋朝の国姓であるが最初に挙げられている。農家の人が自らこう呼ぶこともよくある。むしろ他人が呼び捨てにするのが“失礼”にあたる、というのが現在の見解で、「お百姓さん」と呼べば問題ない。「お巡りさん」も同様。
ヲタク(オタク)
岡田斗司夫1996年5月に発表した著書『ヲタク学入門』によると、この言葉は当時のNHKの「放送問題用語」に指定されていた。

[編集] 参考文献等

  • 放送ハンドブック 社団法人日本民間放送連盟編 東洋経済新報社

[編集] 脚注

[ヘルプ]
  1. ^ テレ朝チャンネルダチョ・リブレ第49回放送時にメンバーの上島竜兵が発言。
  2. ^ 景山民夫 『極楽TV』 新潮社、1990年6月。ISBN 978-4101102139
  3. ^ かつては北朝鮮でも使用していたが、1998年の社会主義憲法により部()から省()に変更された。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク