奇跡の詩人

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奇跡の詩人』(きせきのしじん)は、2002年4月28日NHKの『NHKスペシャル』で放送されたドキュメンタリー番組。正式名称は「奇跡の詩人 〜11歳 脳障害児のメッセージ〜」である。

重度の脳障害を抱えながら、文字盤を指すことによる執筆活動で、人々の反響をよんでいた少年(以下、全て当時)・日木流奈(ひき るな)をとりあげた番組である。

目次

[編集] 概要

1990年の出生時より先天性腹壁破裂を抱えて手術するも、低酸素性虚血性脳症の後遺症によって、脳障害を持つに至った少年・日木流奈をとりあげる。日木は3歳になった1993年より、障害の民間治療としてドーマン法人間能力開発研究所を興したグレン・ドーマンの考案によるためこの名がある)またはファシリテイティド・コミュニケーション(英:Facilitated communication、FC法。「ファシリテーティド」、「ファシリテイテッド」とも)と呼ばれるアメリカ発のリハビリ療法を受けており、文字盤にある文字を(母・千史の補助によって)指すことで、他の人とコミュニケーションをはかることを可能としている。

また、リハビリを毎日続けながら、その意志通達方法を使って執筆した詩が、書籍として出版。番組放送前の2002年3月まで講演活動も行い、多くの読者・聴衆に反響を与えた。重度障害児の少年がこのようなことを可能としたのは、ドーマン法の成果であると紹介された。

[編集] 問題点および視聴者の反応

番組内では、日木が指したい文字を母親が読み取り、それに応じた手の動きを感知して文字盤の上の文字を高速で読み取り、それを口述できるとされた。しかし、この番組を視聴した視聴者の間で、母親が日木の手を持って文字盤を指している場面で、文字を指す日木の手と、文字盤を持つ母親の手が同時に動いていること、また、日木があくびをしたり、よそ見や居眠りをしたりしている間も正確に文字盤を指しているなど、不自然な場面が多々見られるという指摘がなされ、「母親が少年の手を動かして文字盤を指させているのではないか」「ドーマン法は本当に効くのか」という疑問が沸き起こった。こうした経緯から、インターネットを中心にその内容の信憑性をめぐって議論になった。この疑問を巡っては『異議あり! 「奇跡の詩人」』という批判本も出版された。

また両親が、まだ言葉の理解できない乳児である妹に対し、日木に「優しく触ること」などといった決まりごとを設け、それを守らなかったためにその妹を、部屋から追い出す様子も放送された。この場面に対しても、視聴者の間では「児童虐待ではないか」と問題視された。

批判派は、これが事実であるかどうか確認するために「母親が目隠しして、日木に何かを書いた紙を見せ、その後に今見たものは何かを尋ねる」などの第三者による厳密な検証をすべきだと主張している。しかし、父・貴はこうした検証を拒否しており、事実であるか疑わしい。

番組に対して少なくない批判を受けたNHKは、特別に会見番組を放送するなどして「信憑性を否定する事実は無い」と広報し、番組内容に関する謝罪等は一切行わなかったが、番組制作当事者以外の専門家による意見や科学的な検証などは示さなかった。なおNHKは、この番組について、『NHKスペシャル』の番組で通常行われる再放送や海外での放送を取りやめた。日本小児科学会倫理委員会は、番組の中で紹介されているいくつかの治療方法に関して、医学的および科学的な見解から疑問を感じるとし、NHKに公開質問状を送ったが、やはり「番組作成者が間違いないと感じているので、間違いとは考えにくい」という弁明を受けた。

また、放送から数日後、講談社から日木著とされる『ひとが否定されないルール』が「NHKスペシャル大反響」の帯付きで発売され、NHKと講談社とのタイアップ疑惑も指摘された(これについてNHKは否定している)。

[編集] 釈明放送

同年5月11日放送の『土曜スタジオパーク』内で、番組製作責任者の山元修治チーフプロデューサーが「奇跡の詩人」についての説明を行った。少年が自分で文字盤を指しているように見えたので、事実であるとした。

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

  • 日木流奈『ひとが否定されないルール ―妹ソマにのこしたい世界』(講談社ISBN 4062113120
    問題にされた書籍。
  • 『異議あり! 「奇跡の詩人」』 (滝本太郎石井謙一郎共編著、同時代社ISBN 4886834752
    番組およびFC法に対する批判・反論。
  • 『と学会年鑑2002』 (と学会著、太田出版ISBN 4872336372
    巻末の第10回日本トンデモ本大賞選考(2001年8月18日開催)において、ノミネート外作品として『伝わるのは愛しかないから』(「奇跡の詩人」放送前に発表されていた日木流奈の著書)を紹介。
  • 『と学会年鑑BLUE』 (と学会著、太田出版) ISBN 4872337476
    と学会メンバーの藤倉珊が『伝わるのは愛しかないから』の内容を紹介。と学会例会で発表されたのは2001年で「奇跡の詩人」放送前であったため(『と学会年鑑BLUE』の出版は2003年)、付記で番組を批判。
  • 『ハインズ博士「超科学」をきる』 (テレンス・ハインズ著、井山弘幸訳、化学同人) ISBN 4-7598-0275-4
    15章「はびこるいかさま療法」の中で、ドーマン法の問題点や科学的間違いを指摘している。
  • 『SKEPTICAL INQUIRER』 May/June 2003,P.12-13(The `Miracle Poet` Case,SADAHIKO NAKAJIMA)
    アメリカ科学的懐疑主義雑誌に投稿された、日本人による番組の概要解説および内容批判の記事。
  • 『こっくりさんはなぜ当たるのか』(安斎育郎著、水曜社ISBN 4-88065-122-2

[編集] 外部リンク

以下は全てウェブアーカイヴより

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