国際バカロレア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国際バカロレア資格から転送)
移動: 案内検索

国際バカロレア(こくさいバカロレア、: International Baccalaureate)とは、1968年にできたスイスに本部をおく財団法人のことである(「IB」と略すことが多い)が、その財団の提供する教育プログラム及びその修了証明書(もしくはディプローマ)も指すようになってきた。もとは国際バカロレア機構(IBO)という名称であったが、2007年組織の再編に伴い現在の名称となった。国際バカロレアの2011年の営業利益は、1億3420万米ドル。理事長は、2014年からシヴァ・クマリ。 なお、1808年にナポレオンが作ったフランスのバカロレアなど主にフランス語圏で採用されているバカロレアとは関係なく、また国際バカロレアの修了証明書はバカロレアのような国家試験でも国家資格でもない。

教育課程[編集]

初等中等高等の教育課程それぞれについて一定の履修基準があり、課程修了時に修了試験を受ける。英語フランス語スペイン語を公式教授言語として定めている。教育言語だけでなく生徒の母語の履修が必修である点で[要出典]、国家が実施する教育課程とは異なる。たとえばアメリカン・スクールでは日本語は日本語を第一言語とする生徒にとって必修科目ではないが、他にも母語に相当する言語がない場合、IBでは原則として必修科目となる。科目は1から7のスケールで計算され、7が最高点となっている。

日本国内の認定校・候補校については、インターナショナル・スクールを参照のこと。

PYPからDPまでのいわゆる小・中・高一貫でバカロレア教育課程を提供しているのは日本国内で2校[1]

初等教育課程(PYP)[編集]

Primary Years Programme。6年間の教育課程が定められている。日本でのPYP実施校は2007年現在7校[2]

前期中等教育課程(MYP)[編集]

Middle Years Programme。5年間の教育課程が定められている。しかし後期中等教育機関への入学年次は各国ごとにばらつきがあるため、高等学校教育課程/Diploma Programmeほど普及していない[要出典]。日本では2007年現在、3校が実施している[2]。最近、東京学芸大学附属国際中等教育学校が実施を開始した。自由な発想から、自らの興味の持つ分野を調査しレポートを書き、そして場合によっては作品を創るPersonal Projectが存在する。日本の自由研究の様な位置づけにあるが、中には車のエンジンやパソコンのシステムを開発する生徒もいる。 MYPの成績は最良の7から最低の1の7段階評価によって行われる。MYPの成績は、IB Diplomaにおいて科目を選択する時にある程度の影響をもたらす。例えばIB DiplomaのMathematics HL(Math HL)は、MYPのMathematics Extended (Math Extended)を修了した生徒を対象としたものとする教師が多く存在し、またMath Extendedの成績でMath HLを選択出来るかを判断する。

後期中等教育課程(DP)[編集]

Diploma Programme。個々の国独自の教育制度に依存しないプログラムである。年齢的には、ほぼ日本の高等学校の課程に相当する。世界の著名な大学を含め、122か国以上、1764の学校で認められている。2年間の教育課程には、6つの選択科目、卒業論文(略称EE、en:Extended essay)、「知識の理論」(略称TOK、en:Theory of knowledge (IB course))、教科外活動(略称CAS、en:Creativity, action, service)が含まれる。また、各科目において必須提出課題"Internal Assessment"が存在し、最終成績に影響する。日本国内での2007年現在の実施校は10校[2]。試験の結果とInternal Assessmentの結果により、IBのディプロマが授与される。総合成績の合計の満点は45点であり、内訳は6つの教科で各7点、卒業論文・知識の理論についての論文の配分点が1点。教科では3点未満が不合格とされ、1教科でも不合格ならばディプロマは授与されない。最終試験"IB Exam"終了後、IB本部から結果が届き、IB総合点数が24以下であれば、IB Diplomaは授与されない。また、点数が24〜27の間の生徒ではHL科目の総合点が12点以上(4科目では16点)でSLの科目の総合点が9点以上でなければならない(HLを4科目選んだ場合は6点)。28点以上の生徒はHL科目の総合点が11点以上(4科目では14点)でSLの科目の総合点が8点以上でなければならない(HLを4科目選んだ場合は5点)。[3]

大学進学[編集]

日本国内の大学では254校前後(約1/3)がIBを入学資格として認定している[2][要出典]公立大学の場合、入学試験に際し、IBのほかに日本語能力試験も合わせて要求する学校が多い。一方、私立大学の入試等では、IBのみで受験資格とする学校も幾つかある。ディプロマ(後期中等教育課程修了証)を取得したものは、大学受験では他の学生よりアドバンテージをもらえる傾向がある。しかし一方で、各大学が独自の試験を設けているため、その独自試験よりもIBディプロマを重視する理由は大学側にはなく、よってアドバンテージになるとは限らないとの見方もある。

フランスは、公式教授言語フランス語の国であるが、国際バカロレアに何のアドバンテージも与えていない。他の国の資格と同様の扱いを受けるだけである。[4]

アメリカ、イギリス、カナダといった国の多くの大学ではIB Diplomaを卒業した生徒で、選択していた科目をHL(Higher Level)で修了し、さらにその成績が6以上の場合、大学初年度でその学科を受講しなくても単位を無条件で与えられる所がある。例えばカナダの名門大学・ブリティッシュコロンビア大学では数学のMathematics HLで6を取った場合、大学1年目では数学の授業に出る必要はなく、またその授業料を支払う必要も無い。しかし、この成績は大学によって変わるため、確認する事が必要である。

IB生徒の多くは、大学進学の前にPredicted Grade(予想修了成績)を学校の各科目の教師から受け取り、希望する大学に送る。アメリカの場合であれば、同時にSATACTといった、外部の試験を受けなくてはいけない。また、多くの大学は英語を第一言語としない生徒や、IB Diploma課程で英語をEnglish Bで習得している生徒にTOEFLのスコアを要求する。そして、そのPredicted Gradeと他のテストのスコアで内定が決まる。 内定にも二つあり、内定がPredicted GradeとSAT等のスコアで十分と見なされ確実となる物。もしくは最終試験(IB Exam)後に発表される修了成績によって合否を左右される物(Conditional)の二つがある。 日本の大学を受験するためには、このPredicted Gradeを送る他に、卒業後に各大学の試験を受ける事も出来る。その場合はIB Diplomaが授与されている事が条件である。

日本での展開[編集]

2012年6月1日現在、以下の24校がIBディプロマ認定校となっている[5]

学校名 所在地 認定資格
PYP MYP DP
学校教育法下で設置された学校
加藤学園暁秀中学校・高等学校 静岡県
玉川学園中学部・高等部 東京都
AICJ中学校・高等学校 広島県
立命館宇治中学校・高等学校 京都府
東京学芸大学附属国際中等教育学校 東京都
ぐんま国際アカデミー初等部・中等部・高等部 群馬県
インターナショナルスクールなど学校教育法の管轄外の学校
セント・メリーズ・インターナショナル・スクール 東京都
カナディアン・アカデミー 兵庫県
サンモール・インターナショナル・スクール 神奈川県
横浜インターナショナルスクール 神奈川県
清泉インターナショナル学園 東京都
関西学院大阪インターナショナルスクール 大阪府
K.インターナショナルスクール東京 東京都
広島インターナショナルスクール 広島県
東京インターナショナルスクール 東京都
神戸ドイツ学院 兵庫県
京都インターナショナルスクール 京都府
福岡インターナショナルスクール 福岡県
名古屋国際学園 愛知県
カナディアンインターナショナルスクール 東京都
沖縄インターナショナルスクール 沖縄県
つくばインターナショナルスクール 茨城県
同志社国際学院初等部・国際部 京都府
大阪YMCAインターナショナルスクール 大阪府

国のグローバル人材育成推進会議は2011年6月に、IB認定校かそれに準じた教育を行う高校を5年以内に200校程度に増やす目標を設定している。文部科学省は2012年度からモデル校を5校指定し、実践に乗り出す。 IB機構のアジアパシフィック地区(本部 シンガポール)において、東京インターナショナルスクール(東京・三田)代表の坪谷・ニュウエル・郁子氏が日本人初の理事に就任した。坪谷は、インターナショナルスクールだけでなく日本人のグローバル教育を推進するため、2013年4月から東京・中目黒において幼児・小学生児童向けの英語教育施設を設立する予定。

問題点[編集]

一般的に広く知られるカリキュラムであり、世界的に評価されている物である。しかし、豊富な科目数や科目間での難易度の差に置いての問題点を指摘する声もある。 例えば、科学(Science)で選択する科目は物理(Physics)化学(Chemistry)生物(Biology)環境情報(Environmental Systems)があるが、物理学の上級コース、Physics HLの合格率は、他のクラスと比べて低い。 数学には4つのクラスが存在し、難易度的に上からFurther Mathematics(学校によっては選択不可)、Mathematics HL、Mathematics SL、そしてMath Studiesとある。 学部にもよるが、一般的に大学はMathematics SLまでの就学を入学の必須条件としている。しかし、Mathematics SLとMathematics HLでは修了成績に大きく差があり、Mathematics HLで落第点(3以下)を取っていた生徒が、Mathematics SLで最高得点(7)を取る事も少なくない。 こうした選択科目間にある難易度の差、そして同学科においてもレベルによっての差によって、選択する科目によって生徒の成績は大きく変動するとみている。

  • 受験料、授業料が高いと言われている。政府が助成金を払う場合は、国の税金なのでその額も示すべきである。
  • 著名な出身者や有名大学への進学実績が公表されていない。
  • よく混同されるフランスのバカロレアは、基本的にもっているだけでフランスの大学に入学できる本当の「大学入学資格」であるが、「国際バカロレア」はプラス語学試験や、大学独自の試験などを課すところが多く「大学入学資格」とは言い難い。むしろ「国際的大学受験資格」である。
  • 国際バカロレア認定校が200校以上あるのは、アメリカとカナダのみ。100校以上ある国は、イギリス、オーストラリア、インド、メキシコを加えた6カ国のみ。一方、フランス11校、ドイツ59校、イタリア30校、スペイン74校と主要な国は、100校に全然及ばない。「英語圏大学受験資格」である。ちなみにスイスは、47校。(2014年4月9日時点、国際バカロレアのサイトより)
  • 教授言語は、英語、フランス語、スペイン語と言われるがスペイン(74校)、フランス(11校)と認定校が少ない。疑問に思われるかもしれないが、カナダ(336校)、メキシコ(101校)を見ると納得できる。つまり、カナダのフランス語、メキシコのスペイン語が多いということになる。あくまでも北米基準である。

脚注[編集]

  1. ^ International Baccalaureate:Find an IB World School
  2. ^ a b c d International Baccalaureate:Country Information for Japan
  3. ^ http://www.ibo.org/diploma/
  4. ^ フランス語版ウィキベディアより
  5. ^ 2. 国際バカロレアの認定校:文部科学省

関連項目[編集]

外部リンク[編集]