乱鴉の饗宴

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乱鴉の饗宴
A Feast for Crows
著者 ジョージ・R・R・マーティン
訳者 酒井昭伸
発行日 アメリカ合衆国の旗2005年
発行元 早川書房(日本語版)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語(日本語)
前作 剣嵐の大地
次作 A Dance with Dragons
公式サイト George R. R. Martin's Official Website
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乱鴉の饗宴』(らんあのきょうえん、A Feast for Crows)は、ジョージ・R・R・マーティン著のファンタジー小説シリーズである『氷と炎の歌』の第4部である。

もともとは第5部である "A Dance with Dragons" と合わせて一冊の本になる予定であったが、長大になりすぎたために二つに分けられた。第4部と第5部は時系列で前後半に分けられているのではなく、登場人物や場所によって二つに分けられており、第4部はおもに七王国における内戦を描く。

目次

あらすじへの手引き [編集]

氷と炎の歌』シリーズは、中世ヨーロッパを思い起こさせるが、魔法が実在し、ひとつの季節が何年も続く架空の世界を舞台とし、混乱の中にある帝国の玉座を巡る争いを追いかける。物語には三つの筋がある。ウェスタロス大陸における〈鉄の玉座〉を巡っての内戦、ウェスタロス北部の〈壁〉における極北からの侵略との戦い、そして東の大陸エッソスにおける、ターガリエン家の〈鉄の玉座〉復帰を目指す探求である。『乱鴉の饗宴』は第3部『剣嵐の大地』の出来事に続くものであり、第5部 "A Dance with Dragons" と並行して起きた出来事を語る。

あらすじ [編集]

本シリーズには岡部宏之による旧訳と、酒井昭伸による新訳が存在し、旧訳と新訳の間では多くの名称の日本語訳が変更されているため、以下においては新訳語を用い、最初に使用された箇所では括弧内に旧訳語を示す。『乱鴉の饗宴』は当初から酒井訳であり、新訳語を用いた版しか存在しない

〈五王の戦い〉は終わりを迎えようとしている。ロブ・スタークジョフリー・バラシオンレンリー・バラシオンそしてベイロン(バロン)・グレイジョイの4人が死去している。そしてスタニス(スタンニス)・バラシオン王〈壁〉の救援に去った。〈壁〉ではジョン・スノウが〈冥夜の守人〉(〈夜警団〉)の総帥(司令官)になっていた。ジョフリーの8歳の弟であるトメン(トンメン)・バラシオン王はその母であるサーセイ・ラニスター摂政太后(摂政女王)の監視のもとで王国を治めている。サーセイの父タイウィンは息子ティリオンによって殺され、ティリオンは王都から逃げ出している。この二人が消え去り、ジョフリーの殺人傾向の狂気と向き合わなくてもよくなった今、誰にも行動を制約されず、サーセイは七王国を治める事実上の女王となっている。権力を求めるため、サーセイは多くの男たちを裏切って死に至らしめていた。亡夫であるロバート・バラシオンエダード・スターク、ロブ・スターク、そしてジョフリーの狂気によって死に至らしめられた数々の罪なき人々である。ついにサーセイが権力の頂点に立ち、敵は四散した。だが、多くの人々を殺してまで権力を手にしたものの、権力を振う能力には欠けることが明らかになり、サーセイは自壊への悪循環にはまり始める。

一方、サンサ・スタークはいまだ谷間に隠れ住んでピーター・ベイリッシュ(ベーリッシュ)、またの名をリトルフィンガーに守られている。ピーターは妻のライサ(リサ)・アリンを密かに殺害し、〈谷間の守護者〉である八歳の君主ロバート・アリン公の守護代を自称している。

七王国において [編集]

キングズランディングにおいて [編集]

サーセイには、権力を掌握する陰謀の才があることはすぐに明らかになったが、一方で王国を日々運営する能力には欠けている。サーセイの統治を特徴づけるのは、無能ではあるが忠実な臣を集めて統治を強固にしようとする、極端なえこひいきである。さらに悪いことに、サーセイはタイレル(ティレル)家、とくにマージェリーへの不信の念を強める。マージェリーは婚儀の席でジョフリーが死んだ後、少年王トメンと結婚している。失踪した弟ティリオンによって子供たちと彼女自身が殺されるという予言を信じ、サーセイはアルコールへの依存度を深めていく。膨大な戦費の負債を抱え、ブレーヴォス(ブラーボス)の〈鉄の銀行〉への負債の支払いを拒否したため、ウェスタロスの経済を悲惨な状態に落とし込むような金融危機が訪れる。〈七神正教〉(〈七柱の神々〉の宗教)に対する王の借財を解決するため、サーセイは教団の軍事組織である〈戦士の子ら〉の復活を認める。サーセイはこれで一つの問題が解決しても新たな問題が生まれただけであることを見抜けず、教団は再武装することによって彼女の権威を受け入れる必要を感じないようになる。サーセイは、教団を使ってマージェリーを不貞の冤罪で裁判にかけようとするがうまく運ばず、教団の新任の指導者によってサーセイ自身が同様の(だが正当な)不貞の罪名によって投獄されてしまう。

リヴァーランドにおいて [編集]

サーセイの双子の弟でありかつては愛人でもあったジェイミー(ジェイム)リヴァーランドに旅し、当地に秩序と王権の支配を復活させようとする。ジェイミーはサーセイと疎遠となり、過去に犯した過ちが名誉を汚したと信じて、自らの名誉について考え始める。サーセイが不適当な騎士をエリート集団である〈王の盾〉 (近衛騎士団)に昇進させたため、ジェイミーは〈王の盾〉の状態を深く憂慮する。ラニスター家の権威に反抗する最後の砦であるリヴァーラン城攻めを無血で終えた後、王都に戻って決闘裁判で戦ってほしいというサーセイからの伝言を受け取る。しかしながら、ジェイミーはサーセイによる政治的な陰謀についても知ることになる。サーセイは、ロラス・タイレルが殺されることを望み、必要もないのに、ドラゴンストーンにおけるスタニス軍への攻撃を速やかに終結させるように命じていたのである。ドラゴンストーンの砦は大虐殺とともに陥落し、ロラスは煮え油によってひどい火傷を負いながら生き延びる。タイレル-ラニスター連合は崩壊しようとする。忠実な兵士たちをかくの如く無駄死にさせ、ロラスを勝手に裏切ったことで、ジェイミーの心の最後の砦は崩れ、サーセイの手紙を焼却して無視することになる。

タースのブライエニー(ブリエンヌ)はサンサを探してリヴァーランド中をさまよい、戦争が平民にもたらした破壊と悪行を目撃する。かつてティリオンの従士(従者)であったポドリック・ペインがついてくることに気づく。ポドリックが従士としての訓練を全く受けていないため、ブライエニーはその心得を教えることにし、毎晩打ち身と血豆を作って寝床に着かせると約束する。ブライエニーはまた、レンリー王が殺される前にブライエニーとともにいた騎士であるサー・ハイルと出会う。ブライエニーが王を殺してないと信じ、サー・ハイルはブライエニー、ポドリックそして”手器用のディック”と同行する。サー・ハイルはブライエニーが三人の無法者に対峙したとき、その戦いぶりを目にする。ブライエニーはまたタ―リー公(サムウェル・タ―リーの父)にも出会うが、サー・ハイルの高い評価にもかかわらず、ターリー公はブライエニーを見下し、侮辱する。ブライエニーは〈旗標なき兄弟団〉(〈旗のない結社〉)に囚われの身となり、〈石の心〉により死を宣告される。〈石の心〉は、かつてはブライエニーが仕えていたが、今は骸として蘇ったキャトリン(ケイトリン)・スタークである。キャトリンはブライエニーに裏切られたと誤解し、ジェイミー・ラニスターを見つけ出して殺せばブライエニーの命を助けると告げる。拒否したため、ブライエニーと仲間たちは吊るされるが、縄が首を締め付けた時、ブライエニーはある言葉を叫ぶ。

高巣城(アイリー)において [編集]

高巣城では、サンサがピーター・ベイリッシュの私生児アレインであることを装い、幼いロバート・アリンと親しくなって、偽の父親のために家を切りまわし、非公式に宮廷政治の訓練を受ける。この間、ピーターは自らが殺した妻の旗主(旗手)達を慎重に操り、不安定に思われた谷間の守護代の地位も安定に向かう。ピーターはロバートの世継ぎであるハロルド・ハーディングとサンサを婚約させたことを明らかにする。病気がちのロバートが死んだ時、サンサがその正体を公表し、谷間の勢力を背景にウィンターフェルへの生得の権利を主張できるようにするためである。

鉄諸島において [編集]

鉄諸島においては、誰が王としてベイロン・グレイジョイの跡を継ぐのかを決定するため、弟のエイロン・〈濡れ髪〉・グレイジョイ(エロン・〈湿り髪〉・グレイジョイ)が王を選ぶための集会を招集する。弟のヴィクタリオン・グレイジョイや娘のアシャ・グレイジョイとの激しい競争の末、追放されていた弟の〈鴉の眼〉ユーロン・グレイジョイが王に選ばれる。ドラゴンを意のままに使役し、鉄諸島人がウェスタロス全土を征服すると約束したためである。鉄諸島の戦隊は河間平野のマンダー川河口にある盾諸島を攻撃し占領して、ハイガーデン家を圧迫する。さらにユーロン王は、デナーリス(デーナリス)・ターガリエンに求婚するため、ヴィクタリオンを代理として東方に向かわせる。だが反逆の野心を持つヴィクタリオンは自らの妻として求婚することを謀る。

ドーンにおいて [編集]

ドーンでは、プリンス・ドーラン(ドラン)が、父オベリンの死に対する復讐を求める、〈砂蛇〉(〈砂の蛇たち〉)と呼ばれる、私生児の姪たちと対立する。〈砂蛇〉たちはドーンの〈赤い毒蛇〉と呼ばれた父が槍に毒を塗っていたことを知っているが、毒に侵されいずれは死ぬ運命にあるグレガー・クレゲインの首を受け取るだけでは鉾をおさめようとせず、戦争を望む。平民を扇動したことを理由にして、ドーランは〈砂蛇〉たちを監禁し、利用されないようにする。

ドーランの娘アリアン(アリアンヌ)・マーテルは〈王の盾〉のサー・アリス・オークハートを誘惑して、ドーンの法にのっとってミアセラ・バラシオンをウェスタロスの女王として即位させようとする。しかし弱い人間であると見下していた父ドーランによって挫折させられる。この試みの結果、ミアセラの顔には深い傷が残り、アリス・オークハートは死に、ラニスター家および〈鉄の玉座〉との同盟は危機に陥る。かつてドーランの妹エリアを暴行して殺したと認めた騎士グレガー・クレゲインの首を持って、〈王の盾〉の騎士がドーンに向かっている。ドーランはアリアンに、精妙な復讐の計画を長年にわたって温めていたこと、アリアンの弟クェンティンが〈炎と血〉を持ち帰るために東に向かっていることを漏らす。

東方において [編集]

サムウェル・ターリーは、〈冥夜の守人〉のメイスター(マイスター)となり、〈異形〉(〈異形人〉)についてのメイスターの知識を学ぶためにオールドタウンの〈知識の城〉(大城砦)に送られる。メイスター・エイモン(エーモン)、〈冥夜の守人〉の一員のダレオン、そして〈野人〉の女ジリとその息子とともに旅する。旅の間に、新任のスノウの決断と変革について疑問が浮かぶが、メイスター・エイモンはサムがスノウを総帥に押し上げた時に既に変革が起きていたのだと諭す。一行はブレーヴォスに着くが、エイモンが健康を害したために次の船に乗りそこない、ダレオンは使命を放棄する。この地で、知らぬままにサムはアリア・スタークである〈運河の猫〉に接近している。サム、エイモンそしてジリはオールドタウンへの船旅を再開する。だが航海中にエイモンは死に、サムとジリは恋仲となる。死ぬ前に、エイモンはデナーリスとそのドラゴンについて聞き及び、デナーリスが約束された人類の救世主であるがゆえに、〈知識の城〉はデナーリスを導くためにメイスターを派遣しなくてはならないとサムに語る。オールドタウンでサムは見習いとなり、メイスター・マーウィンはデナーリスを導くために旅立つ。

アリアは、ブレーヴォスにたどり着き、〈黒と白の館〉に落ち着く。これは〈顔のない男たち〉として知られる暗殺者と関係のある寺院である。アリアは見習いとなり、自己というものを持たない〈顔のない男たち〉の技と信仰を学ぼうとする。そのために、ジョンにもらった剣である〈針〉(〈ニードル〉)を除いてすべての持ち物を水に投げ込み、〈運河の猫〉という名の少女を装う。新月の度に、〈温顔の男〉に三つの新しい物事を伝えなければならない。しかし、アリアのかつての自己が現れ、狼の夢を見続ける。そして〈誓約の兄弟〉であるサムウェル・ターリーと〈冥夜の守人〉の誓いの両方を捨てたダレオンを殺す。〈冥夜の守人〉の誓いを捨てることは、ウェスタロスのどこにおいても死刑となる罪である。だがサムウェルが兄ジョンの友であることは知らない。ダレオンを殺した翌朝にアリアは黒と白の家に戻り、罪を犯したのは"アリア"であることを認める。そしてアリアは罰として暖かいミルクのグラスを渡される。アリアはこれを飲み干すが、翌朝目覚めた時には盲目となっている。

登場人物 [編集]

物語は12人の登場人物に加えて、以前の物語と同様に、プロローグでは一人のマイナーな人物の視点から描かれる。

日本語版 [編集]

外部リンク [編集]