ダンクとエッグの物語

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ダンクとエッグの物語』は、ジョージ・R・R・マーティン著のファンタジー小説シリーズである『氷と炎の歌』の世界を舞台にした中編のシリーズである。現在まで3作が書かれている。

  • 放浪の騎士 (The Hedge Knight
  • The Sworn Sword (日本語未訳)
  • The Mystery Knight (日本語未訳)

シリーズは、『氷と炎の歌』の時代より前の、伝説的な〈王の盾〉(近衛騎士団)の総帥であり、サー・ダンカン・ザ・トール(“のっぽのサー・ダンカン”)と呼ばれることになるダンクと、後にエイゴン・ターガリエン五世として王位につくことになるエッグの冒険を、『氷と炎の歌』の時代の89年前から長期にわたって描くことになっている。作者は、2人の主役のほぼ全人生を描くため、6篇から12編の物語が書かれるだろうとインタビューで語っている。

『氷と炎の歌』シリーズの第1部から第3部には岡部宏之による旧版と、酒井昭伸による新訳語を用いた改訂新版が存在し、両版の間では多くの名称の日本語訳が変更されているため、以下においては新訳語を用い、最初に使用された箇所では括弧内に旧訳語を示す。'

放浪の騎士[編集]

シリーズ最初の中編であり、ロバート・シルヴァーバーグによって編集されたアンソロジー“Legends”(日本語題『伝説は永遠に』)に収められて1998年に出版された。後に6冊からなるコミックになり、さらに グラフィックノベルとしてまとめられている。

夜の間に放浪の騎士サー・アーラン・オブ・ペニトゥリーが亡くなり、従者である大男のダンクはサー・アーランを埋葬し、最後の祈りを唱える。今後進むべき道を考慮した末、ダンクはアシュフォード(アッシュフォード)への旅を続け、騎士として馬上試合に出ることにする。サー・アーランの鎧、武器、3頭の馬、そして残りの金を引き継ぐ。街道沿いの旅籠で、ダンクはエッグと言う名の頭を剃った少年に出会い、少年はダンクの従者になってやると申し出る。サー・ダンカン・ザ・トールと名乗るようになったダンクは断るが、エッグは密かにアシュフォードまでダンクを追いかける。ダンクは少年の情熱に感じ入り、馬上試合に備えてエッグを従者とする。

アシュフォードで、ダンクはペイトという職人に鎧を作ってもらうため、1頭の馬を売る。ダンクは、サー・ステッフォン・フォソウェイの従兄であり従者である、レイマン・フォソウェイの友人になる。騎士である証拠がないため、ダンクは馬上試合には出られないと思われたが、プリンス・ベイラー(ビーラー、ベーラー)・ターガリエンが保証人となってくれる。ベイラーが、サー・アーランの血筋でないものはその武器を引き継ぐことはできないと言ったため、ダンクはドーン出身の人形遣いの娘に盾の塗り直しを依頼する。ダンクはエッグを肩車し、庶民に交じって最初の日の試合を見学する。鮮やかな武技が見られたあと、プリンス・イーリオン(エリオン)・ターガリエンはサー・ハンフリー・ハーディングの馬を殺すという不名誉な行動をとる。

その夜、ダンクがフォソウェイ家のテントでレイマンと酒を飲んでいた時、人形遣いの娘がプリンス・イーリオンに痛めつけられているとエッグが知らせに来る。ダンクは思わず彼女を守り、イーリオンをの顔を殴り足蹴にしてしまう。王室の護衛はダンクを逮捕し、エッグは自らがイーリオンの弟のプリンス・エイゴン(イーゴン、エーゴン)であることを明らかにする。エッグは牢にダンクを訪れ、イーリオンの上の兄のプリンス・デイロン(ディーロン、デーロン)の従者になるつもりだったが、戦士には向いていないためにデイロンが一行をまいて逃げ出し、従者になる夢を果たすために、エイゴンはエッグと名を偽っていたと言う。再びプリンス・ベイラーと会い、ダンクはプリンスを殴った手と蹴った足の切断刑を受けるよりは決闘裁判を選ぶ。プリンス・イーリオンは〈七の審判〉を要求し、その兄であり、旅籠で酔い潰れていたプリンス・デイロンもまた、エイゴンを誘拐した罪でダンクを告発する。アシュフォード公、プリンス・ベイラー、そしてエリオン、デイロン、エッグの父であるプリンス・ミーカー(メーカー)からなる会議は、プリンス・イーリオンの要求を受け入れざるを得ない。ダンクは告発側の7人の騎士に対抗して、共に戦ってくれる6人の擁護者を見つけなければ、裁判を放棄して刑を受け入れざるを得ない。

ステッフォン・フォソウェイがダンクの最初の仲間となる。レイマンとステッフォンは、他にも仲間を探してくると約束する。エッグもまたダンクのために擁護者を見つけてくると約束する。プリンス・デイロンがテントに現れる。デイロンは酔いつぶれていた間に弟の行方を見失ったため、ダンクへの告発をでっち上げたと白状し、父親ミーカーが〈王の盾〉から3人を決闘に出すつもりであると警告する。デイロンはまた、死滅したはずのドラゴンとダンクの夢を見たといい、自分の夢は常に正夢になるため、ターガリエン家の象徴であるドラゴンの死は、ダンクがターガリエン家の者を殺すことではないかと恐れる。

ダンクは再び職人のペイトに会い、人形遣いの娘が去る前に託していた新しい盾を受け取る。決闘の朝、レイマンは、イーリオンから受けた屈辱の復讐を求める、サー・ハンフリー・ハーディングとサー・ハンフリー・ビーズベリーを連れて戻る。エイゴンは、初の〈七の審判〉で名を上げようとしていた、サー・ロビン・リースリングと“笑う嵐”サー・ライオネル・バラシオンを連れてもどる。ステッフォンも戻るが、領主にするという報酬に釣られて告発者側に移って戦うと言う。従兄の裏切りに怒り、レイマンは騎士となってステッフォンの代わりに戦いたいと言うが、ダンクは騎士に叙することを躊躇する。ダンクがアシュフォード公に呼ばれている間に、ライオネルがレイマンを騎士に叙する。7人目の騎士が見つからないため、ダンクは観衆に訴えかけるが誰も進みでない。ついに、家族のうち3人が告発者の側で戦うにもかかわらず、プリンス・ベイラー自身がダンクの擁護者に加わると宣言する。

会場の両側に14人の擁護者が並び、馬上試合を始める。ダンクはイーリオンに向かうが、すぐに落馬する。敗北の瀬戸際で、ダンクはイーリオンを引きずり倒し、大きな体と路地での喧嘩の要領でイーリオンを彼自身の盾で殴り、降伏させる。イーリオンは告発を取り下げ、裁判は終わる。戦いで二人のハンフリーが命を落とす。戦いの後、ベイラーがダンクに近づき祝福するが、酔っているかのように見える。潰れた兜を脱いだ時、息子のために作られたさほど頑丈ではない兜が、頭への打撃を防げなかったことが明らかになり、デイロンの予知夢は現実になる。葬儀の後、プリンス・メイカーはダンクに会い、自分の棍棒がベイラーを殺したと言う。彼は息子イーリオンの行動を残念に思い、ダンクが家来となり、エイゴンを従者として教育してくれと申し出る。ダンクは旅を続けたいといい、エイゴンを従者にしてイーリオンよりもまともな騎士にすると申し出る。ダンクとエッグは、ダンクが助けた人形遣いの娘を探すためにドーンに旅立つ。

The Sworn Sword[編集]

第二の中編は ロバート・シルヴァーバーグ編の”Legends II” (日本語未訳)に収められて2003年に出版された。 また、ベン・エイヴリーが作者に加わり、マイク・S・ミラーの絵で、 マーベル・コミック協力によりグラフィックノベル化もされており、2007年6月20日に出版されている。


ダンクエッグは、アシュフォードでダンクが救った人形遣いの女を探してドーンに旅するが、見つけることができない。二人がドーンに居る間に、ウェスタロスでは〈大いなる春の病〉と呼ばれる大疫病が流行する。さらに大旱魃も起きたため、二人は放浪の旅を中断し主君に仕えることにする。物語は、河間平野(リーチ)において、ダンクがスタンドファストのサー・ユースタス・オスグレイに奉仕の誓いを立てたところに始まる。サー・ユースタスは衰えた老人であり、その家はかつてコールドモウトの領主であった。ダンクとエッグの冒険によって、ウェスタロスの封建社会のいくつかの側面が明らかになる。また、ブラックファイアの反乱の出来事と196ALの〈レッドグラス・フィールドの戦い〉(〈赤草の野の戦い〉)による反乱の終結がサー・ユースタスによって語られる。

補給品を積んで、ダンクとエッグはスタンドファスト砦に戻る旅をする。帰る途中、ダンクと、もう一人の誓いを立てた騎士サー・ベニス・ザ・ブラウンは小川が干あがったわけを調べに寄り道をする。二人は、コールドモウトのレディ・ロハンヌに仕える農民がダムを築いて水を独占していたことを発見する。サー・ベニスは一人の農民に切りつけて農民たちを追い払う。サー・ユースタスは、家の蜘蛛の紋章と赤毛と四人の夫に先立たれたことと恐ろしい評判によって、"セアカゴケグモ"と呼ばれているレディ・ウェーバーが、領民の怪我を怒るだろうと予想する。サー・ユースタスは、ダンクとベニスに領地の3つの村から農民を徴兵して訓練するよう命じる。

平和的な解決を望み、サー・ユースタスはダンクをコールドモウトに送ってダムと領民の怪我について話し合いをさせる。コールドモウト城に入り、ダンクは、レディ・ロハンヌが差し迫る父の二回目の命日までに五番目の夫と再婚しないと領地を従兄弟に奪われることを知る。6フィート7インチの身長によりロング・インチとして知られる、横柄な城代サー・ルーカス・インチフィールドが、最も熱心な求婚者である。だがロング・インチはレディ・ロハンヌよりはるかに年上で、醜く、粗野で、残酷で、すでに一度彼女の父親が結婚させようとした時に彼女に拒絶されている。ダンクはレディ・ロハンヌと面会し、二人は互いに魅かれるものを感じる。ダンクはまた、ロング・インチがレディ・ロハンヌに対して家の領主にふさわしい敬意を払わず、レディ・ロハンヌがロング・インチに敵意を抱いていることに気づく。

ダンクは、ダムの建設に関しても、領民の怪我の法的な処理についても彼女の心を動かすことはできない。返事の代わりに、レディ・ロハンヌはサー・ユースタスがかつて王位僭称者デイモン(デーモン)・ブラックファイアを支持した反逆者であり、領土の大部分を没収されたと教える。レディ・ロハンヌがサー・ユースタスを嫌う真の理由は、〈レッドグラス・フィールドの戦い〉で二人の兄弟と共に死んだ、サー・ユースタスの末息子をかつて愛していたためである。レディ・ロハンヌが10才で婚約した最初の夫もまた、〈レッドグラス・フィールドの戦い〉で彼女の父親の従者を勤めている時に死んでいる。二番目の夫の老いた騎士は風邪で死に、三番目の夫は鳥の骨を喉に詰まらせて死に、四番目の夫は〈大いなる春の病〉で死に、レディ・ロハンヌは25才になるまでに四人の夫を亡くしている。

サー・ユースタスが過去に反逆していたことに衝撃を受け、ダンクはスタンドファストに戻って奉仕を辞めると告げる。その夜、サー・ユースタスの森が炎につつまれる。レディ・ロハンヌは、交渉が失敗した後で、もしも彼女の判決を受け入れるためにサー・ベニスが送られなければ、サー・ユースタスに”炎と剣”をもたらすと、ダンクに伝えていた。森が燃えたことは彼女の発言のうちの炎の部分を充たすものである。ダンクは、レディ・ロハンヌが翌朝には騎士を送りこみ、たった8人しかいないサー・ユースタスの農民兵を殺戮するだろうと恐れる。ダンクは農民兵を解散させ、サー・ユースタスを怒らせる。だがダンクは、共にレディ・ロハンヌとその軍勢に立ち向かうと約束してサー・ユースタスをなだめる。

川のほとりで、ダンクとサー・ユースタスは、レディ・ロハンヌと、サー・ルーカス・ロングインチが率いる30人以上の武装兵に立ち向かう。ダンクは、レディ・ロハンヌと平和交渉をするために川の浅瀬に向かうが、そこでは水音によって川岸の両軍に立ち聞きされることはない。ダンクが川に入る前に、サー・ユースタスは、かつて祖先の”小ライオン”が襲撃軍の指導者を殺して、〈河間平野〉をラニスター家の襲撃から救ったことをダンクに思い出させる。ダンクがレディ・ロハンヌを殺してその脅威を取り除き、過去の争いの仕返しをすることを望んでのことである。

だがダンクは、この不名誉な助言に従わず、自らの頬を切りつけることで血をレディ・ロハンヌに差し出す。これで切りつけられた農民の借りは返されたが、レディ・ロハンヌが森を燃やしたとサー・ユースタスが主張したために、彼女の名誉は傷つけられている。彼女はこの件での無実を主張し、謝罪あるいは立証を要求する。レディ・ロハンヌは、弱みを見せることはできないため、サー・ユースタスのような弱い敵に譲歩することは出来ないという。その場合、周囲の領主が彼女の領地を奪い、父の遺言によって解雇することを禁じられたロング・インチが、力づくで彼女と結婚するだろうと恐れる。

両者ともに、この件をダンクとサー・ルーカスの決闘裁判で決着させることで同意する。川が両者の唯一の中立地帯であるため、二人は川の中で戦う。川に入る前に、ロング・インチは、ダンクを殺した後でレディ・ロハンヌと結婚するつもりだと彼女に言い、彼女の拒絶などは子供のわがままとしか考えていないそぶりを見せる。ダンクは負けそうになるが、相手をつかんで川の中に引きづり込んで溺れさせる。ダンク自身も溺れるが、レディ・ロハンヌのメイスター(マイスター)によって蘇生されられる。メイスターは鉄諸島生まれであり、〈溺神〉(溺れた神)の技に通じていた。

重傷を負ったダンクはコールドモウトに連れていかれて手当てを受ける。目を覚ました時、ダンクはサー・ユースタスとレディ・ロハンヌが和解して結婚して和解したことを知る。これで死後2年以内に結婚しなければ領地を失うという、レディ・ロハンヌの父の遺言は充たされていた。ダンクが去る前に、レディ・ロハンヌは謝罪の印として最高の雄馬を提供する。ダンクは、それほどの馬には自分は相応しくなく、彼女からもらいたいものは馬ではないと言って断る。レディ・ロハンヌは、自分を忘れないように何かを受け取って欲しいと言い、ダンクは情熱的に彼女にキスをする。直後にエッグはダンクに会い、レディ・ロハンヌがダンクに贈ると約束した馬はどうなったのかといぶかる。ダンクは、馬は欲しくはなく、レディ・ロハンヌを忘れないためにその長い髪を切ってもらい、持ち続けると言う。ダンクはエッグに、父の家に戻りたいかと尋ねるが、エッグは断り、まだ〈壁〉を見たことがないという。ダンクとエッグは北部に向かって再び旅を続ける。

The Mystery Knight[編集]

第三の中編は、ジョージ・R・R・マーティンガードナー・ドゾワによって編集されたアンソロジー"Warriors"(日本語未訳)に収められて2010年に出版された。

"The Sworn Sword"と同様に、物語はエイリス(エリス)・ターガリエン一世の治世を舞台とし、〈ブラックファイアの反乱〉の余波がさらに詳細に描かれている。

物語は、ダンクエッグがストーニー・セプトの街を離れるところに始まる。北部海岸へのグレイジョイ家の襲来を撃退するためにベイロン(バロン)・スターク公が兵を募集しており、二人はスターク公に仕えるために北へ向かおうとしている。その途中、反逆を勧める説教をしたために断首された司祭を目にする。ダンクはブラッドレイブン公があらゆる場所にスパイを放っていることを思い起こす。旅の途中、橙色の野に3つの黒い城を紋章とする、スターパイクのゴーマン・ピーク公が率いる旅の一行に出くわす。旅の一行の中には、アリン・コックショー公と、豪華な装いの放浪の騎士サー・ジョン・ザ・フィドラー(楽師)と名乗る人物も一行の中にいる。ピーク公とコックショー公はダンクを疑って侮辱するが、サー・フィドラーは礼儀正しくふるまう。旅を再開する前に、サー・フィドラーはアンブローズ・バターウェル公の婚儀に参加しないかとダンクを誘う。バターウェル公とフレイ家の娘との婚儀を祝うために馬上試合が催され、優勝賞品はドラゴンの卵であると言う。

ダンクはゴーマン・ピーク公に嫌悪感を抱く。ダンクがかつて従者として使えたサー・アーランによれば、以前の従者であったペニートリーのロジャーが〈レッドグラス・フィールドの戦い〉でピーク公に殺されたためである。エッグは、ピーク公の橙色の野に3つの城の紋章は、ピーク家がかつては3つの城を所有したことに由来するが、ピーク公がブラックファイアに味方したため2つの城は王に没収されたとダンクに教える。

ダンクは婚儀に行くことにする。旅の途中、ダンクは3人の放浪の騎士と知り合う。サー・メイナード・プラム、ミスティー・ムーアのサー・カイル・ザ・キャット、そしてデイモン・ブラックファイアのために戦った有名な戦士である”火の玉”クウェンティン・ボールの私生児であると主張する若い騎士グレンドン・ボールである。

婚儀はホワイトウォール城で行われ、フレイ公が4才の世継ぎ(ウォルダー・フレイ)と、バターウェル公に嫁ぐ15才の娘を連れて到着する。エッグは、バターウェル公は〈ブラックファイアの反乱〉ではどちら側にもつかなかったが、息子の一人は"赤きドラゴン"、デイロン・ターガリエン二世に、別の一人は"黒きドラゴン"、僭称者デイモン・ブラックファイアに味方したとダンクに教える。バターウェル家が必ず勝者の側につくように企んだものであったが、息子は二人とも〈レッドグラス・フィールドの戦い〉で死んでいた。エッグは次第に婚儀に関する疑いを強め、旗や紋章の多くは"黒きドラゴン"に味方した貴族のものであるとダンカンに教える。ダンクは、〈レッドグラス・フィールドの戦い〉は10年以上も前のことであり、過去は過去であるとエッグに言う。婚儀では小人の一座が芸を見せて客を楽しませる。ダンクはサー・ジョン・ザ・フィドラーに選ばれて床入りのために花嫁を寝室に運ぶ。運んだ後、ダンクは新鮮な空気を吸うために外に出るが、サー・ジョン・ザ・フィドラーは街道でダンクに気がついたと言う。ダンクは〈王の盾〉の白い鎧を着て、以前からフィドラーの夢に現れていた。フィドラーは、彼の夢は常に正夢になると言い、かつて彼は兄弟の死を夢に見ており、ホワイトウォール城でドラゴンが卵から孵る夢も見たと言う。

ダンクは、”絞首台の騎士”と名乗る謎の騎士として、最初の馬上試合に出ることを決める。この名乗りは、サー・ロングインチとの戦いでダンクの盾が壊れており、かつてトラント家の騎士のものであった盾を買って使っていたためである。また謎の騎士として試合に出るのは、アシュフォードのサー・ダンカン・ザ・トールの話を聞いた者がいるかもしれないからである。ダンクはエッグの正体が明るみに出ることを恐れていたのである。しかしながら、その紋章によって"蝸牛の騎士"として知られるサー・ウーサー・アンダーリーフに敗北する。サー・アンダーリーフの槍はダンカンの兜にあたり、失神させ、もう少しで殺すところであった。ダンクは意識を取り戻し、最初の試合での敗者は勝者に鎧と馬を罰として差し出すことになっていたため、サー・アンダーリーフに鎧と馬を差し出す。補償金を払って取り戻す余裕がないため、ダンクは落胆する。サー・アンダーリーフは、ある人物が彼に金を払ってダンクを殺させようと企み、もう少し額が多ければ実際にダンクを殺したかもしれないという。馬上試合が再開する前に、ドラゴンの卵が行方不明になったと言う噂が広がり、サー・グレンドン・ボールが疑われ、ピーク公によって囚われる。

ダンクは、エッグが行方不明であることに気づいて探し始める。探索中、ダンクはアリン・コックショー公に殺されそうになる。コックショー公はサー・ジョン・ザ・フィドラーがダンクと夢によせる関心に嫉妬し、サー・アンダーリーフに金を払ってダンクを殺させようとしたと告白する。ダンクは彼を井戸に投げ込んで切り抜けるが、コックショー公のナイフで傷を負う。サー・メイナード・プラムはダンカンを助けに来るが、その正体はブラッドレイブンの数多のスパイの一人であり、サー・ジョン・フィドラーの真の名前は、父デイモン・ブラックファイアにならってデイモンであることが明らかになる。サー・プラムはダンクに『どれだけ多くの公が、王は勇敢で愚かであることを望むであろうことか』と語る。

ダンクは聖堂(神殿)に赴き、エッグの正体を知って命を失うことに恐れおののくバターウェル公とエッグを見つける。エッグはバターウェル公に、エッグとダンクは馬上試合を調査するために送られたスパイであり、父のプリンス・ミーカーが軍を引き連れて来るところだと嘘をついていた。バターウェル公の義理の息子の、黒のトム・ヘドルが現れ、プリンス・ミーカーの愛息のエッグを殺して戦争を起こそうとする。トム・ヘドルは、ダンクの馬上試合の不得手ぶりを嘲るが、ダンクは自分は剣のほうが得意だと答える。だがトム・ヘドルはダンクの警告に耳を貸さず、ダンクに喉を突きさされて死ぬ。いまわの際に、ダンクは「だから剣のほうが得意だと言っただろう」と言い放つ。ダンクはバターウェル公と共に逃げるようエッグに命じる。エッグが逃げる時間を稼ぐため、エッグはサー・ジョン・ザ・フィドラー改めデイモン・ブラックファイアに向かって、ゴーマン・ピーク公はドラゴンの卵を盗んだ罪で、無実のサー・ボールを捕えていると訴える。

デイモンはこれに怒り、サー・ボールに決闘裁判で無実を証明する機会を与える。サー・ボールはしたたかにデイモンを破り、泥の中に打ち倒したため、観客はデイモンを"茶色のドラゴン"と呼んで嘲笑する。この時までに、〈王の手〉ブリンデン・リヴァーズ、またの名をブラッドレイブン公に率いられる大軍がホワイトウォール城を包囲し、デイモンは捕えられ、居合わせた公や騎士の大部分は戦わずに降伏する。ダンクは、槍先にゴーマン・ピーク公の首と黒のトム・ヘドルの首を刺して表に飾る天幕の中で、ブラッドレイブンに面会する。エッグもその場におり、サー・グレンドン・ボール、ダンク、そして他の放浪の騎士達は報酬を受けるべきだと要求する。ブラッドレイブンは、エッグが以前に増して勇敢になり自信にあふれ、エッグこそが、デイモンがホワイトウォールで生まれることを夢に見たドラゴンであることに気づく。バターウォール公はブラッドレイブンの面前で怖じ気づき、その富の10分の1だけを保つことを許される。だがホワイトウォール城は王に没収され、取り壊されることになる。エッグの求めに応じて、ブラッドレイブンはダンクの鎧を取り戻すため金貨をくれる。ダンクはドラゴンの卵はどうなったのかブラッドレイブンに尋ねる。ブラッドレイブンは、彼のスパイが城の秘密の通路を通って、警備された部屋から卵を盗み出したのだとダンクに語る。ダンクは、大人の男は狭い通路を通れないと言う。ブラッドレイブンは、子供なら通れると答える。あるいは小人でも通れるだろうと、ダンクは考え、婚儀で芸をしていた小人たちの事を思い出す。

放浪の騎士の時点でのターガリエン家 (AL208)[編集]

 
 
 
 
Rhaenyra
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Aegon III
 
 
Viserys II
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Daena
 
 
 
 
 
Aegon IV
 
 
 
 
 
Naerys Aemon the Dragonknight
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Daemon Blackfyre (デイモン・ブラックファイア)
 
Aegor "Bittersteel" (ビタースティール)Rivers
 
Brynden "Bloodraven" (ブラッドレイブン) Rivers
 
Shiera Seastar
 
 
Myriah Martell
 
Daeron II (デイロン二世)
 
Daenerys
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Aegon Blackfyre
 
Aemon Blackfyre
 
Baelor (ベイラー) Breakspear
 
Aerys(エイリス)
 
Aelinor
 
Rhaegal
 
Maekar(ミーカー)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Valarr(ヴァラール)
 
Matarys
 
Daeron(デイロン)
 
Aerion(イーリオン)
 
Aemon(エイモン)
 
Aegon(エイゴン、エッグ)
 
Rhae
 
Daella

ターガリエン家 も参照

他の氷と炎の歌の物語での言及[編集]

ジェイミー(ジェイム)・ラニスターが『剣嵐の大地』で回想した時、”サー・ダンカン・ザ・トール”の名前が〈王の盾〉の著名な総帥(司令官)の一人として出る。同じ章において、バリスタン・セルミーの記録の中に、彼が”サー・ダンカン・ザ・トール”をキングズランディングの冬の馬上試合で破ったことが述べられている。

七王国の玉座』の付録の中のターガリエン家の家系図の中で、エッグがエイゴン五世王(不似合い王あるいは異例王とも呼ばれる)となり233年から259年まで統治したことが示されている。エッグの孫がターガリエン王朝最後の王である狂王エイリス(エリス)となる。

王狼たちの戦旗』の中で、エッグの兄のメイスター・エイモンが玉座を差し出されたが、これを断って玉座にエッグを薦めたことが明らかにされている。王となったエッグはエイモンが統治を助けてくれることを望んだが、エイモンはメイスターとしての仕事を続けることを選び、〈壁〉に行くことになった。

剣嵐の大地』において、プリンス・オベリン・マーテルは「ターガリエン王朝では、王族を襲ったものはそれに使用した手を失ったものだ」と言っており、これは放浪の騎士で起きたのと同じ状況を指している。

乱鴉の饗宴』において、ブライエニー(ブリエンヌ)はダンクの盾と似た木の枝を盾に描かせており、これは以前ブライエニーが父親の武器庫で見た盾から意匠をとっている。また、同じく『乱鴉の饗宴』において、ブライエニーは姓をヘドルという娘(The Mystery Knightにおいてダンクに殺される黒のトム・ヘドルの子孫かもしれない)が経営する旅籠に来る。

同じく『乱鴉の饗宴』において、メイスター・エイモンはうわごとで何度もエッグの名前を口にする。エッグの娘の一人が、バラシオン家の息子に嫁ぎ、その子がステッフォン・バラシオン公となったため、ロバートスタニス(スタンニス)、そしてレンリーはみなエッグの曾孫であることが明らかになる。また、メイスター・エイモンが〈壁〉に向かった時には、ダンクを護衛とし、後に〈壁〉の総帥となる"ブラッドレイブン"ブリンデン・リバーズを含む囚人たちと一緒に〈黄金のドラゴン〉号に乗せて〈東の物見城〉に安全に着くようエッグが取り計らったと語る。

竜との舞踏』において、バリスタン・セルミーが回想するに、王となったエッグは子供たちに政略結婚ではなく愛のための結婚を許したとある。エッグ自身が愛のための結婚をしたため、子供たちにも許したのだが、これが名家の間に恨みと反逆をもたらし、最終的には"サマーホールの悲劇"を引き起こしたと。

日本語版[編集]

  • 「放浪の騎士」は『伝説は永遠に』第2巻(早川書房)収録、岡部宏之
    • ISBN-10: 4150202818 、ISBN-13: 978-4150202811、2000年刊行

外部リンク[編集]