テート・モダン

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Japanese Map symbol (Museum) w.svg テート・モダン
Tate Modern viewed from Thames Pleasure Boat - geograph.org.uk - 307445.jpg
施設情報
正式名称 Tate Modern
専門分野 絵画・彫刻・インスタレーション等
来館者数 4,747,537 (2009)[1]
開館 2000年
所在地
ロンドン
ウェブサイト www.tate.org.uk/modern
プロジェクト:GLAM
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テート・モダンの煙突。頂上の「スイス・ライト」(Swiss Light)はスイス政府の援助で、マイケル・クレイグ=マーティンと建築家ヘルツォーク&ド・ムーロンによりデザインされた。

テート(テイト)・モダン(Tate Modern 発音例)はイギリスロンドンテムズ川畔、サウス・バンク地区にある国立の近現代美術館テート・ブリテンなどとともに、国立美術館ネットワーク「テート」("Tate")の一部をなしている。入場無料。

沿革[編集]

ミレニアム・ブリッジから見たテート・モダン

テート・モダンは以前「バンクサイド発電所」だった建物を改造している。もともとの発電所は、イギリスの赤い電話ボックスバターシー発電所の設計で有名なサー・ジャイルズ・ギルバート・スコットの設計によるもので、99mの高さの煙突をもち、1947年1963年の二度に分けての工事で完成したものである。テムズ川をはさんで向かいは金融街シティ・オブ・ロンドンで、セント・ポール大聖堂が聳え立つなど立派な街並みであるが、南側のサウス・バンクは長年ロンドンの裏方的な存在の工場・倉庫街であり、この発電所も戦災復興の際にロンドンの電力不足を解消するために急遽建てられたものだった。発電所は1981年に閉鎖され、変電所の機能だけが残るほかは役目を終えたぬけがらとなっていた。建物を保存せよという市民の声はあったが、歴史的建築物リストへの掲載は拒否され、1993年の段階では機械搬出のために建物の一部取り壊しが始まるなど保存の見通しは絶望的な状態であった。

一方、テムズ川上流のミルバンク地区にある「テート・ギャラリー(現テート・ブリテン)」はイギリス美術および世界の近代・現代美術の美術館として運用されていたが、展示・収蔵スペースの不足に悩まされたため、1980年代にスペース拡充と役割分担のため近現代美術館の機能を新しい建物に移す計画が立てられた。建物の新築費用と場所が最大の問題であったが、理事会はシティの対岸の荒廃した地区にある発電所建物に目を付け、1994年春、これを改造して再利用することが発表された。同年夏に安藤忠雄などが参加した建築設計競技の結果、1995年1月にスイスの新鋭建築家コンビ、ヘルツォーク&ド・ムーロンの案が勝利したことが発表された。

発電機のあった巨大なタービン・ホールを大エントランスホールにして、屋上に採光窓やレストランなどのあるガラス張りのフロアを設けるなどの工事が行われ、2000年5月12日ミレニアムを祝う新施設の一つとしてオープンして以来、地元の人々や観光客に非常に人気のあるスポットとなっている。

展示室[編集]

テート・モダンの7階建て、3,400平方メートルのエントランス『タービン・ホール』。かつて発電機があった場所。
テート・モダン最上階のレストランより、テムズ対岸のシティ・オブ・ロンドンの眺め
テート・モダン全景

建物は7階建てで、メインエントランスやタービンホールやミュージアムショップは0階(レベル0)に、テムズ川からの入り口やカフェなどは1階に、展示室は2階、3階、4階に位置する。最上階の6階はテムズ川を望むレストランになっている。階の数え方は2012年の拡張時に1~7階から0~6階に変更された。

常設展示は2階、3階、4階で行われる。開館当初は2階と4階が常設展示室で、4つのブロックに「風景」・「静物」・「人体」・「歴史」という4つのテーマが振り分けられていた。時代順ではなくテーマごとの展示が選ばれたのは、異なった時代における共通する表現を見出すという意図や、忙しい観客がどれか一つのブロックしか見ることができなくても20世紀の美術運動や有名作家を一通り見ることができるようにするという配慮があった。しかし2006年より常設展示の方法が大きく変わり、3階の企画展示室の一部が常設展示室となり、5つのブロックがそれぞれいくつかの美術運動に焦点をあてた5つのテーマへと再構成された。3階には、テート・モダンのコレクションの中でも知られたもののひとつであるマーク・ロスコシーグラム・ビル壁画を集めた「ロスコ・ルーム」がある。

また、企画展示は2階と3階で行われる(この部分のみ有料である)。建物のエントランスホールである長大なタービン・ホールも、期間を区切った企画展示に使われている。

タービンホール[編集]

テート・モダンの特徴であるタービン・ホールはかつて大型発電機が置かれていた空間で、建物と同じ7階分に相当する高さと3,400平方メートルの面積がある[2]。このホールではユニリーバ社の提供で毎年10月から3月まで、現代美術家に依頼して制作されたインスタレーション作品の展示が行われる。このシリーズはもともと開館から5年間の予定であったが、毎回ホールの空間全体を使った巨大な展示で人気が高いため、少なくとも2012年まで延長して開催されることになっている[3]

タービンホールで依頼作品を展示した作家は以下のとおり。

増築[編集]

旧サウスバンク発電所の建物のうち、タービンホールより南半分では変電所が現在も動いているが、将来はこの部分への拡張も可能であり、地下にも拡張できるスペースが存在する。2006年にはこの変電所を運転しているEDFエナジーEDFの英国子会社)が変電所のうち西半分を手放してテートに譲り、この部分には「ウェスタン・ブロック」という展示室ができることになった。そのうち0階部分の一部が後述の「タンクス」への通路や展示室として2012年にオープンしている。

「ウエスタン・ブロック」のすぐ南側の建物外部では、新館(「タワー」)を建設する工事がヘルツォーク&ド・ムーロンの設計の下進められている。当初は2012年に完成予定で、ガラス張りの箱を積み上げた形状の高い建物が建つはずであったが、論争の末、テート・モダンの建物に合わせてレンガを貼った設計へと変更となった。2016年に完成すれば展示面積は大きく増加することになる。その地下には発電所用に設けられていた円形の大きな燃料タンクが3つあるが、これらも展示空間として改造され、一足早く2012年7月18日に「タンクス」という名でオープンした。各タンクはビデオアートパフォーマンスアートインスタレーションなどの展示に使用され、ダンスやパフォーマンスなどの「ライブ・アート」への関心の高まりに対応する。

交通[編集]

テート・モダンへのアクセスは、セント・ポール大聖堂からミレニアム・ブリッジを渡ってすぐ。セント・ポール大聖堂の近くにはロンドン地下鉄セント・ポール駅がある。また、地下鉄ブラックフライアーズ駅からブラックフライアーズ橋を渡ってテムズ南岸を歩くか、サザーク駅から歩く方法もある。

テムズ川を行き交う船のうち、グリニッジドックランズ行きの便は美術館横のバンクサイド・ピアに着岸する。バンクサイド・ピアには、テート・ブリテンとの間をシャトル運行する「Tate to Tate service」もある。

美術館のすぐ横には、ウィリアム・シェイクスピアの時代の様式でかつての場所に再建された「グローブ座」がある。

脚注[編集]

外部リンク[編集]