タイム・トラベラー

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タイム・トラベラー
ジャンル テレビドラマ
原作 筒井康隆時をかける少女
脚本 石山透
出演者 島田淳子
木下清
ナレーター 城達也
製作
制作 NHK
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1972年1月1日 - 2月5日
放送時間土曜18:05 - 18:35
放送枠少年ドラマシリーズ
放送分30分
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タイム・トラベラー』は、NHKが製作し、1972年昭和47年)に放送した青少年向けSFテレビドラマである。

概要[編集]

本作品はNHK「少年ドラマシリーズ」の第1作である。原作は筒井康隆の『時をかける少女』。

1971年の夏に企画が立てられ、1972年1月1日から1972年2月5日まで放映された。本作品が好評だったため、同じスタッフとキャストでオリジナル脚本による『続 タイムトラベラー』も製作され、同年11月4日から12月2日まで放映された。

語り手として城達也が出演しているが、照明はダウンライトで、顔がよくわからないようにしている。これは『JET STREAM』の開始後に城が決めた「機長としてのイメージを壊さないように顔出しでのテレビ出演はしたくない」という意向への最低限の配慮である。

クロマキーをベースにした特殊効果が行われた[1]

ストーリー[編集]

普通の中学3年生、芳山和子の身辺に次々と不思議なことが起き始めたのは、彼女が理科準備室で謎の香りを嗅いでからのことだった。その香りは、ラベンダーという花のものだった。

やがて和子は、同じクラスの深町一夫が実は700年後の世界からやってきた未来人、ケン・ソゴルであることを知る。ケンは未来に帰るための薬を調合するために、架空の人物に成り済ましていたのだ。ラベンダーはその調合に必要な材料だった。調合途中の薬の匂いを嗅いだことで、和子はタイム・トラベルの能力を持ったと、ケンに告げられる。

和子は、何らかのショックを与えられたときなどに、不意に起きるタイム・トラベルで、過去未来の世界との間を行き来する。行った先で身近な人に近々不幸なことが起きるのを知ることになるが、どうすることもできない。ケンの言によれば、時間を超えて行き来することは可能でも、過去や未来を変えることは無理なのだ。お互いを助け合ううちに、和子とケンの間には、次第に淡い恋愛感情のようなものが芽生え始める。

やがてケンは、未来に帰るための薬品を完成する。その前に、和子を含めその事実を知る人の記憶を消去しなければならないという。ケンと過ごした記憶を消されることを悲しむ和子。だがケンにも、タイム・ルールの掟を破ることは許されない。ケンは和子を含め、自分にまつわる周囲の人たちの記憶をすべて消した上で未来に帰っていった。

ケンの記憶を消された和子は、高校入試を控えて受験勉強に追われる普通の中学生に戻った。だが彼女のタイム・トラベルの能力はどうなったのだろうか。もしかしたら何かの拍子に、タイム・トラベラーとしての能力を取り戻すかも知れない。

再放送実現に至るまで[編集]

本作品を収録したマスターテープは、他の番組制作に使い回された[注釈 1]ために、NHKには映像が保存されていなかったが、放送時に一般視聴者が統一I型で録画していた最終回の映像が、1998年になって提供された。それ以前に音声のみは視聴者から提供された全話分[注釈 2]が存在したため、提供された時点では見るに堪えなかった映像は補修され、音声も追加されてほぼ完全な状態に修復された[2]

統一I型ビデオで録画されたこの最終回の映像は、NHKの『土曜スタジオパーク』にてその一部が放送されたことをきっかけとして反響を呼んだ。その後、2001年11月18日には『NHKアーカイブス』で放送され、約30年ぶりに再放送が実現することとなり、同年にはDVDも発売された。

また、本作品で使用された劇伴音楽の音源も現存していないと思われていたが、作曲を担当した高井達雄のもとから一部の楽曲のコピーテープが発見され、2006年サウンドトラックが発売された。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

参考資料[編集]

  • 石山透 『タイム・トラベラー―筒井康隆「時をかける少女」より』 ISBN 4479480064
    • 続篇『続 タイムトラベラー』も含む全シナリオを収録。また、本編のモノクロ写真が数点収録されている。
  • DVD 『NHK少年ドラマ・アンソロジーI』(2001年3月23日発売、アミューズソフト[3][4]
    • 『タイム・トラベラー』最終回と、音声のみだが『タイム・トラベラー』第1-5話、『明日への追跡』第1.9.最終回(11,12を再編集の再放送版)を収録している。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 当時の放送用2インチVTR用テープは非常に高価であり、また著作権の関係から番組の保存も容易にできなかったため、各テレビ局は放送テープを上書きして使い回すことが慣例であった。
  2. ^ 『新タイムトラベラー』も含む。この音源は最終回のDVDソフトに収録されている。
  3. ^ クレジットは和久井節夫。

出典[編集]

  1. ^ 「NHK カバレージは97.4%に」『放送教育』第26巻第11号、日本放送教育協会、1972年2月1日、14 - 15頁、NDLJP:2341330/10 
  2. ^ 日本放送協会放送技術研究所(編)「よみがえる26年前のビデオテープ映像 / 上条晃司 ; 武藤一利」『NHK技研だより』第105号、日本放送協会放送技術研究所、1998年11月1日、15 - 20頁、NDLJP:2290957/8 
  3. ^ 「綴込特別付録 宇宙船 YEAR BOOK 2002」『宇宙船』Vol.100(2002年5月号)、朝日ソノラマ、2002年5月1日、169頁、雑誌コード:01843-05。 
  4. ^ NHK少年ドラマシリーズ”. 2014年8月10日閲覧。

外部リンク[編集]

NHK総合テレビジョン 少年ドラマシリーズ
前番組 番組名 次番組
(なし)
タイム・トラベラー
NHK総合テレビジョン 土曜18:05 - 18:35枠
タイム・トラベラー
満員御礼