セコイア (スーパーコンピュータ)
Sequoia(セコイア)は、IBMが開発した、アメリカ合衆国 国家核安全保障局(NNSA) ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)設置のスーパーコンピュータの名称。2009年に開発が発表[1]され、開発中の2012年6月に演算性能16.32ペタフロップスでTOP500の1位となり[2]、世界最速のコンピュータとなった。2012年完成時は20.13 ペタフロップス。小規模なプロトタイプ版にDawnがある。
概要
[編集]Sequoiaは、アメリカ合衆国の国家核安全保障局(NNSA)がASC計画の一環として使用するための、IBMが構築するペタスケール(ペタFLOPS級)のBlue Gene/Qスーパーコンピュータである。2009年の発表では、2011年にローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)に提供され、2012年7月に完成予定である[1]。
2012年6月14日に発表されたTOP500で、従来1位の京の 10.51 ペタフロップスを 55% 上回る、LINPACK性能 16.32 ペタフロップスで1位となった。更にエネルギー効率でも、京の消費電力 12.6 メガワット対して、消費電力 7.9メガワットとなり、上回った[3] [4]。
Sequoiaは、POWER系のプロセッサIBM A2を搭載し、ファイルシステムで接続された約98,000個のノードではCompute Node Linuxが、768個のI/OノードではRed Hat Enterprise Linuxが稼働している[5]。
なお「セコイア」とは世界有数の高さを誇るスギ科の針葉樹で、ASC/LLNLのセコイアの資料にはセコイアの絵も描かれている[6]。
2022年に納入される次世代のEl Capitanを設置するため、2020年1月31日に停止され解体・撤去された[7]。
プロトタイプのDawn
[編集]IBMはまた、Sequoiaの設計の評価用に、Blue Gene/Pをベースとした500テラフロップスの能力を持つ、より小型のDawnと呼ばれるプロトタイプを構築した。このシステムは2009年4月に提供され、2009年6月のTOP500で9位となった[8]。
目的
[編集]Sequoiaの主要目的は核兵器のシミュレーションで、ローレンス・リバモア国立研究所で現在使用されている Blue Gene/L および ASC Purple スーパーコンピュータを置き換える予定である。Sequoiaはまた、天文、エネルギー、ヒトゲノム研究、気象変動などの科学技術目的のためにも使用された。
設計
[編集]ノードアーキテクチャ
[編集]Sequoiaは、第三世代のBlue GeneデザインであるBlue Gene/Qデザインにより構築された。約3000平方フィートのエリアに設置された96のラックに、160万個のプロセッサコアと1.6ペタバイト (PB) のメモリを含む、98,304のコンピュータノードにより構成される。プロセッサは45nm製造プロセスの、16または8コアのPower ArchitectureのIBM A2である。
ジョブスケジューラ
[編集]ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)はSequoiaの資源管理のために、プロトタイプのDawnや中国の天河一号Aでも使用されているSLURMジョブスケジューラを使用[9]。
ファイルシステム
[編集]ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)は、ファイルシステムの性能優位と先進機能を得るために、並列ファイルシステムとしてLustreを採用し、Lustre OSD (Object Storage Device)としてZFSをLinuxに移植した[10]。
消費電力
[編集]完成後のシステムは約6メガワット(MW)の消費電力となるが、「ワット当たりの性能」の大幅な向上を予定している。Blue Gene/Qの設計では3000Mflops/ワットとなる予定だが、置換え予定のBlue Gene/Pより7倍効率的で、2011年6月のTOP500 1位であった京_(スーパーコンピュータ)より3倍効率的である[11][12]。
参照
[編集]- ^ a b NNSA awards IBM contract to build next generation supercomputer
- ^ Lawrence Livermore’s Sequoia Supercomputer Towers above the Rest in Latest TOP500 List - TOP500 Press Release Archived 2012年8月9日, at WebCite
- ^ TOP500 Press Release Archived 2012年8月9日, at WebCite
- ^ BBC News - IBM supercomputer overtakes Fujitsu as world's fastest
- ^ IBM supercomputer overtakes Japan's Fujitsu as world's fastest
- ^ Sequoia Update SCICOMP 2011 - ASC/LLNL - IBM(PDF) 2011年更新資料
- ^ “Sequoia撤去、El Capitanの設置場所を確保”. HPCwire Japan (2020年3月3日). 2021年7月8日閲覧。
- ^ Dawn Ranking History
- ^ Multi-Petascale Computing on the Sequoia Architecture
- ^ ZFS on Linux for Lustre Archived 2014年10月31日, at the Wayback Machine.
- ^ The Top500 List - June 2011
- ^ The Green500 List - June 2011[リンク切れ]
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 2009年2月 発表時
- NNSA awards IBM contract to build next generation supercomputer - NNSAプレスリリース
- 20 Petaflop Sequoia Supercomputer - IBMプレスリリース
- IBM、世界最速のスパコン『Sequoia』を開発 - 報道
- NNSA資料
- Using the Dawn BG/P System - Dawn資料
- 2012年6月 TOP500 1位獲得時
記録 | ||
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先代 京(日本) 10.51 ペタFLOPS |
世界で最も高速なコンピュータ 2012年6月 – 2012年11月 記録:16.325 ペタFLOPS |
次代 クレイ タイタン(米国) 17.59 ペタFLOPS |
先代 |
データ解析性能世界1位 2013年6月 – 2014年6月 記録:15363 ギガTEPS |
次代 京(日本) 17977 ギガTEPS |