スクレリング

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ニューファンドランド島、ランス・オ・メドーのヴァイキング入植地跡
900年1100年1300年1500年時点での、アイスランドグリーンランドラブラドル半島ニューファンドランド島、その他カナダの北極圏の島における民族の移り変わりの推定図。緑色がドーセット文化英語版、青がトゥーレ人英語版、赤がノース人、黄色がイヌ族英語版、オレンジがベオスック族英語版

スクレリングSkræling、複数形はスクレリンガー skrælingar)は、グリーンランドに進出したノース人ヴァイキング)たちが現地で出あった異民族(トゥーレ人英語版)に対しつけた名前。おそらく、ドーセット文化英語版の担い手となったドーセット人に対しても用いられている。

さらに同じ名前が、グリーンランドの南のヴィンランド(現在のニューファンドランド島と思われる)で遭遇した先住民(後のベオスック族英語版の祖先に当たる民族と思われる)にも使われている。

スクレリングという語は、中世のグリーンランドに住んでいたノース人の方言のうち唯一今日まで生き残っている単語である。現代アイスランド語では、スクレリンギ(skrælingi)は野蛮人を意味する。スクレリングの語源は定かでないが、古いノース語の「skrá スクラ」(「皮」・「皮膚」という意味の名詞。また動詞になると「書き付ける」の意味、例えばアイスランドでは乾かした動物の皮にアイスランド・サガ英語版などの記録を書いていた)が元になったと思われる。羊毛を織った服を着ていたノース人に対し、イヌイット、あるいは先行する民族のトゥーレ人やドーセット人などグリーンランドでノース人が会ったと思われる民族は、獣皮で作った服を着ていたことが、スクレリングという語には示唆されている。

また、スカンジナビアの言葉の「skral スクラル」やアイスランド語の「skrælna スクレルナ」から来ているという議論もある。skral とは「痩せた」「痩せこけた」という意味を含み、「病気の」や「弱い」と同義語としても使われる。しかし、skral という語は17世紀に低地ドイツ語から入った単語であり、サガなどの中世ノース人の文書や現代アイスランド語には見られないため、単なる民間語源かよく似ているだけの言葉である可能性が高い。skrælna は「縮んだ」、「乾いた」という意味のアイスランド語であるが、スクレリング達について言及した中世の文書では、スクレリングという名称を敵意や悪い意味では使っていない。

参考文献(英語版)[編集]

  • Grønlands Forhistorie, editor Hans Christian Gulløv, Gyldendal, Copehagen, 2005. ISBN 87-02-017245-5
  • "Skraeling: First Peoples of Helluland, Markland, and Vinland.” Odess, Daniel; Stephen Loring; and William W. Fitzhugh. From Vikings: The North Atlantic Saga. Fitzhugh, William W. and Elisabeth I. Ward, editors. Copyright 2000 Smithsonian Institution. Pages 193-205. ISBN 15-60-98995-5.

外部リンク[編集]