サツマハオリムシ
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| 学名 | |||||||||||||||||||||
| Lamellibrachia satsuma Miura, Tsukahara & Hashimoto, 1997 |
サツマハオリムシ(薩摩羽織虫 Lamellibrachia satsuma)は、鹿児島湾などに生息するハオリムシの一種。
1973年に行われた鹿児島湾北部の調査で、不鮮明ながら海底に群生する様子が撮影された[1]。1993年2月の再調査において水深82メートルの海底で見つかった群生からの採取に成功し、ハオリムシの一種と確認された[2][1]。新種として記載されたのは1997年である[1]。
目次 |
[編集] 特徴
体の大部分を棲管と呼ばれる管に入れ、鰓のみを外に出して生活している[3]。体の大部分を栄養体部と呼ばれる部位が占めており、そこでは硫化水素を利用する硫黄細菌が細胞内共生をしている[4]。消化管を持たず、この硫黄細菌から得られる有機物に依存して生きている[4][5]。他種に比べ、ハオリ部が相対的に短い[4]。ハオリ部背面には溝があるが、その周囲の形態と色彩が雌雄で異なる[4]。
棲管は最大で太さ8ミリメートルに達し、長さは50-100センチメートル程度が多いが、2メートルを超えることもある[4]。群生し、高さ5メートル、直径10メートルを超える巨大なコロニーを作ることもある[4]。
[編集] 分布
初めて発見された鹿児島湾の湧水域(現地の漁師は「たぎり」と呼ぶ[2][1]、水深80-130メートル)のほか、南海トラフの湧水域、北マリアナ諸島近海の熱水噴出域でも確認されている[4][5]。生息水深は80-430メートル[4]。サツマハオリムシは、ハオリムシ類の中では最も浅い海に生息する。
[編集] 系統と分類
かつてハオリムシ類は、ヒゲムシ類とともに有鬚動物門に分類されていた。しかし分子系統解析の結果環形動物の多毛類に含まれることが明らかになり、近縁なホネクイハナムシ類とともにシボグリヌム科に分類されている[6]。
サツマハオリムシ属は他のハオリムシ類とは区別される単系統群であり、相模湾に生息するサガミハオリムシなど少なくとも6種の未記載種が示唆されている[6]。
[編集] 飼育・展示
世界で初めて飼育展示を行ったのはいおワールドかごしま水族館である[1]。そのほか、新江ノ島水族館でもサツマハオリムシの飼育展示を行っている。サツマハオリムシを棲管から透明な管に移し、観察しやすくする技術も開発されている[3]。
[編集] 出典
- ^ a b c d e 『ジンベエザメの命 メダカの命』、pp. 72-84。
- ^ a b Hashimoto J et al. (1993). “Discovery of vestimentiferan tube-worms in the euphotic zone”. Zool Sci 10 (6): 1063-1067. ISSN 02890003. NAID 110003323150.
- ^ a b 三宅裕志 「ハオリムシを裸にする」『潜水調査船が観た深海生物』、pp. 160-161。
- ^ a b c d e f g h 三浦知之 「サツマハオリムシ」『潜水調査船が観た深海生物』、p. 151。
- ^ a b “Species: Lamellibrachia satsuma Miura, Tsukahara & Hashimoto, 1997 サツマハオリムシ”. Biological Information System for Marine Life. 国際海洋環境情報センター. 2010年12月19日閲覧。
- ^ a b 小島茂明 「ハオリムシ類の進化と系統」『潜水調査船が観た深海生物』、pp. 158-159。
[編集] 参考文献
- 藤倉克則・奥谷喬司・丸山正 『潜水調査船が観た深海生物 深海生物研究の現在』 東海大学出版会、2008年。ISBN 9784486017875。
- 吉田啓正 『ジンベエザメの命 メダカの命 水族館・限りなく生きることに迫る』 信山社サイテック、1999年。ISBN 4797225475。
- 大木公彦 『鹿児島湾の謎を追って』 春苑堂出版〈かごしま文庫61〉、2000年。。