グリーンアノール

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グリーンアノール
グリーンアノール
グリーンアノール Anolis carolinensis(オス)
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
亜目 : トカゲ亜目 Sauria
下目 : イグアナ下目 Iguania
: イグアナ科 Iguanidae
亜科 : アノールトカゲ亜科
Polychrotinae
: アノールトカゲ属 Anolis
: グリーンアノール
A. carolinensis
学名
Anolis carolinensis
Voigt, 1832
和名
グリーンアノール
英名
Carolina anole
Green anole
交尾するグリーンアノール

グリーンアノール (Anolis carolinensis) は、爬虫綱有鱗目トカゲ亜目イグアナ科アノールトカゲ科とする説もあり)アノールトカゲ属に分類されるトカゲ。別名アメリカカメレオン

分布[編集]

アメリカ合衆国南東部、キューバメキシコ西インド諸島に分布する。

日本沖縄島小笠原諸島)、アメリカ合衆国(グアムハワイ)等に移入している[1]

形態[編集]

全長15-20cm。頭部は大型で吻端が尖り、オスの方が大きくなる。体色は緑色だが優れた変色能力を持ち、周囲の環境や気分によって背面は薄黄緑色から暗褐色まで、腹部は白色から灰色まで体色を変化させることが別名の由来になっている。また、眼の周囲だけが変化することもあり、水色や暗褐色に変色する[2]

鉤爪を使い木登りを器用に行う他、指先にはヤモリのように踵下薄板がありガラス面にも貼りつくこともできる。

オスは紫色の喉もとにある袋のようなもの(咽喉垂)が発達する

生態[編集]

森林の林縁部や民家の近く、農耕地の周辺の樹木などの樹上に生息する。昼行性の変温動物であり、日中は日当たりのいい場所で日光にあたり、夜間には樹木の枝や葉の隙間などの狭いところで休息する。

食性は動物食で、昆虫類節足動物等に素早く詰め寄り捕食する。視覚が発達しており、数m離れたところにいる昆虫類なども見つけて捕食することができる。

オスは咽喉垂を広げ威嚇や求愛行動を行う。一夫多妻であり、縄張りの中にオスが数匹のメスを囲い込む習性がある。 繁殖形態は卵生で、10-20日間に1回の間隔で数回にわたり1、2個の卵を地中に産卵する[2]

人間との関係[編集]

日本への帰化とその問題[編集]

本種はもともと日本には生息していないが、戦後に運搬された物資に混入していたり、ペットとして飼われていたものが遺棄されたり、脱走したりした個体が沖縄島や小笠原諸島の父島母島に帰化している[3]。導入された個体群は、ルイジアナ州からフロリダ北部のものと考えられている[1]

小笠原諸島では、1960年代に父島にペットとして持ち込まれた[1]。その後野生化し、島全域に分布を広げている。現在では、総生息数400万匹、1ヘクタールあたりの生息密度では1000匹以上と推定されている。そのため、オガサワラシジミなど固有種を多く含む昆虫類に壊滅的被害を与えており、地上性の昆虫が地域によってはほとんど姿を消すに至っている。環境省2004年に小笠原自然再生推進検討会を発足させ、駆除事業を徐々に開始している。現在のところ、父島、母島に生息が確認され、港湾地区に捕獲装置を設置して生息拡大阻止等を実施している[2]

沖縄島では1989年東風平町(現八重瀬町)で初確認され、その後那覇市で多くの個体が確認されるようになった。沖縄島での在来生物への影響は不明である[4]

本種によって昆虫類が激減すると、昆虫による花粉媒介にも影響を及ぼすため、農作物の減収につながるのではないかという指摘もある。反面、すでに生態系の一部に組み込まれており、徹底的に駆除されると本種を餌としているオガサワラノスリイソヒヨドリなどに影響が出るのではないかという指摘もある[2]

以前はペットとして、またはトカゲ食の生物の餌用としても大量に輸入されていたが、2005年外来生物法により特定外来生物に指定されたため、2007年現在日本国内での本種の流通はない[3]

日本生態学会は、本種を「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定している。

日本以外での帰化[編集]

ペットとして、またはトカゲ食の生物の餌用として世界各地に流通している。 ハワイのオアフ島では、1950年に定着が確認された。またグアム島など、ミクロネシアの諸島でも分布が確認されている。これらの島では、小笠原諸島ほど高密度に生息しておらず、今のところ侵略的な外来種とはされていない[2]

脚注[編集]

  1. ^ a b c グリーンアノール 国立環境研究所 侵入生物DB
  2. ^ a b c d e 『外来生物事典』 DECO 編、池田清彦 監修、東京書籍、2006年、P62-64。ISBN 4-487-80118-4
  3. ^ a b 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著) 『決定版 日本の外来生物』 平凡社2008年4月21日ISBN 978-4-582-54241-7
  4. ^ 嵩原建二 『沖縄の帰化動物 - 海をこえてきた生きものたち』 沖縄出版、1998年、48-50頁、ISBN 4-900668-68-0

関連項目[編集]