ギュゲースの指輪

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ギュゲースの指輪(ギュゲースのゆびわ)は、古代ギリシア哲学者であるプラトーンの著書「国家」に出てくることで有名な架空の指輪

指輪の伝説[編集]

カンダウレス王の治めるリュディア国に住む牧人のギュゲース英語版[1]はあるとき地震にあった。地震の後に畜群を放している山の手に洞窟が現れたのを見つけた。入ってみると中には玉座に遺体が置かれていた。その遺体は指輪をしており、ギュゲースはその指輪を盗み出した。戻ってきたギュゲースは指輪を身につけてあれこれと探るうちに指輪を内側に回すと透明になって体が見えなくなり、外側に回すとまた見えるようになることに気づき、悪だくみを思いついた。家畜の様子を告げる伝令として宮殿に入ると透明になり后に近づいて姦通、密謀してカンダウレス王を殺し、位を簒奪した。豪富で知られるクロイソス王はギュゲースの子孫である、という伝説が当時行われていた。

「国家」の記述[編集]

「国家」の談義ではプラトーンの兄グラウコン英語版がこの話を引用して「人は知られなければ悪事を働くのものだ」[2]と述べ、でプラトーンがこれに反対する形で「悪事は知られなければ構わないという考えは良心を腐らせ悪しき結果となる」[3]と述べている。

後代の用例[編集]

J・R・R・トールキンの『指輪物語』では、ギュゲースの指輪に似た透明になれるが持ち主の心を蝕む指輪が登場する。

脚注[編集]

  1. ^ 紀元前670~同652年、ヘロドトス『歴史』(1章の8)メルムナダイの王統史、(大村次郷「リュディア王国」/ 大村幸弘・永田雄三・内藤正典編著『トルコを知るための53章』明石書店 2012年 66-67ページ)
  2. ^ 国家」, 360b-d
  3. ^ 「国家」, 10:612b

関連項目[編集]