エーゲ・バミヤージ
『エーゲ・バミヤージ』 | ||||
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カン の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 1972年 インナー・スペース・スタジオ | |||
ジャンル | クラウトロック、サイケデリック・ロック、プログレッシブ・ロック、実験音楽 | |||
時間 | ||||
レーベル |
ユナイテッド・アーティスツ・レコード スプーン・レコード(リイシュー) | |||
プロデュース | カン | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
カン アルバム 年表 | ||||
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『エーゲ・バミヤージ[1]』(Ege Bamyasi)は、ドイツのロック・バンド、カンが1972年に発表したスタジオ・アルバム。
背景
[編集]1971年12月、カンは拠点をケルン近郊のヴァイラースヴィストに移し、かつて映画館だった建物を新しいインナー・スペース・スタジオとして使用し始めた[2]。本作は新スタジオで録音された初のアルバムとなった[3]。
トルコ語で「エーゲ海のオクラ」を意味する題名は、バンドがトルコ料理のレストランで見た缶詰に由来する[4]。「Vitamin C」は、2012年リリースの未発表音源集『The Lost Tapes』に収録された12分に及ぶ曲「Dead Pigeon Suite」が原型となっている[5]。「Spoon」の録音では、初期のドラムマシンが導入された[2]。
「Spoon」はドイツのテレビドラマ『Das Messer』のテーマ曲に起用された[2]。
反響・評価
[編集]バンドの母国西ドイツでは、先行シングル「Spoon」がシングル・チャート6位という大ヒットを記録するが、本作はアルバム・チャート入りしながった[6]。
Ned Raggettはオールミュージックにおいて5点満点を付け「『タゴ・マゴ』に続く作品は、時間が短くなったこと以外は何ら引けを取っておらず、それどころかカンという集合体は、従来と変わらぬパワーと力量によって、期待に違わぬ音楽の再構築を披露している」と評している[7]。
ピッチフォーク・メディアのスタッフが2004年に選出した「1970年代のトップ100アルバム」では19位にランク・イン[8]。また、『NME』が2013年に選出した「The 500 Greatest Albums of All Time」では297位にランク・インした[9]。
影響
[編集]本作からの曲は、しばしば後のヒップホップ・ミュージシャンによりサンプリングされた。カニエ・ウェストの曲「ドランク・アンド・ホット・ガールズ」では「Sing Swan Song」が使用され[10]、スパンク・ロックの曲「エナジー」では「Vitamin C」が使用された[10]。
ポーティスヘッドのジェフ・バーロウは、音楽活動を停止していた頃に本作を聴いて刺激を受け、2009年にはピッチフォーク・メディアのインタビューで当時のことを「俺の新しい人生のきっかけを作ってくれた。自分の渇望を満たす術を見つけた」と振り返っている[11]。また、スティーヴン・マルクマスは「3年間ぐらい、毎晩寝る前にカンの『エーゲ・バミヤージ』をかけていたことがあった」と語っている。2012年にはケルンで行われた公演「Week-End Fest」において、カンは同地のバンドVon Sparと共に本作を完全再現した[12]。
収録曲
[編集]全曲ともメンバー5人の共作。
Side 1
[編集]- Pinch - 9:29
- Sing Swan Song - 4:47
- One More Night - 5:35
Side 2
[編集]- Vitamin C - 3:32
- Soup - 10:31
- I'm So Green - 3:05
- Spoon - 3:04
参加ミュージシャン
[編集]- ホルガー・シューカイ - ベース、エンジニアリング、編集
- ダモ鈴木 - ボーカル
- ミヒャエル・カローリ - ギター
- イルミン・シュミット - キーボード
- ヤキ・リーベツァイト - ドラムス
脚注
[編集]- ^ 日本初回盤LP(LLP-80759)では『エゲ・バミヤーヂ』と表記されていたが、後の再発CDは現行表記となっている
- ^ a b c “THE HISTORY OF CAN”. www.spoonrecords.com. 2022年3月29日閲覧。
- ^ “can - studio history”. 2006年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月25日閲覧。
- ^ 『The Mojo Collection: 4th Edition』 (Canongate Books, 2007. 11. 1) p.291 Google Books検索結果
- ^ “Can - 'The Lost Tapes'” (英語). NME (2012年6月12日). 2022年3月29日閲覧。
- ^ “Discographie - Can”. 2014年6月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月30日閲覧。
- ^ (英語) Ege Bamyasi - Can | Songs, Reviews, Credits | AllMusic 2022年3月29日閲覧。
- ^ “The 100 Best Albums of the 1970s - Page 9” (英語). Pitchfork. 2022年3月29日閲覧。
- ^ “The 500 Greatest Albums Of All Time: 300-201”. 2013年11月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月25日閲覧。
- ^ a b “Five Hip-Hop Songs That Sample Can” (2012年6月20日). 2012年6月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月25日閲覧。
- ^ Nast, Condé (2009年12月8日). “5-10-15-20: Geoff Barrow” (英語). Pitchfork. 2022年3月29日閲覧。
- ^ Nast, Condé (2012年12月6日). “Watch Stephen Malkmus Perform Can's Ege Bamyasi” (英語). Pitchfork. 2022年3月29日閲覧。