イン・ユーテロ

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イン・ユーテロ
ニルヴァーナスタジオ・アルバム
リリース 1993年9月21日
録音 1993年2月
ジャンル グランジ
時間 41 11
レーベル ゲフィン
Geffen
プロデュース スティーヴ・アルビニ
ニルヴァーナ 年表
インセスティサイド
(1992年)
イン・ユーテロ
(1993年)
MTV・アンプラグド・イン・ニューヨーク
(1994年)
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イン・ユーテロ(In Utero)は、1993年に発売されたニルヴァーナのアルバム。アルバム・タイトルは、直訳すると「子宮内」である。

経緯[編集]

3rd(メジャー2nd)アルバム。前作『ネヴァーマインド』の大成功を受け、バンドの意向によりアンダーグラウンドへの回帰をテーマに作られた。プロデューサーにはスティーヴ・アルビニを起用、楽曲も『ネヴァーマインド』のメジャー志向からより暗く、カートの内面に切り込んだ内容となった。レコーディングにかかった費用は24000ドル。要した期間はたったの1週間という短期間であった。スティーヴはこの作品のプロデュース料について、自身の信条を理由に、通常の慣例となっている印税として報酬を受け取ることを断っている[1]

また、発売直前になってバンドがアルビニのミックスにリミックスを施して「レコード会社からの圧力」が囁かれたり、『レイプ・ミー』がフェミニスト団体から「不謹慎である」として訴えられるなど、図らずもあらゆる面で「問題作」になってしまったアルバムである。

「Heart-Shaped Box」「All Apologies」の2曲ははメンバーの意向によりスコット・リットがミックスを担当している。

アメリカでは量販店向けに「Rape Me」を「Waif Me」に表記を変更し、バック・カバーのデザインを中央部を拡大した検閲バージョンが発売された。同時に収録曲中「Pennyroyal Tea」は、スコット・リットによるシングル・ミックスに差し替えられている。

影響と評価[編集]

前作『ネヴァーマインド』の成功で一躍トップバンドの仲間入りを果たしたバンドが、アンダーグラウンドへの回帰を掲げた意欲作である。特に、カートの意向が強く反映されており、サウンドはより暗くなった世界観を受けて、ヘヴィで低音を重視したものになった。サウンド・デザインに関しては、「インディーの鬼才」と呼ばれたアルビニの貢献が大きい。特に、このアルバムでのドラムの録音は伝説に近くなっており、リスナーの期待を良くも悪くも裏切りセールス的には前作ほどは振るわなかったアルバム自体に対して、アルビニの名声は一気に高まった。

発売当初は、前作と同路線を期待するリスナーからの拒否反応もあったが、実際には『ネヴァーマインド』のニルヴァーナの姿こそが作られたものであり、こちらの方がより本来の姿に近いといえよう。[要出典]

また、オープニング・ナンバーの「Serve the Servants」は最初の音が不協和音であったり、「Very Ape」の狂気染みたハウリングから「ノイズと言う名の芸術」と言う異称を持つアルバムでもある。[要出典]

結果的に、ニルヴァーナの最後のオリジナルアルバムとなってしまい、ニルヴァーナを語る上で欠かせない作品となっている。

『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』に於いて、435位にランクイン[2]

収録曲[編集]

  • 特に断りがない場合、クレジットはCobain
  1. サーヴ・ザ・サーヴァンツ"Serve the Servants" - 3:34
  2. セントレス・アプレンティス"Scentless Apprentice" (Cobain/Grohl/Novoselic) - 3:47
  3. ハート・シェイプト・ボックス"Heart-Shaped Box" - 4:39
    タイトルの由来は、カートの妻であるコートニー・ラブがカートにプレゼントしたハート型の箱からきている。原題は「Heart-Shaped Coffin(ハートの形をした棺)」であった。
  4. レイプ・ミー"Rape Me" - 2:49
  5. フランシス・ファーマー・ウィル・ハヴ・ハー・リヴェンジ・オン・シアトル"Frances Farmer Will Have Her Revenge on Seattle" - 4:07
  6. ダム"Dumb" - 2:29
  7. ヴェリー・エイプ"Very Ape" - 1:55
  8. ミルク・イット"Milk It" - 3:52
  9. ペニーロイヤル・ティー"Pennyroyal Tea" - 3:36
    1990年に作成された曲。この曲のメロディーは30秒で出来上がったとされる[3]。シングルカットされているが、シングル版ではカップリングとして「I Hate Myself and Want to Die」が収録されており、そのタイトルが自殺を示唆するため、カートの死後、シングルの回収騒ぎがあった。なお、「ペニーロイヤル」とは堕胎の効能を有するとの俗説を持つハーブである。
  10. ラジオ・フレンドリー・ユニット・シフター"Radio Friendly Unit Shifter" - 4:49
  11. トーレッツ"tourette's" - 1:33
  12. オール・アポロジーズ"All Apologies" - 3:50
    1990年頃に作られた曲。初期のバージョンでは、クリスはセカンドギター、デイブはタンバリンを演奏しており、アコスティック色の強い曲であった。1993年に「レイプ・ミー」との両A面シングルとして発売されている。シングルのジャケットにはタツノオトシゴのような生物が描かれているが、これはカートの意向によるものである。
  13. ギャロンズ・オブ・ラビング・アルコール・フロー・スルー・ザ・ストリップ"Gallons of Rubbing Alcohol Flow Through the Strip" (Cobain/Grohl/Novoselic) - 27:45(北米を除くインターナショナル盤のみのボーナス・トラック)

カバー[編集]

ジャズ・ミュージシャンのハービー・ハンコックは、アルバム『ザ・ニュー・スタンダード』で「All Apologies」をカバーした。

脚注[編集]

  1. ^ ニルヴァーナ、『イン・ユーテロ』制作でスティーヴ・アルビニが送ったFAXが公に(2013/09/28)RO69(アールオーロック) 2013年9月28日
  2. ^ 500 Greatest Albums of All Time: Nirvana, 'In Utero' | Rolling Stone
  3. ^ 『Come as You Are』Michael Azerrad 1993