アンドレイ・パニン

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アンドレイ・パニン
Андрей Панин
Андрей Панин
本名 Андрей Владимирович Панин
生年月日 (1962-05-28) 1962年5月28日
没年月日 (2013-03-06) 2013年3月6日(50歳没)
出生地 ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦 ノヴォシビルスク
死没地 ロシアの旗 ロシアモスクワ
国籍 ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦ロシアの旗 ロシア
身長 177cm
職業 俳優
活動期間 2000年 - 2013年
配偶者 ナターリャ・ロゴジナロシア語版
主な作品
TVシリーズ
映画
  • 『結婚』
  • 『ママ、泣かないで』
  • 『スーツ』
  • 『贖罪』
  • 『シャドウボクシング』
受賞
1999年 - ロシア功労芸術家
2001年 - ロシア連邦国家賞(文化・芸術)
2004年 - ニカ賞英語版最優秀主演男優賞
2013年 - ニカ賞最優秀助演男優賞(没後)他
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アンドレイ・ヴラジミロヴィチ・パニンロシア語: Андрей Владимирович Панин Andrei Vladimirovich Panin1962年5月28日 - 2013年3月6日)はロシア連邦の俳優、映画監督である。1999年にロシア功労芸術家、2001年にロシア連邦国家賞(文芸と芸術部門)を受賞。2004年および没後の2013年にロシア国内の映画賞・ニカ賞英語版を受賞した。

生い立ち[編集]

1962年ソビエト連邦ノヴォシビルスク生まれ。父はドミトリ・アレクサンドレイ・パニン、母はアグネッサ。2年後家族はチェリャビンスクに移った。パニンは6歳の時にケメロヴォに引っ越し、少年時代をここで過ごした。当初は料理学校に進学する予定だったが、ケメロヴォ芸術学校に入学。卒業後しばらくミヌシンスキー劇場で働いた。モスクワに進出し、4度目の受験で名門国立モスクワ芸術アカデミー劇場 (MKhAT) に合格した。1990年にMKhATを卒業し、モスクワ芸術座に加入した。この頃、舞台女優のナターリャ・ロゴジナロシア語版と結婚した。

キャリア[編集]

舞台[編集]

モスクワ芸術座時代の舞台出演には、1997年のチェーホフの『三人姉妹』やゴーゴリの『結婚』などがある。また、オレグ・タバコフロシア語版英語版演出の舞台にもしばしば出演した。日本との関連では、2001年に三谷幸喜脚本の『笑の大学』ロシア版で劇作家の椿役を演じ、同年の国内演劇賞を受賞している[1]

映画・テレビ[編集]

初期の出演映画には『一本道』(1992年)などがあるが、『ママ、泣かないで英語版』(1998年)や『ママ』(1999年)における演技で有名になった。大ヒット探偵ドラマ『カメンスカヤ』(1999年 - )の私立探偵スタソフ役、アクションスリラー『24時間』(2000年)のマフィアのボス役など、TVの仕事でも順調にキャリアを重ねた。

2000年には映画『結婚』(パーヴェル・ルンギン監督)に酔っぱらいガルクーシャ役で出演し、ゴールデンラム映画祭で最優秀俳優賞に輝いた[注釈 1]。また『トリオ』(2002年)により「ヨーロッパの窓」映画祭最優秀男優賞(2003年)、『スーツ』(2003年)により国内映画賞ニカ賞英語版で最優秀助演男優賞(2004年)を受賞した。存在感ある演技の名バイプレーヤーとして知られており、国内映画祭の常連だった。

パーヴェル・チュフライ監督(『ヴェーラの運転手』(2004年)に出演)、カレン・シャフナザーロフ監督(『蒼ざめた馬』(2004年)他に出演)、アレクセイ・バラバノフ監督(『モルヒネ』(2008年)他に出演)といったロシアの有名監督から、演技者として深い信頼を得ており、数々の作品に起用された[注釈 2]。その他の映画の仕事では、『シャドウボクシング』三部作(2005年 – 2011年)のヴァリーエフ役でも有名である。

2011年よりTVシリーズ『名探偵シャーロック・ホームズ』の制作に参加し、主役のワトソン医師を演じた。しかし、編集作業段階で急逝したため、台詞の95%は現場で録音した本人の声を使用し、残りは他の俳優が吹き替えることとなった。2013年11月に同作はロシア国内で放映され、画期的なワトソン像が視聴者に好評をもって迎えられた。

早すぎる死から約1ヶ月後の2013年4月、映画『贖罪』(2011年)の演技によって、ニカ賞・最優秀助演男優賞(2013年)を受賞した。

その他の活動[編集]

2005年TVシリーズを初監督し、2007年に映画『宇宙飛行士の孫』で共同監督を務めた。2006年には国立映画学校で実験的な俳優のワークショップを開いた。

私生活[編集]

最初の妻との間に一児をもうける。再婚したナターリャ・ロゴジナとの間には2人の子供がおり、家族はモスクワで暮らしていた。2013年3月7日、自宅のアパートで、頭を負傷し床に倒れて死亡している状態で発見された(3月6日に死亡)。50歳没。3月12日にチェーホフ記念モスクワ芸術座でお別れ会が開かれた。モスクワ西部のトロエクロフの聖ニコライ聖堂での葬儀の後、トロエクロフスコエ墓地に埋葬された。

主な出演[編集]

映画・TVシリーズ[編集]

日本語題
原題
役名 備考
1998 ママ、泣かないで
Мама, не горюй
船員
День полнолуния капитан カレン・シャフナザーロフ監督作。
1999 ママ
Мама
父親役
1999-2011 カメンスカヤ
Каменская
スタソフ(私立探偵)
2000 結婚
Свадьба
ガルクーシャ
24時間
24 часа
Лёва Шаламов
2001 Яды, или Всемирная история отравлений Чезаре Борджиа カレン・シャフナザーロフ監督作。
2002 Бригада Каверин
トリオ
Трио
Николай Егорович Агапов, майор
2003 スーツ(シック)
Шик
Платон Андреевич, закройщик
2004 ヴェーラの運転手英語版
Водитель для Веры
KGB大尉セヴェリェフ パーヴェル・チュフライ監督作。イゴール・ペトレンコと共演。
蒼ざめた馬
Всадник по имени Смерть
ジョージ カレン・シャフナザーロフ監督作。原案はボリス・サヴィンコフが1909年にロープシン名で発表した同名小説。「ロシア文化フェスティバル2006 IN JAPAN」[2]にて『死という名の騎士』という題で上映。日本では未ソフト化。
2005 ママ、泣かないで2
Мама, не горюй-2
船員
アルティメットウェポン(シャドウボクシング1)
Бой с тенью
ヴァリーエフ
死人のはったり
Жмурки
建築家 アレクセイ・バラバノフ監督作。
ドクトル・ジバゴ
Доктор Живаго
アンドレイ・ジバゴ(主人公ジバゴの父) 第1話のみ出演。日本版DVDあり。
2006 限界戦線
Последний бронепоезд
ミハイル・ロマノフ 日本版DVDあり。
2007 アーマード・ソルジャー(シャドウボクシング2:復讐)
Бой с тенью 2: Реванш
ヴァリーエフ 日本版DVDあり。
宇宙飛行士の孫
Внук космонавта
トーリャン・チトフ 兼 共同監督作。
罪と罰
Преступление и наказание
ポルフィーリイ・ペトローヴィチ判事 日本版DVDあり。
2008 モルヒネ
Морфий
Анатолий Лукич Демьяненко, фельдшер アレクセイ・バラバノフ監督作。
2010 カンダハル 怒りの大脱出
Кандагар
アレクサンドル・ゴトフ ウラジミール・マシコフ主演。日本版DVDあり。
戦火のナージャ
Утомлённые солнцем 2
クラヴェット ニキータ・ミハルコフ監督作。1995年のアカデミー外国語映画賞受賞作『太陽に灼かれて』の続編。日本版DVDあり。
2011 ジェネレーションP
Generation П
Коля
オルド 黄金の国の魔術師
Орда
ティニベク・ハン アレクセイ・アイギ監督作。本作はモスクワ国際映画祭では最優秀監督賞、主演女優賞、審査員特別賞を受賞。日本版DVDあり。
シャドウボクシング3:ラストラウンド
Бой с тенью 3D: Последний раунд
ヴァリーエフ
Высоцкий. Спасибо, что живой Анатолий Нефёдов, врач Высоцкого
離脱
Отрыв
ачальник лагеря майор Грумель イゴール・ペトレンコと共演。
贖罪
Ископление
Фёдор
2013 名探偵シャーロック・ホームズ
Шерлок Холмс
ジョン・ワトソン、医者 アンドレイ・カヴン監督作。イゴール・ペトレンコと共演。AXNミステリーにて字幕版放送。日本では未ソフト化。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ この映画は、2000年のカンヌ国際映画祭パルム・ドールにノミネートされた。パーヴェル・ルンギン監督の代表作は『タクシー・ブルース』など。また、ゴールデンラム映画賞はかつてあったロシアの国内映画賞の一つ。
  2. ^ 上記以外のパーヴェル・チュフライ監督の代表作は『パパってなに?』など。カレン・シャフナザーロフ監督の代表作は『ゼロシティ』、『ホワイトタイガー ナチス極秘戦車・宿命の砲火』など。アレクセイ・バラバーノフ監督の代表作は『ロシアン・ブラザー英語版』、『フリークスも人間も英語版』など。

出典[編集]

  1. ^ Академия смеха”. teatrpushkin.ru(2017年3月18日). 2017年3月18日閲覧。(ロシア語)
  2. ^ ロシア文化フェスティバル公式ホームページ(日本語)”. 2017年3月11日閲覧。

外部リンク[編集]