∀ガンダム (架空の兵器)

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∀ガンダム(ターンエーガンダム、∀ GUNDAM: TURN A GUNDAM)は、アニメ∀ガンダム』に登場する架空の兵器イングレッサ・ミリシャなどで使用された発掘モビルスーツである。(型式番号:System-∀99 ミリシャ内ではWD-M01)


機体解説[編集]

諸元
∀ガンダム
∀ GUNDAM/TURN A GUNDAM
型式番号 System-∀99(本来)
WD-M01(ミリシャ内)
所属 イングレッサ・ミリシャなど
全高 20.0m
重量 28.6t、17.5t(稼動重量)
出力 27,000kW(±5,000)
(W換算、推定値)
装甲材質 FE型
動力源 DHGCP
武装 胸部マルチパーパスサイロ
腹部ビームキャノン×2
ビームライフル
ビームサーベル×2
ハンマー
シールド
月光蝶
搭乗者 ロラン・セアック
ソシエ・ハイム
ジョゼフ・ヨット
メリーベル・ガジット

∀とは、全称記号で「全てを内包する」という意味を持つ。

運用思想は徹底した「単機による作戦行動」であり、通常の兵器に求められる「用途に応じた機能の特化」という大原則を無視したものとなっている。その常識外の思想背景の基となっているのは太陽系外勢力(後述)に対する恐怖心であり、それによって∀開発に関する全ての制限を消滅させてしまう結果となっていた[1]

かつて月光蝶システムを使い、地球圏の人工物を砂に変えた機体で「地球文明を埋葬した」とされる。その後は北アメリア大陸の町、イングレッサ領ビシニティ北部のマウンテンサイクル(アーク山)に長年祀られていた神像内に隠されていた。ビシニティの成人式の日、ディアナ・カウンターのウォドムに反応して起動する。

機体各部の意匠や機構にターンXとの共通点が多い。劇中で両者は「兄弟」「ターンタイプ」などと呼ばれた。

過去のガンダムシリーズのIフィールドとは異なり、∀ガンダムのそれはメガ粒子ビームの他にも実体弾及び衝撃波等にも対応している。また広範囲への展開で背部広域を防御するなどの効果を見せた。これは、宇宙世紀0200年代を描いた小説『ガイア・ギア』に登場するIフィールドバリアと同じである。

動力源の「DHGCP」は、資料では「縮退炉を2基搭載したもの」と記述されており[1]、他の多くのMSで浸透している熱核反応炉ではない事が判明している。小説版では「不連続超振動ゲージ場縮退炉」と記されており、その縮退炉から発生させたエネルギーを、内面に展開し縮退を起こす、と解説されている。周囲から熱を奪う性質上、縮退炉には幾重ものブランケットが巻いてある[1]

機体は機体の周囲を覆ったIフィールドによって駆動する「IFBD(Iフィールドビームドライブ)」によって稼動している。そのため既存のMSとは違い機体内部でジェネレータや駆動装備に占有される容積が極端に少ないため、上半身はがらんどうで駆体そのものが装甲や構造材を兼ねた構造となっている[2]。この内部容積に牛などの家畜や、核ミサイルを積載した事もあった。

推進器は下半身に集中し脚部にスラスター・ベーンが搭載されており、重力下でも有る程度の飛行が可能となっている。劇中終盤のギンガナム隊との決戦では、重力下での完全な飛行を行っていた。スラスター・ベーンはマイクロエンジン(超小型推進器)を用いた二次元ノズルの集合体で、その一枚一枚もさらに小さなベーンが集まったフラクタル構造となっている[1]。出現直後はスラスター・ベーンにナノスキンの残骸が詰まっていた為、この機能は充分に回復しておらず、第12話で使用可能となった。

劇中ではその本来の能力の大半を発揮していないとされているが、その潜在パワーは凄まじく、スモーとムットゥーのモビルスーツとモビルアーマー2機を引っ張り上げた他、単体で大気圏離脱が可能な宇宙船ジャンダルムを正面から押し返すほどの推進力を誇り、他にも戦艦ウィルゲムの浮上を押し戻すなどしていた。

装甲素材「ナノスキン」は多数のナノマシンから成り、高度な自己修復機能を持っている。生物の細胞が新陳代謝をすることで全体を維持するように、∀ガンダムの装甲も常にナノマシンによって修復を受けている。当初∀が石像のような姿をしていたのは、役目を終えたナノマシンが垢のように長年の間に堆積し、機体を覆ってしまったのだと考えられている。なお、ディアナ・カウンターのMSにもナノスキンを用いたものがある。

コア・ファイター[編集]

コクピットは腰前部についており、フロントアーマーと合わせコア・ファイターとなる。コクピットはスモーのもので代用できるが、一部の機能が使用できなくなるらしい。 搭乗方法はシートと操作レバーなどが設置されたコクピット部分がそのまま昇降機で股間部分から下に垂れ下がるように降りて来るものである。 この昇降機を使用しなくても、直接風防を開いて乗り込む事も可能である。風防以外の内装部分はモニターとなっており、前周囲を確認出来る。更にコクピットにはVRヘッドと呼ばれる装置が内蔵されており、様々なセンサーからの情報をヘッドマウントディスプレイにて確認することが可能である。

大気圏内ではマイクロノズルの高圧ジェット噴射と、翼の揚力で飛行する。真空中ではIフィールドと地表との間に生ずる擬似的な地面効果を受け浮揚、推進器を噴射して飛行する。46話でミサイルを搭載して出撃、ズサンを撃破している。このミサイルは本来の装備ではなくサイズの合うものを適当に装備したものであり、これを除けば攻撃能力は無い。主に移動・脱出用の装備となっているが48話にて長距離の移動も不可能であり、フラットの背に乗って移動する様子が描かれている。

なお、本来ならパイロットは生体スーツを通じコクピットと繋がっており、裸身で座席に背中を預けると接続部に8つの当たり痣が付く。これが元となり成人の儀式では、ホワイトドールの前でヒルを使い背中に6つの痣を聖痕として付けることとなった。

武装[編集]

ビームライフル
∀ガンダムの主兵装。共振粒子砲(リフェーザー砲)。金属粒子を固有振動によって収束させ、発射する。また最大出力で発射する際には銃床部分をスライドさせ、内蔵された回転式グリップを使用する。モード変換は機体本体とのデータリンクにより、内蔵デバイスが自動的にモードを判断して実行する[3]。本機は巨大な宇宙戦闘艦と戦う事を想定していたため、高出力光学兵装を有している。劇中の演出では、ノーマルなビームライフルとしては、他のガンダムシリーズの常識からは考えられないほどの高威力を有しており、大気圏内や水辺で使用しても射程や威力の減退が見られない。最初に使用したものは経年劣化により、2発撃った後に融解している。
ビームサーベル
斬撃用光学兵装。プラズマ電磁場で固定し、敵を焼き切る。背部のプラットフォームに発生器が2つ格納されている。2本合わせると刀身を延ばすことができ(45話)、出力調整を行っている様子が見られた(最終話)。劇中で最も多く使われた武器。他のガンダムシリーズに比べてビームの刃部分が非常に細く描写されているのが特徴だが、物語後半からは前述したように他シリーズと同程度の太さになることもあった。
ハンマー(ガンダムハンマー)
鎖に繋がったとげ付き鉄球という点は初代ガンダムと共通しているが、推進用のロケット・モーターを内蔵しており、より強力になっているため一部の文献ではハイパーハンマーとも記載されている。ハンマー部分からIフィールドを展開でき、それによって敵機体の駆動系に干渉できる。トゲ部分が爆発する機構もついている。∀用の武器庫であるビシニティ地下には、ビームライフル等、様々な武器が格納されていたが、経年劣化で使う事ができず、使える武器がこれしか残っていなかった。最初に使用したものはウォドムの頭部を破壊するという活躍を見せたが、経年劣化によりチェーンが切れてしまった。用途としては局地戦用の武装であった可能性が劇中で語られている。
シールド
先端の尖った楕円状。大型で、身を隠すこともできる。強力なIフィールドを展開し、強化されたウォドムのビームをも弾いた。だが、本機の防御は究極的には月光蝶に依存しているため、シールドそのものの物理的強度はそれほど高いものではない[3]
胸部マルチパーパスサイロ(多目的武器庫)
胸部構造はマルチパーパスサイロと呼ばれるある種のペイロードスペースとして設計されており、戦術ごとに内装するデバイスを換装する。本来はビーム・ドライブユニットやミサイルシステム、マシンガンなど、近接戦闘用の各種武装や装備、または補助動力装置などを収納するためのものだが、正歴2345年に発掘された際は、家畜や旧世紀の核兵器の運搬、秘匿に使用されている。
腹部ビームキャノン
胸部マルチパーパスサイロとコクピットの間に取り付けられている兵器。物語終盤で∀が敵に鹵獲された際、ギンガナム艦隊技術者の解析で使用可能になった。劇中では49話で使用され、ビームを雨のように発射した。実はIフィールドに打消されない広範囲拡散ビーム兵器であり、ターンXがプラットホームを犠牲にしてこの攻撃を防いだのはその為である。これもマルチマーパスサイロに収納されるユニット構造のため、原則的には換装も可能である[3]
この武装の名称に関しては各種解説文[4]から考えて腹部ビームキャノンとするのが正しいと思われる。
月光蝶
背部ベーンからナノマシンを射出し、人工物を分解して砂状に変える武装、あるいはシステム。∀ガンダムはこれによりかつての地球文明の全てを埋葬した。詳しくは該当記事を参照。

以下は『SDガンダム GGENERATION SPIRITS』に登場する∀ガンダムの武装である。ゲーム中に別に登場する通常の∀ガンダムとは武装名が異なり、『WORLD』では一部の名称も異なっている。

ディレイションライフル(『WORLD』ではIフィールド・メガビームライフル)
∀ガンダムのビームライフルと同じ形状だが、放つのは通常のビームではなく虹色に輝く巨大な光を放つ。射程範囲も広く、命中値も高い。
メガビーム・フィールドサーベル(『WORLD』ではIフィールド・メガビームサーベル)
本機の斬撃用武装。サーベルの柄から高出力で巨大なビーム刃を形成させて敵を斬り裂く。
スプラッシュビームシャワー
胸部マルチパーパスサイロから放つビーム兵器。なお、通常の武装は敵1機しか攻撃できないが、この武装は最大8機の敵を同時に攻撃可能。『WORLD』では使用しない。
核弾頭ミサイル
その名の通り胸部マルチパーパスサイロから核ミサイルを放つ。『WORLD』では使用しない。
月光蝶
ナノマシンの翼を射出し、人工物を分解して砂状に変える。この武装も本来のものと同様であるが、格闘攻撃である。『WORLD』ではマップ兵器。

呼び名について[編集]

本機は劇中では、ミリシャからは「ホワイトドール」、ディアナ・カウンターからは「ヒゲ」「白ヒゲ」などと呼ばれた。第9話で初めて、コレン・ナンダーが「ガンダム」と呼び、第14話ではパイロットであるロラン・セアックも「ガンダム」と呼んだ。

「∀ガンダム」という名前は、第23話でテテス・ハレが、第24話でロラン・セアックが一度ずつ使ったのみ。アデスカでは同地の神話になぞらえて「白い悪魔」と呼ばれた。第43話以降はほとんどのキャラクターが「ターンエー」と呼んだ。

劇中での活躍[編集]

本機はアニメ第2話において、ディアナ・カウンターの砲撃に反応して神像「ホワイトドール」の中から出現。もっぱらこの機体を発見したロラン・セアックによって使用されることとなった。当初はどのような武装があるのかさえ分からない謎だらけの機体であり、またロランの穏和な性格もあって敵を叩きのめすような活躍は少なかった。むしろその一方、橋代わりになったり、胸部サイロで牛を運んだり、手首を回転させ洗濯機のように使ったりするなど、モビルスーツの原点回帰ともいうべき作業機械としての働きを見せ、作品を特徴付けることにも成功している。

物語が進むにつれて機能が回復、武装が発掘され、またその性能が少しずつ明らかになり、物語後半では驚異的な活躍を見せることとなった。一度はターンXの攻撃を受けロランがコア・ファイターで脱出、ギンガナム側に本体が渡りスモーのコクピットを付けて運用された。その際にギンガナム側の技術者によりフルメンテナンスが行われる。その後、紆余曲折を経て奪還され、ターンXとの最終決戦時には両機共に月光蝶を展開、壮絶な戦闘を繰り広げた。死闘の末に両機とも相打ちとなった末に、暴走した月光蝶が共にナノマシンの繭を生成、繭に包まれた。他にソシエ、ジョゼフ、メリーベルが搭乗した。

曽我篤士版のコミカライズでは、大気圏上でのターンXとの戦闘の末、ターンタイプ故の相互干渉で機能不全に陥ったまま、大気圏に突入するが、まるで意思があるがの如くコアファイターを離脱させた後、ターンXと共に大気による空力加熱に耐え切れず、その際の摩擦熱で燃え尽きている。

福井晴敏版のノベライズでは、月面砲カイラス・ギリの2射目を受け止めた後、黄金に輝くナノマシンを地球に撒き散らしながらコア・ファイターを除いて崩壊している。このナノマシンがカイラス・ギリによって壊滅的被害を受けた地球の環境を回復させた。

曽我篤士の漫画版・福井晴敏の小説版共に∀ガンダムが腕や脚等、機体の末端部分を戦闘で喪失するシーンがあるが、アニメ本編では、頭部を取り外したりヒゲを折られる描写を除き、その様な描写は無い。

アニメ以外での設定[編集]

システム∀[編集]

本機は「システム∀」の実証機であり、DOC(デバイス・オペレーション・コントロール)ベースとの連携によって、一つの戦術システムとして機能する。しかし、システム∀自体の構想やシステムが、厳密には「何を指していたものか」は謎のままとなっている。一説ではマルチパーパスサイロと連動した支援システムが、それであるとする説もある。月光蝶やIFBDなどの各種のシステムのいずれまでが、システム∀に含まれているのかも不明となっている。

建造時期は宇宙世紀でいう7800年頃である。その誕生には大きく分けてふたつの説がある。

  • 何処からか漂着したターンXを回収し、外宇宙に存在する未知の者達(=実はかつて地球圏を捨てて外宇宙へと進出したニュータイプスペースノイドと呼ばれた人々の末裔)の存在とその驚異的な科学力を知った当時の地球圏の人間達が、外宇宙からの侵略を恐れ、その未知の勢力の侵攻に備えてターンXを解析し立案・建造された機体であるという説[1]
  • 当時、人類の文明のリセットを考える派閥と、科学文明維持を唱える派閥に分裂し、前者が「月光蝶」システムを搭載した∀を、後者がターンXを建造したという説[5]

以上の出来事が真実であると黒歴史は肯定しており、ビシニティの広場地下の基地設備も調査により「SYSTEM-∀99」構想に基づいたものと判明している[1]

DOCベース・7th-GMPT[編集]

また、DOC(デバイスオペレーションコントロール)ベースと呼ばれるモビルアーマーや、“7th-GMPT”と呼ばれる兵器(もしくはシステム)などの設定が考案されていたようだ。作品には出てきていないが、その名残があるものもある。

DOCベースは、∀ガンダムとセットで運用され、従来のMSの運用を覆す強力な戦術システムであった。ここで∀ガンダムの胸部に収める装備を状況に応じて変更し整備・支援設備としての機能もあった。ベースはビシニティの地下に存在していたが、正暦の時代にはその機能を停止していた[6]。設定画(もしくは設定画の案)もあったようで、その絵を元に雑誌の企画でスクラッチビルドによるモデル化がされたこともあった。

DOCベースや7th-GMPTは劇中にこそ登場しないものの、番組放映当時にバンダイから発売されたプラモデルの機体解説にはこの名称が明記されている。

小説・漫画での設定[編集]

太陽系外からの本格的な侵略を想定していたが実際には起こらず、のちのムーンレィスのルーツであるとされる人々の中から先祖返りを起こし地球圏への帰還を試みた一団を阻む程度に終わったという[7]。漫画『月の風』冒頭には黒歴史時代の∀がワンカット描かれており、右肩のサーベルラックには通常のビームサーベルとは異なる詳細不明の装置が取り付けられている。

小説『月に繭 地には果実』では、「月光蝶を前面に放射し人類史上最強のコロニーレーザーすら防ぐバリアーを形成」「機体の核=コア・ファイターが残っていれば、百年単位の時間経過が必要らしいが周囲のナノマシンを素材として機体の再構成・再生が可能」「空間転移」などの機能も見せた。これは、小説版を初めとした他メディア展開の際に、要素を膨らませる事を可能とする余地として用意された設定であり、更に本編での戦闘規模が巨大化する可能性も視野に入れて、材料として莫大にされていたものである[2]

このうち空間転移はアニメ中でも発動したような描写がある。第43話バンデットの前でビームサーベルを回転させた後と、第44話でソシエとスエッソンが戦っている場に登場したシーンである[2]

備考[編集]

デザイン[編集]

本機のデザインはシド・ミードによる。クリンナップ、細部デザインは重田敦司、武器デザインは沙倉拓実、コクピット内一部デザインは石垣純哉である。

本来は「スモー」として世に発表された機体が「∀ガンダム」となるはずであったが(後述)、あまりに既存のガンダムとかけ離れていたことからこちらのデザインとなった。それでも、既存のデザインを大きく覆すデザインであったことに変わりはなく、放映開始当初は、特にチークガードである、いわゆる「ヒゲ」部分に対しブーメランになる、戦闘時に額に移動するなど様々な推測を呼んだ。これは全体の表面積を減らすことを意図したものであったが、監督の富野由悠季も初めてこのデザインを見た時は戸惑ったらしい。脇役ではあるが、1994年放送の機動武闘伝Gガンダムにも、「ヒゲ」のあるモビルスーツ「バトラーベンスンマム」が登場している。

方法論としては、従来の「ブロックを積み上げた感じ」から、「表面に貼り付ける感じ」にした、とシド・ミードが語っている。機体の各部分にモールド(継ぎ目)処理が施されている。

シールドが大きくシンプルな事には、「大きければ大きいほど∀の身体が隠れ作画が楽」ということをスタッフがシド・ミードに伝えたという理由もある(石垣純哉の公式HPより)。当初のイメージでは「貝殻のようにきれいなシールド」という構想だったが、最終段階まで作画にその意図が伝わらず楕円状のものとして定着した。

コクピットが腰前部に配置されているのは、造形にとって異質な存在であるパイロットの出入りを邪魔しないためのものである。こうした工業デザインの観点からデザインされた∀ガンダムはシンプルであるが故のリアルさを備えてはいるが、そのためにキャラクターになりきっていなかったのだろうと富野は考えている[8]

結果的に大多数の支持は得られなかったものの、新しいガンダムとして見たファンの中では「動きに説得力のあるデザイン」など高く評価する声もあり、劇中での演出の評判も相まって現在では一定の固定ファンを得るまでに至っている。ガンプラマスターグレード100体目を記念するキットとしても選ばれており、その説明書の序文で富野は「評価が芳しいものではなかったのは残念だったが、無駄な仕事ではなかった」という趣旨の評価を記している。

ロラン・セアック役の朴璐美は、富野から番宣ポスターに描かれていた∀ガンダムを初めて見せられた際に「このガンダム(のデザイン)は人気が無い」と説明を受けたが、当時ガンダムに関する知識の無い彼女は何故人気が無いのかが分からなかったと言う。その後、幾つかのガンダムシリーズに参加する事で当時不評だった理由が分かる様になったが、それでもなお「『∀ガンダム』という作品に(他のシリーズのような)カッコいいガンダム出たら、それは『∀』で無くなってしまう」とイベントや雑誌等で語っている。一方、『機動戦士ガンダム』でアムロ・レイを演じた声優の古谷徹は、アムロが出ていないので番組自体をあまり見ていないのと、デザインがあまり好みではないらしく「髭ガンダムのデザインが好きではない」と述べている。

永野護は「最低のデザイン」と評し、「∀ガンダム脚部のスラスター・ベーンは(永野がデザインした)ブレンパワードのコピー」と発言した。

ゲームへの客演[編集]

  • SDガンダム GGENERATIONシリーズ - 『ZERO』以降ほぼ全作に登場している。『SPIRITS』には実質的な最終ボスとしてゲスト出演。全シナリオをクリアすると出現する最終シナリオ『世界が眠る日』で、文明を葬り去ろうとするMSとして、プレイヤーの前に立ちはだかる。また、携帯機シリーズでは原作と逆にギンガナムに隠された、ムーンレィスの守護神として祖先たちが建造し封印されていた物を偶然、ロランが発見する展開となっている。『WORLD』ではベーシック版、能力未解放版、能力解放版、『SPIRITS』に登場した黒歴史版が登場している。
  • スーパーロボット大戦α外伝 - アムロやカミーユ宇宙世紀シリーズのガンダムパイロットの乗り換えが可能な機体であり、ロラン以外のパイロットによる専用台詞も収録されている。
  • SDガンダム スカッドハンマーズ - サイド3より発掘されたモビルスーツとして、アムロが搭乗する。ビームサーベルや月光蝶は搭載されていない様子だが、ナノマシンは搭載している。
  • 機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム - メイン射撃はガンダムハンマーとなっており、しかも両手に装備しているという仕様になっている。ミスルトゥ破壊時の核弾頭投てきがチャージショット扱いで使えるが、1体につき1回しか使えない(破壊されて再登場するまで使用できない)。
  • 機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダムNEXT - 前作と同じ仕様だが、体力が200以下になると、月光蝶を発動する。発動後は攻撃力が倍となり、形勢を逆転することもできる。
  • ガンダム無双 - 『ガンダム無双1』では∀ガンダムのみゲスト出演したが、『ガンダム無双2』ではターンXも登場している。なお、ゲーム上では月光蝶よりも核弾頭投擲のほうが威力が高く設定されている。
  • Another Century's Episode3 - 空間転移や核弾頭投擲、さらに月光蝶まであますところなく本機の武装バリエーションを搭載している。高火力機でかつナノマシンを搭載しており格闘もハンマーも全てにおいて高い水準の機体である。
  • スーパーロボット大戦Z - α外伝同様、宇宙世紀シリーズのガンダムパイロットの乗り換えが可能な機体であり、専用台詞もα外伝の時以上に多数収録されている。

バリエーション[編集]

  • System-∀98 プロトタイプ∀ガンダム
    テストベッド∀とも呼ばれる前段階の試作機。完成機とは異なる胸部構造と、ターンXに似た頭部を持ち、やはりコクピットは頭部にある。
  • System-∀99 ∀ガンダム フル装備型
  • ∀ガンダム量産型
    「月光蝶」の厄災以前、∀ガンダムから一部機構を排して建造されたらしい機体。文字設定上のみで語られていた詳細不明の存在だったが、漫画『月の風』の冒頭にそれと思われる機体が登場した。のちにグエン・サード・ラインフォードが製造を画策した地球製の量産型∀との関連性は不明である。
  • スモーガンダム
    ∀ガンダムのデザイン準備作業でシド・ミードが描き上げた初期段階のもので、Mバージョンと呼称されていた。ボディはスモーのままで、フェイスカバーの中がガンダム顔になったようなMSである。名前の通り日本の力士に似たスタイルである。さらにここから∀ガンダムの決定稿デザインへと発展するが、この段階のものをクリンナップしてスモーが登場した。「電撃ホビーマガジン」誌上で立体化された際は、ガンダムに定番のトリコロールカラーで塗装された。
    このスモーガンダム自体に特に設定などは付加されていないが、劇中ではスモーと∀はコクピットの互換性など、暗に何らかの技術的関係があるような存在として扱われていた。
  • System-∀99 ∀ガンダム(GGENERATION SPIRITS版)
    源繭を撃破した時に中から出現する謎の機体という設定。System-∀99が本機を制御しており、従来の宇宙世紀の機体とは桁外れの性能を持っている。通常の∀と違うのはツインアイが赤で機体が紫に発光している点。空間転移やハイパーナノスキン装甲、そして月光蝶などの未知の技術を持ったこの機体が何のために開発されたのか不明だが、唯一つ確かなのは、その驚異的な性能を持って地球上の全てのものを滅ぼそうとしている点のみである。『WORLD』にも「∀ガンダム(黒歴史)」という名称で登場しているが、武装は少なくなり性能も若干低下している。開発はバルバトスのみからで、他の機体に開発したり設計に利用することは一切できない。図鑑の記述によれば、この機体が正暦2343年に発見される「∀ガンダム」と同じ機体であるかどうかはわからないとのこと。
  • 大繭
    『SDガンダム GGENERATION SPIRITS』最終ステージ「世界が眠る日」に登場。頂点に∀の頭部のようなものが付いた、繭のようなもの。抵抗する全てを「壌」へと帰し、地球へと歩みを進める、謎の発光物体。System-∀によって制御が行われている。
  • 源繭
    大繭を撃破すると出現する謎の存在。桁外れの防御力を持っており生半可な攻撃ではほとんどダメージを与えられない。MAP兵器使用時に、∀のシルエットが出現する。
  • 小繭
    大繭・源繭が生み出す、小型の「繭」状の物体。破壊しても、本体が倒れない限りは無限に生産される。

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e f 『∀ガンダム全記録集2』 - 講談社ISBN 978-4063301014 より。
  2. ^ a b c 『ニュータイプ 100% COLLECTION ∀ガンダム VOL.2』角川書店刊より。
  3. ^ a b c プラモデル「HGCC 1/144 ターンエーガンダム」説明書より
  4. ^ マスターグレード∀ガンダム(箱側面並びに設計図の解説文)、∀ガンダムWeb[1]など。
  5. ^ 小説『月に繭 地には果実』より。
  6. ^ 『電撃データコレクション20 ∀ガンダム』 アスキー・メディアワークス刊 - ISBN 978-4840239677 より。
  7. ^ 漫画『月の風』より。
  8. ^ プラモデル「マスターグレード 1/100 ターンエーガンダム」説明書より

関連項目[編集]