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'''雁木造'''(がんぎづくり)は、[[新潟県]]の[[商店街]]などで見られる雪よけの屋根のことである。[[アーケード]]に類似している。一般に'''雁木'''と呼ばれる。[[秋田県]]や[[青森県]]津軽地方にも'''小見世'''(こみせ)と呼ばれる同様のものがある{{sfn|浅井建爾|2001|p=169}}。 |
'''雁木造'''(がんぎづくり)は、[[新潟県]]の[[商店街]]などで見られる雪よけの屋根のことである。[[アーケード]]に類似している。一般に'''雁木'''と呼ばれる。[[秋田県]]や[[青森県]]津軽地方にも'''小見世'''(こみせ)と呼ばれる同様のものがある{{sfn|浅井建爾|2001|p=169}}。 |
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== 概要 == |
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日本海側の都市において、積雪期においても通りを往来できるように開発されたもので、連なった民家や商店街の店が軒を延長して[[庇]](ひさし)を道路側に突き出すような格好とする方式(落とし式雁木)や、雁木の上にせり出した2階部分を持つ方式(造り込み式雁木)など様々な形態がある<ref name="Noguchi1993"/>。雁木の名の由来は、[[雁]](ガン)が群れをなして空を飛んでいる様に似ていることから名づけられたものである{{sfn|浅井建爾|2001|p=169}}。従来はその名の通り木製が大半を占めたが、最近は鉄骨造や[[RC造]]なども出てきた<ref name="CTC"/>。 |
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* [https://niigata-kankou.or.jp/spot/8453 雁木通り・町屋] - 新潟県観光協会 |
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2020年3月10日 (火) 04:38時点における版
雁木造(がんぎづくり)は、新潟県の商店街などで見られる雪よけの屋根のことである。アーケードに類似している。一般に雁木と呼ばれる。秋田県や青森県津軽地方にも小見世(こみせ)と呼ばれる同様のものがある[1]。
概要
日本海側の都市において、積雪期においても通りを往来できるように開発されたもので、連なった民家や商店街の店が軒を延長して庇(ひさし)を道路側に突き出すような格好とする方式(落とし式雁木)や、雁木の上にせり出した2階部分を持つ方式(造り込み式雁木)など様々な形態がある[2]。雁木の名の由来は、雁(ガン)が群れをなして空を飛んでいる様に似ていることから名づけられたものである[1]。従来はその名の通り木製が大半を占めたが、最近は鉄骨造やRC造なども出てきた[3]。
豪雪地で考案された雁木の特徴は、積雪期の道路の交通障害を回避し、積雪時においても生活路が確保できる長所がある一方で、採光性が悪いという短所がある[1]。雁木の下は公道ではなく私有地であり、その地権者は地域の共有財産だとして無償で敷地を提供して、第三者の利便のため交通利用させている[1]。
津川(新潟県阿賀町)では1610年(慶長15年)の津川大火後の復興時に整備されたといわれており[4]、現地には「雁木発祥の地」の碑がある。また、高田城下(新潟県上越市)や長岡城下(同長岡市)では江戸時代初頭の城下町建設時に整備されたと伝えられており[5]、街道筋や商人町、職人町などの町屋が軒を連ねたところに作られで冬場の生活を確保していた[1]。
近年は、除雪作業の機械化により雁木の存在意義も薄れており[1]、また商店街の衰退により雁木の維持、保存もおぼつかない状態となっている例も目立つ。加えて、モータリゼーションの進行した現代においては、路肩幅を確保できず路上駐車によって通行が阻害される[6]、歩道横断時における視認性を悪化させるという負の側面もあり、所有者にとっては車の出し入れをしにくいという理由から撤去が相次いでいる[7]。こうした状況から、青森県黒石市など、古い街筋の景観を守るために、まちづくりの一環としてこれらの保存、維持を進めている自治体もある。例えば上越市の場合、雁木通りの街並みを残しつつ一部の都市機能を周囲に移動し、公共交通や公共駐車場の利用を推進することで歩行者にやさしい街づくりを目指すという方向のマスタープランを策定している[8]ほか、2004年からは「上越市雁木整備支援制度[9]」の取り組みが行われている。
なお、商店街にみられるアーケードは、雁木にヒントを得て誕生したといわれる[1]。また、雁木がアーケードに置き換えられるパターンも多く見られる[10]。
分布
1966年から1985年にかけての氏家による調査により、新潟県34都市、青森・岩手・秋田・福島・長野・鳥取の各県の12都市における雁木通りの存在が明らかにされた[10]。しかしその後縮小が進み、2007年から2008年の調査では新潟県21都市と青森県黒石市のみとなった[10]。
高田(新潟県上越市)の雁木通りの延長は、最盛期には17.9 km、現存でも10 km超と、いずれも日本一の長さである[10]。2007年から2008年の調査時点での延長としては、次いで長岡(新潟県長岡市)、栃尾(同)が長い[10]。
脚注
- ^ a b c d e f g 浅井建爾 2001, p. 169.
- ^ 野口孝博、足達富士夫「雁木と雪処理システム-上越市高田地区の場合:多雪地域の都市集住様式と住宅地の整備手法に関する研究 その1」『日本建築学会計画系論文報告集』第451巻、1993年、93-103頁、doi:10.3130/aijax.451.0_93。
- ^ “歩行空間ネットワークとしての雁木通りの現状把握とGIS データベース化に関する調査 報告書”. 新潟県建設技術センター. 2020年3月10日閲覧。
- ^ “特集!阿賀野川ものがたり第1弾「イザベラ・バードの阿賀流域行路を辿る」その3 津川の河港から出航し阿賀野川の船旅へ〔前編〕”. 阿賀野川え〜とこだ! 流域通信. 新潟県. 2020年3月10日閲覧。
- ^ 菅原邦生「近世における雁木通りの権利形態と利用実態」『日本建築学会計画系論文集』第67巻、2002年、249-253頁、doi:10.3130/aija.67.249_3。
- ^ 上越市高田本町駐車場情報(たかだPナビ)実証実験(国土交通省 北陸地方整備局) - ウェイバックマシン(2018年8月2日アーカイブ分)
- ^ 石山慧、樋口秀、中出文平、松川寿也「新潟県長岡地域の雁木通りに関する研究」『都市計画論文集』第51巻、2016年、1001-1007頁、doi:10.11361/journalcpij.51.1001。
- ^ 上越市都市計画マスタープラン p.76~p.89(PDF) 上越市
- ^ 黒野弘靖、千葉巧也、髙橋人志「上越市高田における雁木整備支援制度と住民意向の反映」『日本建築学会技術報告集』第21巻、2015年、731-734頁、doi:10.3130/aijt.21.731。
- ^ a b c d e 菅原邦生「日本における雁木通りの残存状態について」『日本建築学会技術報告集』第17巻、2011年、1049-1052頁、doi:10.3130/aijt.17.1049。
参考文献
- 浅井建爾『道と路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2001年11月10日。ISBN 4-534-03315-X。
関連項目
- アーケード
- 雪国
- 商店街
- 中町こみせ通り
- スノーシェッド(英: snow shed) - 覆道の一種
- 雪囲い
- 雁木囲い - 将棋の戦法。階段を意味する雁木が由来だが、雁木造にも形が似ているため、雁木造に見立てていると説明されることもある。
- 騎楼 - 中華圏で見られる。地上階の軒先を共同通路として供用する点で共通するが、二階以上が通路上にせり出す点が異なる。
外部リンク
- 『雁木』 - コトバンク
- 雁木通り・町屋 - 新潟県観光協会
- 越後高田・雁木ねっとわーく - 新潟県
- 雁木づくり - 長岡市