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[[ファイル:Artist’s impression of the ultracool dwarf star TRAPPIST-1 from close to one of its planets.ogv|thumb|left|TRAPPIST-1とその3惑星のイメージ動画]]
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2017年2月現在、7つの惑星が発見され、そのうち内側の6つは[[地球型惑星]]と推定されている{{R|nasa170223}}。
2017年2月現在、7つの惑星が発見され、そのうち内側の6つは[[地球型惑星]]と推定されている{{R|nasa170223|GillonTriaud2017}}。


2016年5月、[[ベルギー]]の{{仮リンク|リエージュ大学|en|University of Liège}}の天文学者Michaël Gillonのチームにより、[[チリ]]の[[アタカマ砂漠]]の[[ラ・シヤ天文台]]{{仮リンク|TRAPPIST|en|TRAPPIST}} ({{Lang|en|Transiting Planets and Planetesimals Small Telescope}}) 望遠鏡を用いた観測で{{R|Guardian}}、惑星の存在が確認されている。[[トランジット法]]による観測では3つの[[地球型惑星|地球サイズの惑星]]が発見され、そのうち内側の2つは[[自転と公転の同期]]を起こすほど近いが、外側の1つは液体の水が存在可能な[[ハビタブルゾーン]]の内側かまたはちょうど外に位置していると考えられている{{R|eso1615}}。この観測結果は[[2016年]]5月に科学誌『[[ネイチャー]]』にて公開された{{R|Guardian|GillonJehin2016}}。
2016年5月、[[ベルギー]]の{{仮リンク|リエージュ大学|en|University of Liège}}の天文学者Michaël Gillonのチームにより、[[チリ]]の[[アタカマ砂漠]]の[[ラ・シヤ天文台]]{{仮リンク|TRAPPIST|en|TRAPPIST}} ({{Lang|en|Transiting Planets and Planetesimals Small Telescope}}) 望遠鏡を用いた観測で{{R|Guardian}}、惑星の存在が確認されている。[[トランジット法]]による観測では3つの[[地球型惑星|地球サイズの惑星]]が発見され、そのうち内側の2つは[[自転と公転の同期]]を起こすほど近いが、外側の1つは液体の水が存在可能な[[ハビタブルゾーン]]の内側かまたはちょうど外に位置していると考えられている{{R|eso1615}}。この観測結果は[[2016年]]5月に科学誌『[[ネイチャー]]』にて公開された{{R|Guardian|GillonJehin2016}}。
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極めて小さいTRAPPIST-1は、[[木星]]と比べてもさほど大きいとは言えず、放出するエネルギーも[[太陽]]と比べて大幅に少ない{{R|Guardian}}。3つの惑星は恒星に極めて近い軌道をとる（内側からそれぞれ[[天文単位|地球と太陽の距離]]の1%、1.5%、3%の位置を回る）。[[公転周期]]も内側の2惑星は僅か1.5日、2.4日で、第3惑星の軌道は確定していないが4.5から73日の範囲とみられている{{R|Guardian}}。重要な点として、内側の2惑星は位置的にはハビタブルゾーンの内側であるが、自転と公転の同期により永遠に昼の面と永遠に夜の面で大きな温度差があり、それにより強烈な風が惑星中を巡るとともにその境に生命の存在に適した環境が生み出されているかもしれない。-->
極めて小さいTRAPPIST-1は、[[木星]]と比べてもさほど大きいとは言えず、放出するエネルギーも[[太陽]]と比べて大幅に少ない{{R|Guardian}}。3つの惑星は恒星に極めて近い軌道をとる（内側からそれぞれ[[天文単位|地球と太陽の距離]]の1%、1.5%、3%の位置を回る）。[[公転周期]]も内側の2惑星は僅か1.5日、2.4日で、第3惑星の軌道は確定していないが4.5から73日の範囲とみられている{{R|Guardian}}。重要な点として、内側の2惑星は位置的にはハビタブルゾーンの内側であるが、自転と公転の同期により永遠に昼の面と永遠に夜の面で大きな温度差があり、それにより強烈な風が惑星中を巡るとともにその境に生命の存在に適した環境が生み出されているかもしれない。-->


2017年2月22日、[[NASA]]はTRAPPIST-1星系に7つの惑星があり、そのうち3つ（e、f、g）が[[ハビタブルゾーン]]を周回する軌道にあることを発表した{{R|nasa170223}}<ref name="JPL image">{{Cite web |url=http://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA21422 |title=TRAPPIST-1 Planet Lineup |website=jpl.nasa.gov |accessdate=2017-02-22}}</ref><ref name="SPACE.com">{{Cite web |last= Wall |first=Mike |url=http://www.space.com/35790-seven-earth-size-planets-trappist-1-discovery.html |title=Major Discovery! 7 Earth-Size Alien Planets Circle Nearby Star |website=space.com |language=en-US |access-date=22 February 2017}}</ref>。
2017年2月22日、[[NASA]]はTRAPPIST-1星系に7つの惑星があり、そのうち3つ（e、f、g）が[[ハビタブルゾーン]]を周回する軌道にあることを発表した{{R|nasa170223}}<ref name="JPL image">{{Cite web |url=http://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA21422 |title=TRAPPIST-1 Planet Lineup |website=jpl.nasa.gov |accessdate=2017-02-22}}</ref><ref name="SPACE.com">{{Cite web |last= Wall |first=Mike |url=http://www.space.com/35790-seven-earth-size-planets-trappist-1-discovery.html |title=Major Discovery! 7 Earth-Size Alien Planets Circle Nearby Star |website=space.com |language=en-US |access-date=22 February 2017}}</ref>。内側6つの惑星は[[軌道共鳴]]の関係にあり、現在よりも外側で形成された惑星がより内側の軌道へと移動してきたものと考えられている{{R|GillonTriaud2017}}。


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=== 惑星の大気 ===
=== 惑星の大気 ===
2016年[[5月4日]]、TRAPPIST-1bとTRAPPIST-1cが共に同時にトランジット（恒星面通過）を起こした。その様子はハッブル宇宙望遠鏡によって観測され、大気成分の分析を試みた。その結果、詳細な大気成分は判明しなかったが、少なくともガス惑星のように水素などで満たされた大気ではないと判明した{{R|de WitWakeford2016|aa160725}}。
2016年[[5月4日]]、TRAPPIST-1bとTRAPPIST-1cが共に同時にトランジット（恒星面通過）を起こした。その様子は[[ハッブル宇宙望遠鏡]]によって観測され、大気成分の分析を試みた。その結果、詳細な大気成分は判明しなかったが、少なくともガス惑星のように水素などで満たされた大気ではないと判明した{{R|de WitWakeford2016|aa160725}}。


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2017年2月23日 (木) 04:03時点における版

TRAPPIST-1[1]
みずがめ座におけるTRAPPIST-1の位置
みずがめ座におけるTRAPPIST-1の位置
星座 みずがめ座
見かけの等級 (mv) 18.80 ± 0.08[2]
分類 赤色矮星
超低温矮星
位置
元期:J2000.0[3]
赤経 (RA, α)  23h 06m 29.283s[4]
赤緯 (Dec, δ) −05° 02′ 28.59″[4]
赤方偏移 -0.000188[3]
視線速度 (Rv) -56.3 km/s[3]
固有運動 (μ) 赤経: 922.1 ミリ秒/年[3]
赤緯: -471.9 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 82.58 ± 2.58 ミリ秒[3]
距離 39.48 ± 1.24 光年[注 1]
(12.11 ± 0.38 パーセク[注 1])
絶対等級 (MV) 18.4 ± 0.1
物理的性質
半径 0.117 ± 0.004 R☉[2]
質量 0.08 ± 0.009 M☉[2]
自転周期 1.40 ± 0.05 日[2]
スペクトル分類 M8[5]
表面温度 2,550 ± 55 K[2]
明るさ（可視光） 0.00000373 L☉[注 2]
明るさ（全波長） 0.000496 L☉[注 3]
金属量[Fe/H] 0.04 ± 0.08[2]
年齢 >5億年[2]
他のカタログでの名称
2MASS J23062928-0502285, 2MASSI J2306292-050227, 2MASSW J2306292-050227, 2MUDC 12171
■Template （■ノート ■解説） ■Project

TRAPPIST-1は、太陽系から約39.13光年 (12.0 pc) の距離に存在する極めて小さな赤色矮星である[2][6]。みずがめ座の方角に位置している。2MASS J23062928-0502285という名称も持つ[3]。このサイズの天体として初めて惑星系を持つことが確認された[7][注 4]。

恒星

TRAPPIST-1は、スペクトル分類がM8の赤色矮星で、その質量は恒星の下限に近い太陽の0.08倍、大きさは0.117倍しかなく、この大きさは木星と比較しても1.11倍でしかない。表面温度は約2600Kと極めて低く、超低温矮星 (ultracool dwarf star) といった表現も用いられる[7]。

大きさの比較
木星 TRAPPIST-1
木星 Exoplanet


惑星

TRAPPIST-1とその3惑星のイメージ動画

2017年2月現在、7つの惑星が発見され、そのうち内側の6つは地球型惑星と推定されている[8][9]。

2016年5月、ベルギーのリエージュ大学の天文学者Michaël Gillonのチームにより、チリのアタカマ砂漠のラ・シヤ天文台TRAPPIST (Transiting Planets and Planetesimals Small Telescope) 望遠鏡を用いた観測で[10]、惑星の存在が確認されている。トランジット法による観測では3つの地球サイズの惑星が発見され、そのうち内側の2つは自転と公転の同期を起こすほど近いが、外側の1つは液体の水が存在可能なハビタブルゾーンの内側かまたはちょうど外に位置していると考えられている[6]。この観測結果は2016年5月に科学誌『ネイチャー』にて公開された[10][11]。

2017年2月22日、NASAはTRAPPIST-1星系に7つの惑星があり、そのうち3つ（e、f、g）がハビタブルゾーンを周回する軌道にあることを発表した[8][12][13]。内側6つの惑星は軌道共鳴の関係にあり、現在よりも外側で形成された惑星がより内側の軌道へと移動してきたものと考えられている[9]。

TRAPPIST-1の惑星[2]
名称
（恒星に近い順） 		質量 軌道長半径
（天文単位） 		公転周期
(日) 		軌道離心率 軌道傾斜角 半径
b 0.85±0.72 M⊕ 0.01111 1.51087081 ± 0.00000060 < 0.081 89.65 ± 0.25° 1.086 ± 0.035 R⊕
c 1.38±0.61 M⊕ 0.01522 2.4218233 ± 0.0000017 < 0.083 89.67 ± 0.17° 1.056 ± 0.035 R⊕
d 0.41±0.27 M⊕ 0.021 ± 0.06 4.049610 ± 0.000063 < 0.070 89.75 ± 0.16° 0.772 ± 0.030 R⊕
e 0.62±0.58 M⊕ 0.028 6.099615 ± 0.000011 < 0.085 89.86 ± 0.11° 0.918 ± 0.039 R⊕
f 0.68±0.18 M⊕ 0.037 9.206690 ± 0.000015 < 0.063 89.680 ± 0.034° 1.045 ± 0.038 R⊕
g 1.34±0.88 M⊕ 0.045 12.35294 ± 0.00012 < 0.061 89.710 ± 0.025° 1.127 ± 0.041 R⊕
h unknown M⊕ 0.063+0.027
−0.013 		20+15
−6 		unknown 89.80 ± 0.07° 0.755 ± 0.034 R⊕
TRAPPIST-1星系の惑星について、主星からの距離、直径、質量に関する利用可能なデータに基づいて描かれた想像図。

惑星の大気

2016年5月4日、TRAPPIST-1bとTRAPPIST-1cが共に同時にトランジット（恒星面通過）を起こした。その様子はハッブル宇宙望遠鏡によって観測され、大気成分の分析を試みた。その結果、詳細な大気成分は判明しなかったが、少なくともガス惑星のように水素などで満たされた大気ではないと判明した[14][15]。

画像

  • 太陽と比較したTRAPPIST-1。この矮星の直径は太陽の11%しかなく、色もより赤に近い。
    太陽と比較したTRAPPIST-1。この矮星の直径は太陽の11%しかなく、色もより赤に近い。
  • TRAPPIST-1とその3惑星の想像図。
    TRAPPIST-1とその3惑星の想像図。
  • TRAPPIST-1dの地表から見た光景の想像図。
    TRAPPIST-1dの地表から見た光景の想像図。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差（秒）より計算（誤差も同様）、光年はパーセク×3.26より計算。各有効桁小数第2位。
  2. ^ TRAPPIST-1 の絶対等級 、太陽の絶対等級 から、太陽を1としたときの光度は により計算される。
  3. ^ シュテファン＝ボルツマンの法則により、恒星の光度は で求められる。 は光度、は半径、は表面温度、はシュテファン・ボルツマン定数を表す。
  4. ^ 同じような恒星系として、やや大きいがケプラー42系が発見されている。

出典

  1. ^ “TRAPPIST-1b”. Open Exoplanet Catalogue. 2016年5月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i “Temperate Earth-sized planets transiting a nearby ultracool dwarf star”. ヨーロッパ南天天文台] (2016年5月2日). 2017年2月23日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g “2MASS J23062928-0502285 -- High proper-motion Star”. SIMBAD. 2016年12月18日閲覧。
  4. ^ a b Cutri, R.M.; Skrutskie, M.F.; Van Dyk, S.; Beichman, C.A.; Carpenter, J.M.; Chester, T.; Cambresy, L.; Evans, T. et al. (June 2003). “2MASS All Sky Catalog of point sources”. VizieR Online Data Catalog (European Southern Observatory with data provided by the SAO/NASA Astrophysics Data System) 2246. Bibcode: 2003yCat.2246....0C. 
  5. ^ Costa, E.; Mendez, R.A.; Jao, W.-C.; Henry, T.J.; Subasavage, J.P.; Ianna, P.A. (August 4, 2006). “The Solar Neighborhood. XVI. Parallaxes from CTIOPI: Final Results from the 1.5 m Telescope Program” (PDF). The Astronomical Journal (アメリカ天文学会) 132 (3). Bibcode: 2006AJ....132.1234C. doi:10.1086/505706. http://iopscience.iop.org/article/10.1086/505706/pdf. 
  6. ^ a b “Three Potentially Habitable Worlds Found Around Nearby Ultracool Dwarf Star - Currently the best place to search for life beyond the Solar System”. ヨーロッパ南天天文台 (2016年5月2日). 2016年5月2日閲覧。
  7. ^ a b “超低温の矮星の周りに、生命が存在しうる地球サイズの惑星3つを発見”. AstroArts (2016年5月9日). 2016年5月12日閲覧。
  8. ^ a b “NASA Telescope Reveals Largest Batch of Earth-Size, Habitable-Zone Planets Around Single Star”. アメリカ航空宇宙局 (2017年2月23日). 2017年2月23日閲覧。
  9. ^ a b Gillon, Michaël; Triaud, Amaury H. M. J.; Demory, Brice-Olivier; Jehin, Emmanuël; Agol, Eric; Deck, Katherine M.; Lederer, Susan M.; de Wit, Julien et al. (2017). “Seven temperate terrestrial planets around the nearby ultracool dwarf star TRAPPIST-1”. Nature 542 (7642): 456-460. doi:10.1038/nature21360. ISSN 0028-0836. 
  10. ^ a b “Could these newly-discovered planets orbiting an ultracool dwarf host life?”. ガーディアン (2016年5月2日). 2016年5月4日閲覧。
  11. ^ Gillon, Michaël; Jehin, Emmanuël; Lederer, Susan M.; Delrez, Laetitia; de Wit, Julien; Burdanov, Artem; Van Grootel, Valérie; Burgasser, Adam J. et al. (2016). “Temperate Earth-sized planets transiting a nearby ultracool dwarf star”. Nature 533 (7602): 221-224. doi:10.1038/nature17448. ISSN 0028-0836. 
  12. ^ “TRAPPIST-1 Planet Lineup”. jpl.nasa.gov. 2017年2月22日閲覧。
  13. ^ Wall, Mike. “Major Discovery! 7 Earth-Size Alien Planets Circle Nearby Star” (英語). space.com. 2017年2月22日閲覧。
  14. ^ de Wit, Julien; Wakeford, Hannah R.; Gillon, Michaël; Lewis, Nikole K.; Valenti, Jeff A.; Demory, Brice-Olivier; Burgasser, Adam J.; Burdanov, Artem et al. (2016). “A combined transmission spectrum of the Earth-sized exoplanets TRAPPIST-1 b and c”. Nature 537 (7618): 69-72. doi:10.1038/nature18641. ISSN 0028-0836. 
  15. ^ “地球サイズの系外惑星の大気を初観測”. AstroArts (2016年7月25日). 2017年2月23日閲覧。

関連項目

TRAPPIST-1 系
TRAPPIST-1TRAPPIST-1bTRAPPIST-1cTRAPPIST-1dTRAPPIST-1eTRAPPIST-1fTRAPPIST-1gTRAPPIST-1h
恒星
惑星

座標: 星図 23h 06m 29.383s, −05° 02′ 28.59″

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