「カフェイン」の版間の差分

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カフェインはアデノシン受容体と直接結合できます(参考:[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=ShowDetailView&TermToSearch=12602592] ほか)
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'''カフェイン''' (''caffeine'') は[[アルカロイド]]の一種。プリン環を持つプリンアルカロイドの一種で、[[コーヒー]]類に含まれることからこの名がある。[[IUPAC命名法|IUPAC名]]は 1,3,7-トリメチルキサンチン。
'''カフェイン''' (''caffeine'') は[[アルカロイド]]の一種。プリン環を持つプリンアルカロイドの一種で、[[コーヒー]]類に含まれることからこの名がある。[[IUPAC命名法|IUPAC名]]は 1,3,7-トリメチルキサンチン。
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主な作用は覚醒作用、解熱鎮痛作用、利尿作用。医薬品にも使われ、ねむけ、倦怠感、頭痛等に効果があるが、[[副作用]]として不眠、[[めまい]]があらわれることもある。一部の薬とも相性が悪く、薬物代謝酵素の一種である[[CYP1A2]]を阻害する薬剤([[シメチジン]]など)との併用では中枢神経作用が出現する事があり、[[モノアミン酸化酵素阻害薬]]との併用では頻脈・血圧上昇が見られやすい。これは、カフェインが[[CYP1A2]]及び[[モノアミン酸化酵素]]により代謝されることに起因する。
主な作用は覚醒作用、解熱鎮痛作用、利尿作用。医薬品にも使われ、ねむけ、倦怠感、頭痛等に効果があるが、[[副作用]]として不眠、[[めまい]]があらわれることもある。一部の薬とも相性が悪く、薬物代謝酵素の一種である[[CYP1A2]]を阻害する薬剤([[シメチジン]]など)との併用では中枢神経作用が出現する事があり、[[モノアミン酸化酵素阻害薬]]との併用では頻脈・血圧上昇が見られやすい。これは、カフェインが[[CYP1A2]]及び[[モノアミン酸化酵素]]により代謝されることに起因する。


カフェインはアデノシンA1AおよびA2A受容体の[[アンタゴニスト]]であり、[[アデノシン]]の働きを阻害する。アデノシンは脳の[[神経細胞]]上の受容体に結合して、[[ドパミン]]作動神経の活動を調節する働きを持った[[神経伝達修飾物質]](neuromodulator)であり、安定感や疲労感をもたらすので、これを阻害することにより覚醒感が生み出される。また、腎血管を拡張させ、尿細管での水分の再吸収を抑制するので利尿作用を現す。また膀胱括約筋に取り付いてその作用を抑制しているアデノシン働きをカフェインが妨害するために頻尿になるという説もある
カフェインはアデノシンA1AおよびA2A受容体の[[アンタゴニスト]]であり、[[アデノシン]]の働きを阻害する。アデノシンは脳の[[神経細胞]]上の受容体に結合して、[[ドパミン]]作動神経の活動を調節する働きを持った[[神経伝達修飾物質]](neuromodulator)であり、安定感や疲労感をもたらすので、これを阻害することにより覚醒感が生み出される。覚醒作用に関ているのはA2A受容体だとする研究がある<ref>{{cite journal
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若干の[[依存性]]も持つが、その場合も害はわずかなものであって[[健康]]への影響は無視できる程度である。なおカフェインの半数致死量 ([[毒性学#毒性の種類|LD<sub>50</sub>]]) は約 200 mg/kg で、一般的な成人の場合、10&ndash;12 g 以上が危険とされる(詳しくは[[カフェイン中毒]]を参照)。
若干の[[依存性]]も持つが、その場合も害はわずかなものであって[[健康]]への影響は無視できる程度である。なおカフェインの半数致死量 ([[毒性学#毒性の種類|LD<sub>50</sub>]]) は約 200 mg/kg で、一般的な成人の場合、10&ndash;12 g 以上が危険とされる(詳しくは[[カフェイン中毒]]を参照)。
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カフェインは一般的には薬物とされないが、脳神経系に作用する[[薬物]]の一種であることには違いない。そのため、限度を超えた摂取や投薬中・妊娠中のカフェインの摂取は控えるべきである。カフェインの含有量の少ない食品としては、[[たんぽぽコーヒー]]、ノンカフェインコーラ、ノンカフェインコーヒー([[デカフェ]])また、[[杜仲茶]]や[[麦茶]]、[[ほうじ茶]]などがある。
カフェインは一般的には薬物とされないが、脳神経系に作用する[[薬物]]の一種であることには違いない。そのため、限度を超えた摂取や投薬中・妊娠中のカフェインの摂取は控えるべきである。カフェインの含有量の少ない食品としては、[[たんぽぽコーヒー]]、ノンカフェインコーラ、ノンカフェインコーヒー([[デカフェ]])また、[[杜仲茶]]や[[麦茶]]、[[ほうじ茶]]などがある。



== 参考文献 ==
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== 関連項目 ==
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2007年6月18日 (月) 09:14時点における版

カフェイン
カフェインの構造式
IUPAC名1,3,7-トリメチルキサンチン
別名3,7-ジヒドロ-1,3,7-トリメチル-1H-プリン-2,6-ジオン
メチルテオブロミン
メチルテオフィリン
分子式C8H10N4O2
分子量194.19
CAS登録番号58-08-2
形状白色結晶
密度1.23 g/cm3, 固体
融点238 °C
昇華点178 °C
出典ICSC HTMLでない場合(PDFなど)

カフェイン (caffeine) はアルカロイドの一種。プリン環を持つプリンアルカロイドの一種で、コーヒー類に含まれることからこの名がある。IUPAC名は 1,3,7-トリメチルキサンチン。

コーヒーコーラ緑茶紅茶ウーロン茶ココアチョコレート、健康ドリンクなどに含まれる。結晶は一水和物 (C8H10N4O2・H2O) もしくは無水物(無水カフェイン、C8H10N4O2)として得られる。白色の針状または六角柱状結晶で匂いはなく、味は苦い。昇華性がある。

1819年(一説には1820年)にドイツのフリードリヒ・ルンゲによってコーヒーから単離された。分析化学者であったルンゲに、コーヒーの薬理活性成分の分離を勧めたのはゲーテであったと伝えられている。

カフェインの作用

主な作用は覚醒作用、解熱鎮痛作用、利尿作用。医薬品にも使われ、ねむけ、倦怠感、頭痛等に効果があるが、副作用として不眠、めまいがあらわれることもある。一部の薬とも相性が悪く、薬物代謝酵素の一種であるCYP1A2を阻害する薬剤(シメチジンなど)との併用では中枢神経作用が出現する事があり、モノアミン酸化酵素阻害薬との併用では頻脈・血圧上昇が見られやすい。これは、カフェインがCYP1A2及びモノアミン酸化酵素により代謝されることに起因する。

カフェインはアデノシンA1AおよびA2A受容体のアンタゴニストであり、アデノシンの働きを阻害する。アデノシンは脳の神経細胞上の受容体に結合して、ドパミン作動神経の活動を調節する働きを持った神経伝達修飾物質(neuromodulator)であり、安定感や疲労感をもたらすので、これを阻害することにより覚醒感が生み出される。覚醒作用に関わっているのはA2A受容体だとする研究がある[1]。また、腎血管を拡張させ、尿細管での水分の再吸収を抑制するので利尿作用を現わす。また膀胱括約筋に取り付いてその作用を抑制しているアデノシンの働きをカフェインが妨害するために頻尿になるという説もある。

若干の依存性も持つが、その場合も害はわずかなものであって健康への影響は無視できる程度である。なおカフェインの半数致死量 (LD50) は約 200 mg/kg で、一般的な成人の場合、10–12 g 以上が危険とされる(詳しくはカフェイン中毒を参照)。

カフェインレス

カフェインは一般的には薬物とされないが、脳神経系に作用する薬物の一種であることには違いない。そのため、限度を超えた摂取や投薬中・妊娠中のカフェインの摂取は控えるべきである。カフェインの含有量の少ない食品としては、たんぽぽコーヒー、ノンカフェインコーラ、ノンカフェインコーヒー(デカフェ)また、杜仲茶麦茶ほうじ茶などがある。


参考文献

  1. ^ “Adenosine A2A, but not A1, receptors mediate the arousal effect of caffeine.”. Nat Neurosci 8 (7): 858-9. (Jul 2005). doi:10.1038/nn1491. PMID 15965471. 

関連項目

外部リンク

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