栄養ドリンク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
日本の栄養ドリンク売り場
タイの栄養ドリンク「M-150」(エム・ローイハースイップ)

栄養ドリンク(えいようドリンク、: Energy drink)とは、肉体疲労時の栄養補給などを目的で販売されている飲料である。ドリンク剤とも呼ばれる。

この飲料は、ビタミン類・アミノ酸滋養強壮に効果のある生薬漢方薬由来成分のエキスなど、疲労回復や健康維持に効果が期待できるとされる成分を含み、含有成分によって以下のように分けられる:

これらのうち医薬品はOTC医薬品であり、医療用医薬品ではないため購入に医師の処方箋は必要ない。オロナミンCなど、従来より一般の小売店で売られていたドリンク類は清涼飲料水として扱われる。また薬事法により、医薬品、医薬部外品に該当しない清涼飲料水などの商品に関して「効能」、「効果」をうたう事は出来ない。

主な栄養ドリンクの一覧に関しては、栄養ドリンクの一覧を参照。

日本における形態[編集]

販売当初はアンプルで流通していたが、各社製品共に徐々に薬臭さを除去し、容量を増やした。現在医薬品または医薬部外品として販売される商品は、おおよそ外見が茶色(少数は緑)のガラス瓶であり、栓がスクリューキャップ: Screw cap)である、という共通性が見られる。色付き瓶を用いているのは生薬成分の変質を防ぐという目的もあるが、「医薬品(アンプルなど)と同じ色の瓶を用いることで商品の効果をアピールする」という目的も含まれる。紙箱に収められた製品でも、中の容器にはやはり濃い色付きの瓶を採用しているものが多い。内容量は概ね100mlから150ml前後である。

一方清涼飲料水として売られているものについては、瓶入りのもの以外に缶入りやペットボトル入りのもの、また無色透明の瓶を用いたものなど、多種多様なパッケージングが見られる。こちらは内容量が200ml~500mlの製品も少なからず存在する。

効果・効能[編集]

各種ビタミンやタウリン(アミノエチルスルホン酸)などの有効成分、カフェイン、漢方生薬を複数配合し、肉体疲労・病中病後・食欲不振・栄養障害などの場合の栄養補給に適しているとされるものがある。但し、配合成分は薬理的に顕著な作用が見られるほどのものではなく、個人差が大きい。また、含有する成分を特定の効能向けに特化して差別化を図った商品も見られる。

服用上の注意[編集]

栄養成分の多いものは医薬品として長らく薬局やドラッグストアの店頭でのみ販売されていたが、1999年3月の医薬品販売の規制緩和により主力商品が医薬部外品に変更されてコンビニエンスストアスーパーマーケット駅売店、一部の自動販売機などでも販売されるようになった。

但し、栄養ドリンクは医薬品、ないしは医薬部外品であること(まれに清涼飲料水)を念頭に置き、一日の容量を厳守することが前提である。有効成分や添加物の中には、コーヒーの10倍以上の濃度のカフェインなど多量の摂取が好ましくない物質が含まれているものもある。また、生薬等の薬効成分抽出のためにエタノールを使用し、これに由来するアルコールが0.1〜1%程度含まれる場合や気分昂揚のためにアルコールを使用している場合もある。

アメリカでは2005年から2010年にかけて、カフェインやタウリンを含む炭酸アルコール飲料(フォー・ロコなど)が発売されていたが、これら成分が酔いを助長させたことによる急性アルコール中毒患者が続出したこともある[1]。アメリカ食品医薬品局は2012年秋、モンスターエナジーおよび5-hour Energyの飲用者に、死者を含む健康被害が出た件について因果関係の調査を進めている[2][3]

なお、栄養ドリンクに含まれる成分のうち水溶性ビタミン類は過剰に摂取しても尿から排泄されるだけなのでただちに健康面での問題を引き起こすにはあたらないが、上述の通り過剰摂取によって健康を害する恐れがあるカフェイン、脂溶性ビタミン亜鉛などの成分が含まれた製品が多い。

カナダ保健省の科学者たちによる調査では、健康な大人の場合、1日400㎎以下のカフェイン摂取量であれば、カフェインによる心身への悪影響は出ないと結論付けている[4]モンスターエナジーを飲んで死亡したアメリカの14歳の少女のケースでは、少女が死亡した際に摂取していたカフェインの量は480㎎であった[5]。いずれにせよ、栄養ドリンクの過剰摂取による悲惨な健康被害を防ぐには、製品に印字されているカフェイン含有量などの成分表示をよく確認し、適正な量を守って飲用するか、あるいはそもそも製品自体を飲用しないことである。

各国の事情[編集]

栄養ドリンクは、1990年代までは韓国タイなどのアジア、および中東諸国で流通している以外は目立つほどの流通量はなかった。日本においてトップシェアを占める大正製薬などがアメリカ市場の開拓に乗り出したことがある。

2000年代に入ると、若者のアンダーグラウンド文化を背景に、欧米においてレッドブルが大きく売上を伸ばした。他にもフィンランドの「BATTERY」、アメリカの「ROCKSTAR」などのブランドが現れ、徐々に栄養ドリンクが欧米において定着しつつある。またアメリカではアスピリンのガブ飲みや、精神科医の診察をステイタスと感じるような世代も出現している。

なおレッドブルは、世界165カ国以上で販売され、2011年販売実績は46億本以上を記録しており、リポビタンDなどの売上を上回ったが、同社では「レッドブルは『栄養ドリンク』ではなく『エナジードリンク』である」と主張している。これは、国によっては「栄養ドリンク」と名乗ると医薬品としての規制を受け自由な販売活動が行えなくなる場合があるため、それを避ける狙いがある。同商品を栄養ドリンク市場のトップブランドと位置づけるかどうかについては、見解が分かれる。

日本においては、2012年に炭酸飲料の範疇に入るエナジードリンクの売り上げが前年比217%増となり、エナジードリンクが日本国民に急速に普及し始めている[6]

出典[編集]

  1. ^ 23人病院送りの缶飲料「Four Loko」に禁止令、米大学が学生に通達(グリー・ニュース2010年10月19日)2012年5月19日閲覧
  2. ^ “カフェイン過剰摂取で少女死亡、遺族が栄養飲料製造会社を提訴”. AFPBB. (2012年10月22日). http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2908471/9720273 2012年11月21日閲覧。 
  3. ^ “米FDA、栄養ドリンク「5-hour ENERGY」飲用後の体調不良を調査”. AFPBB. (2012年11月16日). http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2912183/9845374 2012年11月21日閲覧。 
  4. ^ レッドブルは健康や心臓に悪い? :: エナジードリンク :: レッドブル・ジャパンレッドブル公式サイト
  5. ^ カフェイン過剰摂取で少女死亡、遺族が栄養飲料製造会社を提訴AFPBB news 2012年10月22日
  6. ^ Amazon.co.jpにあるエナジードリンク「Realpower」の説明文より

関連項目[編集]