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: バスチアンがコレアンダーの古本屋から盗み出し、学校の物置で読み始める本。表紙はあかがね色の絹でできており、互いの尾を咬んで楕円になっている明暗二匹の蛇が描かれている。
: バスチアンがコレアンダーの古本屋から盗み出し、学校の物置で読み始める本。表紙はあかがね色の絹でできており、互いの尾を咬んで楕円になっている明暗二匹の蛇が描かれている。
;アウリン (AURYN)
;アウリン (AURYN)
:幼ごころの君の名代となるしるし。おひかり、宝のメダルとも。明暗二匹の蛇が互いに相手の尾を咬んで楕円になった形状[[ウロボロス]]をしている。
:幼ごころの君の名代となるしるし。おひかり、宝のメダルとも。明暗二匹の蛇が互いに相手の尾を咬んで楕円になった形状[[ウロボロス]]をしている。
;シカンダ (Sikánda)
;シカンダ (Sikánda)
:ファンタージエンにおいて最も強力な魔法の剣。ひとりでに手の中にとびこんでくるときだけ使ってよく、なすべきことを自らの力でなすが、所有者の意思でさやからひきぬいたときには、自身とファンタージエンに大きな災いがもたらされるという。
:ファンタージエンにおいて最も強力な魔法の剣。ひとりでに手の中にとびこんでくるときだけ使ってよく、なすべきことを自らの力でなすが、所有者の意思でさやからひきぬいたときには、自身とファンタージエンに大きな災いがもたらされるという。

2016年8月17日 (水) 13:35時点における版

はてしない物語
Die unendliche Geschichte
作者 ミヒャエル・エンデ
ドイツの旗 ドイツ
言語 ドイツ語
ジャンル 児童文学ファンタジー
刊本情報
刊行 ドイツの旗1979年
日本の旗1982年
日本語訳
訳者 上田真而子佐藤真理子(1982年)
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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はてしない物語』(はてしないものがたり、Die unendliche Geschichte)は、ドイツ作家ミヒャエル・エンデによる、児童向けファンタジー小説である。1979年刊。

あらすじ

大まかに分けると2部構成である。前半ではバスチアン (Bastian) が本の中の世界「ファンタージエン」の崩壊を救い、後半ではバスチアン自身がファンタージエン国に呼ばれ、本当の自分を探す物語である。

登場人物

バスチアン・バルタザール・ブックス (Bastian Balthazar Bux)
現実世界に住む、デブでエックス脚ののろまな少年。いつもいじめに遭っている主人公。イニシャルはBBB。ファンタージエンでは美少年に姿を偽る。
カール・コンラート・コレアンダー (Karl Konrad Koreander)
現実世界に住む、古本屋の店主。イニシャルはKKK。
幼ごころの君 (Die Kindliche Kaiserin)
ファンタージエン国の女王。「望みを統べたもう金の瞳の君」とも呼ばれている。
ブルッブ/ユックユック/ヴシュヴーズル/ピョルンラハツァルク
ファンタージエンの危機を幼ごころの君に伝えにいく使節たち。順に、鬼火・ 豆小人・夜魔・岩喰い男。
カイロン (Caíron)
ケンタウロス。名高い医術の達人。幼ごころの君からアウリンを預かり、アトレーユに届ける。
アトレーユ (Atréju)
緑の肌族の少年。物語前半の主人公。ファンタージエンの危機を医師カイロンに告げられ、「救い主」を求めて大いなる探索の旅に出る。
アルタクス (Artax)
アトレーユの
太古の媼モーラ (Morla)
ファンタージエンのあらゆる生き物より、年をとった生き物。「憂いの沼」に生息している。
幸いの竜フッフール (Fuchur)
真珠貝色の鱗を持つ、東洋の龍のような姿の。常に希望と幸福と共にあり、青銅の鐘のような声を持つ。
群集者イグラムール (Ygramul, die Viele)
死の山脈にある奈落の裂け目に棲む。無数の虫が文字通り群れて様々な姿をする。1時間で死ぬが、ファンタージエン国のどこでも望む所に瞬時に行けるようになる毒を持つ。
南のお告げ所のウユララ (Uyulála, das südliche Orakel)
静寂の声。声だけの存在であり、彼女(?)に語りかけるときは、韻を踏んで詩にしなければならない。
エンギウック (Engywuck) / ウーグル (Urgl)
地霊小人の夫婦。夫のエンギウックはウユララについての研究をしており。妻のウーグルは薬草を扱うのが得意。
リル (Lirr) / バウレオ (Baureo) / シルク (Schirk) / マエストリル (Mayestril)
それぞれ、北・東・南・西を勢力範囲とする、大風坊主。
グモルク (Gmork)
人狼。自分の世界を持たない者であり、ファンタージエンを破滅させようとする者に仕えていた。大いなる探索の旅に出たアトレーユを追跡する。
さすらい山の古老 (Der Alte vom Wandernden Berge)
ファンタージエンのありとあらゆる事柄をあかがね色の本に記録する老人。幼ごころの君と対となる存在。
色のある死グラオーグラマーン (Graógramán, der Bunte Tod)
色の砂漠ゴアプの王。
イハ (Jicha)
らば。バスチアンのお手馬となる。走るのは遅いが乗り心地が良い。また、ある種の直感に優れている。
勇士ヒンレック (Held Hynreck)/オグラマール姫 (Prinzessin Oglámar)
バスチアンがファンタージエンで初めて出会った人達。姫は『すべての者を打ち負かした勇士でなければ結婚しない』という誓いを立てており、ヒンレックはその姫に恋心を抱いている。
ヒクリオン (Hýkrion)/ヒスバルト (Hýsbald)/ヒドルン (Hýdorn)
3人の騎士。ヒクリオンは黒い口ひげを生やした強力の持ち主、ヒスバルトは赤毛で華奢な迅速の持ち主、ヒドルンは背が高く痩せ形で粘りや持久力に長けている。バスチアンの親衛隊となる。
銀翁ケルコバート (Silbergreis Quérquobad)
銀の都アマルガントの長老。
アッハライ (Acharai)
種族名。ファンタージエン中で最も醜い生き物。その身の醜さを嘆いてたえず涙を流しているので、常泣虫(とこなきむし)とも呼ばれている。
シュラムッフェン (Schlamuffen)
種族名。道化蛾。派手な色をした、常にふざけている生き物。
イルアン (Illuán)
青い魔鬼(ジン)。
サイーデ (Xayíde)
ファンタージエン中最も威力のある、最も性悪な女魔術師。その意思の力で黒甲冑を動かすことができる。
予感の母ウシュトゥー (Uschu, die Mutter der Ahnung)/観照の父シルクリー (Schirkrie, der Vater der Schau)/怜悧の息子イージプー (Jisipu, der Sohn der Klugheit)
星僧院の院長、沈思黙考師の3人。体つきは人間であるが、それぞれふくろうの頭・鷲の頭・狐の頭を持っている。
アーガックス (Argax)
小さな灰色の猿。元帝王達の管理者で、房のついた黒い博士帽をかぶっている。飄々とした皮肉屋。
イスカールナリ (Yskálnari)
イスカールに住む人のことで、「いっしょ人」という意味をもつ。
アイゥオーラおばさま (Dame Aiuóla)
「変わる家」に住む。果物のなどの植物を着た女性。
ヨル (Yor)
盲目の鉱夫。闇の中では盲目ではなくなるらしい。絵の採掘場ミンロウド坑から人間世界の忘れられた夢を採掘している。
バスチアンの父 (Bastians Vater)
現実世界で歯科技工士をしている。本名は不明。

道具

はてしない物語 (Die Unendliche Geschichte)
バスチアンがコレアンダーの古本屋から盗み出し、学校の物置で読み始める本。表紙はあかがね色の絹でできており、互いの尾を咬んで楕円になっている明暗二匹の蛇が描かれている。
アウリン (AURYN)
幼ごころの君の名代となるしるし。おひかり、宝のメダルとも。明暗二匹の蛇が互いに相手の尾を咬んで楕円になった形状(ウロボロス)をしている。
シカンダ (Sikánda)
ファンタージエンにおいて最も強力な魔法の剣。ひとりでに手の中にとびこんでくるときだけ使ってよく、なすべきことを自らの力でなすが、所有者の意思でさやからひきぬいたときには、自身とファンタージエンに大きな災いがもたらされるという。
アル・ツァヒール (Al'Tsahir)
透明なガラスのように見える石。ある扉を封印していて、その名を唱えることで石が光を取り戻すと共に、扉の封印がとける。また、封印を解いたものがいま一度終わりから始めへとその名を唱えると、百年分の光を一瞬のうちに放つという。
ゲマルの帯 (Der Gürtel Gémmal)
ガラスでできた、姿を見えなくする帯。サイーデがバスチアンに寄贈した。

日本語版

父親が著名な画家だったエンデは自身も絵を描き、装丁にもこだわりがあった。「エンデは、この本を『魔法の本』と言っていました。だから装丁も、中に独立した世界があるような、特別なものでなければならない、と」と、17年にわたりエンデの編集者を務めたローマン・ホッケが語っている。表紙に2匹の蛇が描かれた布張りの本。読者も手にした本が、同じだと気がつき、主人公と一体化していく[1]。本は、物語に入り込む入り口としての装置となっていて、岩波書店発行の日本語版ハードカバーでも、本の中に登場する『はてしない物語』と同じく、ハードケースを外した中の書籍本体の装丁はあかがね色で、がお互いの尻尾をくわえた「アウリン」の模様がある。さらに、文字も現実世界の部分はあかがね色、ファンタージエンの部分は緑色に刷り分けられている。岩波書店は布を特注、価格は税込みで3千円を超える[1]

岩波少年文庫として文庫化された際には、上下巻の2分冊となり、文字色は黒色の1色刷りで、ファンタージエンの部分は本文の上部に装飾を施す形で表現されている。

派生作品

映画

『ネバーエンディング・ストーリー』として映画化され、シリーズにもなった。しかし、シリーズ第1作のラストはエンデの意図に沿っておらず、彼はこれを嫌い、訴訟を起こした。

2作目以降のストーリーは原作のストーリーとはほとんど関係がない。

シェアワールド

『はてしない物語』をシェアワールド化した小説群『ファンタージエン』がある。

脚注

  1. ^ a b 「あかがね色の本、物語にも登場」朝日新聞2015年6月1日。