「夜」の版間の差分

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2008年5月27日 (火) 16:58時点における版

夜、雲が無いときには星がよく見える
夜と昼を分ける明暗境界線

(よる)は、太陽地平線または水平線から上に出ていない時間、あるいは日没から日の出までのことである。逆に、太陽が地平線または水平線より上に出ている時間、あるいは日の出から次の日没までのことをという。

天文学的にみた夜

地球は、地軸軌道面と垂直な方向から約23.4傾けて、太陽の周りを自転しながら公転している。このため、太陽は、天の赤道から約23.4度傾いた黄道上を、1かけて一周するように見え、太陽の赤緯が変化する。これにより、ある地点での夜の長さは1年周期で変化する。夏至の頃には、北半球では夜が最も短くなり、逆に南半球では最も夜が長くなる。冬至の頃にはこの逆になる。夜と昼の長さの変化は高緯度地域になるほど大きくなり、北緯66.6度以北、南緯66.6度以南では、太陽が全く沈まず、一日中昼となる白夜と、太陽が全く昇らず、一日中夜となる極夜が生じる。北極や南極に近づくほど、白夜や極夜が続く期間は長くなり、北極と南極では、1年のうち半分は夜が続き、残り半分は昼となる。赤道では、ほとんど昼夜の長さの変化は生じない。

日の出、日の入りの定義が、太陽の中心が地平線または水平線に重なった瞬間ではなく、太陽の上端が地平線または水平線に重なった瞬間であること、さらに地平線、水平線付近では大気の影響で太陽が実際よりも上に見えることから、春分、秋分の日でも、昼と夜は同じ長さにならず、夜が少し短くなる。

太陽が沈んだ後、または昇ってくる前に、まだ夜なのに空が明るく昼に近い状態になることがある。これを薄明という。高緯度地域では、太陽が地平線と浅い角度をもって移動するようにみえるため、低緯度地域に比べて薄明が長く続く。

夜になると、空には恒星惑星などが明るく輝くようになる。昼でも見える月などごく一部の天体の観測や、流星の電波観測などを除けば、天体観測はもっぱら夜に行われることになる。

夜空では天の川も観測することができる

気象から見た夜

気象面から見れば、夜は何より太陽が見えない時間である。太陽は地表の熱源であるから、夜間は気温地温が下がる。気温の低下は太陽が姿を現すまで続くから、もっとも気温が低くなるのは夜明け寸前であり、この時に一日の最低気温となる。

気温が下がると空気の飽和水蒸気量は低くなるから、夜間は相対的に湿度が高くなる。露点以下となれば水蒸気は凝結して水となる。暖かい季節であればこれはの形を取り、冬にはとなる。あるいはの形を取る場合もある。

また、地表では放射冷却のために空気より冷えやすい。そのため、地表近くの空気の方がより高いところの空気より温度の低下が激しい。そのため地表近くが先に露点に達する。その結果、山頂から見降ろした場合、谷間に一面に雲ができているのが見える場合がある。これを雲海という。なお、自動車などがまわりの地表より早く霜が付いたりするのは、地面よりさらに放射冷却が激しいからである。

生物と夜

コウモリは夜行性動物の1つである

動物の中には、夜に主に活動するものと、昼に主に活動するものがいる。これをそれぞれ、夜行性昼行性という。ヒトは元々昼行性動物であるが、を使用し、さらに電灯などを用いるようになり、現在では昼夜を問わず活発に活動しているが、基本的には昼行性は維持されていると見て良い。

植物は光合成で生活しているから、基本的には昼間に活動するものと考えられ、中には夜間は葉を閉じるものもある。ネムノキなどが有名で、このような葉の動きを就眠運動という。花にも夜間は閉じるものが多い。これは傾性による。しかし、中には夜間に花を開くものがある。これらは、夜行性の動物を花粉媒介に利用するものと考えられる。

植物は、昼は光合成呼吸をしているが、夜になると動物と同じように呼吸のみをするようになる。そのため、夜になると、昼に比べて大気中の酸素濃度はわずかに減少し、二酸化炭素濃度は増加する。野外においてはこの差はそれほど大きいものではないが、アクアリウムのようなほぼ閉じた環境では、影響も大きい。

暖地の砂漠では、夜行性の動物が圧倒的に多い。昼間は活動するには過酷だからである。植物においては、光合成は当然昼間に行わなければならないが、その時に気孔を開けては水分が放出されてしまう。そのため夜間に二酸化炭素を取り込むCAM型光合成をおこなうものが知られる。

人間と夜

人間は、主に昼に経済活動などを行い、夜になると睡眠をとる。特に電灯などが発明される前は、日の出とともに起き、日没とともに寝るという生活のリズムが主だった。ただし、夜は全く活動しなかったとも考えられない。ホモ・エレクトゥスの時代から人間の祖先はを扱ってきたと考えられる。したがって、夕方から夜にかけては一定の活動があったものと考えられる。灯火が現在ほど発達していなかった時代から、性的活動は夜に行なわれたことも多かった。むしろ闇によって引き起こされる活動もまたあったものと考えられる。灯火が発達するにつれ、夜間に明かりをつけた下での活動に特に重要な意味が与えられる例が多い。「歴史は夜作られる」との言葉もある。イスラム教断食月は、昼間の断食が義務づけられているので、食事は夜間に取り、この期間は夜がにぎやかとなる。

夜の大阪ネオンサイン

現代では、夜になっても活発に活動するようになっている。仕事学校を終えて、遊ぶ時間に使っている人も多い。夜も半ばを過ぎると、かなりの人が睡眠をとる時間になり、経済活動などはあまり行われない時間帯つまり深夜(夜中や夜半とも呼ばれる)となる。しかし、コンビニエンスストアなど、24時間営業するが近年増え、この時間帯の経済活動も活発となっている。

ゴッホの『星月夜』。ニューヨーク近代美術館所蔵

神話と伝説

夜は人間にとって最大の感覚である視力を奪われ、それに基づく危険が多い。また家畜に被害を与えるなどの獣や盗賊などの発見と追跡を困難にすることから、危険や悪と関連付けて語られることが多い。ほとんどの世界の創造の神話や伝説は、天地だけでなく、太陽と月の他に昼夜の創造を伴っている。魔法魔術は、夜により力を発揮すると考えられていることが多い。例えば吸血鬼は夜に活動すると信じられているし、狼男は夜に狼に変身するという伝承がある。

フィクション

様々なフィクションで夜は物語の要素として登場するものの、夜が主題となっている作品は数が限られている。映画では限られたセットを有効に活用するために夜の闇を効果的に使っている作品が多い。

音楽

夜をテーマとした個々の楽曲は枚挙に暇がない。形式として夜を意識したものには以下のようなものがある。

関連項目