柴岡弘郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
柴岡 弘郎
生誕 (1934-01-12) 1934年1月12日
東京都荏原区
死没 (2018-03-31) 2018年3月31日(84歳没)
国籍 日本
研究分野 生物学植物学
研究機関 大阪大学名誉教授
出身校 東京大学大学院
主な受賞歴
プロジェクト:人物伝
テンプレートを表示

柴岡 弘郎(しばおか ひろお、1934年1月26日 - 2018年3月31日)は、日本生物学者理学博士大阪大学名誉教授東京都出身。

概要[編集]

大阪大学名誉教授(理学部)。元JSPP(日本植物生理学会)サイエンスアドバイザー。兄は青山学院大名誉教授の数学者、柴岡泰光。

都立十三中学校(現在の東京都立豊多摩高校)に在学中、所属していた生物部の指導教官に、「ヒマワリって本当に廻るのでしょうか。」と訪ねたところ、「僕は廻ると思っているんだが、どうだキミ一つ見てみんか。」と諭され実験を行う。このことがきっかけで、生物学を志すようになった。[1]

植物細胞が細長く成長する分子機構の解明に取り組み、植物ホルモンであるジベレリンセルロース繊維の方向を制御することで、重要に関与していることを明らかにした。[2]

また、研究の過程で、広く除草剤として使われていた化合物ジクロロベンゾニトリル(ジクロベニル)がセルロース合成阻害剤であることを世界で初めて明らかにした。[3]この物質は現在でも、最も特異性の高いセルロース合成阻害剤として使用されている。

道管要素の細胞分化過程において、アクチン繊維が二次細胞壁沈着パターンを制御する事の発見など、評価の高い業績を挙げた。[4]

植物化学調節学会、日本植物学会ならびに日本植物生理学会等において活躍し、当該分野の発展に大きく貢献した。[5]

2018年信貴山に登山中体調が悪くなり単独下山。道中で行方不明になる。2019年7月、登山者により遺体が発見され、死亡が確認された。[6]

研究職歴[編集]

受賞[編集]

  • 1992年 - 植物化学調節学会賞
  • 1994年 - 日本植物生理学会論文賞、アメリカ植物生理学会 Corresponding Membership Award
  • 1997年 - 国際植物生長調節物質学会(IPGSA) Distinguished Research Award
  • 2004年4月 - みどりの学術賞 (内閣府)
  • 2005年 - 南方熊楠賞[7]、日本植物学会学会賞大賞
  • 2011年 - 日本植物生理学会功績賞
  • 2019年 - 瑞宝中綬章

主な著書[編集]

  • Controlling Factors in Plant Development(共著)(1978) 出版社:日本植物学会
  • 植物生理学入門(共著)(1980) 出版社:培風館
  • 図説細胞骨格(共著・石川春律編)(1985) 出版社:講談社サイエンティフィク
  • 生物と分化 現代植物生理学3 (編・著)(1990) 出版社:朝倉書店
  • 植物ホルモンと細胞の形(共編・著)(1998) 出版社:学会出版センター
  • キミ見てみんか―この素晴らしき植物の世界(著)(2000) 出版社:学会出版センター
  • 植物は形を変える―生存の戦略のミクロを探る (著)(2003) 出版社:共立出版

脚注[編集]

  1. ^ キミ見てみんか この素晴らしき植物の世界. 学会出版センター. (2000-04) 
  2. ^ 柴岡弘郎 (1993). “ジベレリンによる細胞伸長方向の制御”. 植物の化学調節 28: 1 - 7. 
  3. ^ Hogetsu, Taizo; Shibaoka, Hiroh; Shimokoriyama, Masami (1974-04-01). “Involvement of cellulose synthesis in actions of gibberellin and kinetin on cell expansion. 2,6-Dicholorobenzonitrile as a new cellulose-synthesis inhibitor” (英語). Plant and Cell Physiology 15 (2): 389-393. doi:10.1093/oxfordjournals.pcp.a075017. ISSN 0032-0781. https://academic.oup.com/pcp/article/15/2/389/1936335. 
  4. ^ Shibaoka, Hiroh; Nagai, Reiko (1994-02-01). “The plant cytoskeleton” (英語). Current Opinion in Cell Biology 6 (1): 10-15. doi:10.1016/0955-0674(94)90110-4. ISSN 0955-0674. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0955067494901104. 
  5. ^ 過去のみどりの学術賞(第6回~第10回):みどりの学術賞 ‐ 内閣府”. www.cao.go.jp. 2020年5月10日閲覧。
  6. ^ 阪大理生物同窓会誌”. 大阪大学理学研究科. 2020年5月8日閲覧。
  7. ^ 第11回~第20回南方熊楠賞受賞者”. 南方熊楠顕彰館. 2022年8月16日閲覧。