吉利・SEA

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SEA第1号車のZeekr・001

SEA(Sustainable Experience Architecture、サスティナブル・エクスペリエンス・アーキテクチャー、SEA浩瀚)とは、中国吉利汽車が開発したEV用のモジュラープラットフォームである。

概要[編集]

SEAは中国・スウェーデンイギリスドイツの開発センターにて、3年の期間と180億元(約2783億円)の費用をかけて開発され、2020年9月に発表された。[1] [2]

2021年、SEAを採用した第1号車であるZeekr・001の量産が開始された。[3]

吉利はSEAを「世界初のオープンソースアーキテクチャ」と称しており、SEAを他社へオープンに供給していくことを明言している。[1]

2022年には、ポーランドの国営エネルギー会社などが設立した新興EVメーカー「Electro Mobility Poland」に対して、Cセグメント用のSEAが提供されることが発表された。特に新興メーカーにとっては、SEAを利用することで、プラットフォーム開発の投資を抑えられるメリットがある。[4]

仕様[編集]

SEAの対象とするボディタイプはAセグメントからFセグメント、商用車と多岐に渡り、また2WD4WDどちらにも対応できるなど、幅広い拡張性を備える。[1]

プラットフォームのパッケージには、車体と駆動システムに加え、急速充電、OTAアップデート機能や自動運転機能なども含まれる[1][2]

SEAには以下の6種類のバージョンが存在する。[5][6]

駆動用の電装システムは400Vと800Vの2種類。搭載バッテリーはCATL製で、例としてSEA-Eには58kWhと68kWhのバッテリー容量が用意される。大型のSEA1では最大100kWhの大容量バッテリーも選択できる。[5]

モーターは1台につき最大3基まで搭載できる。また、レンジエクステンダーとして小型エンジンをリアに搭載することも可能。[5]

吉利傘下のロータスは、SEAを独自にカスタマイズしたEPAプラットフォームを開発し、自社の車両へ採用している。[7]

自動運転[編集]

Zeekr・M-Vision

2022年11月、吉利(Zeekr)はウェイモと共同開発した自動運転車専用プラットフォーム「SEA-M」と、SEA-Mを使用した自動運転コンセプトカー「M-Vision」発表した。[6]

SEA-Mは、搭載された自動運転用のインターフェースにより、レベル4以上の自動運転に対応する。自動運転が前提のためドライバーに焦点を当てた設計にする必要がなく、広大な室内空間や多彩なシートレイアウトなどにより、乗員の室内空間を最大限活用することが可能となる。ホイールベースは2,700から3,300mmまで対応する。[6][8]

SEA-Mを採用した車両の第1号はウェイモに納入されることが発表され、今後数年を掛けてウェイモ・ワンの配車フリートとしてSEA-M車両が導入される予定である。[6]

採用車種[編集]

ブランド 外観 タイプ 車種名 発売年 備考
Zeekr SEA1 001 2021年
PMA2+ 007 2023年 SEAをベースとした派生プラットフォーム
SEA1 009 2023年
SEA2 X 2023年
ボルボ SEA2 EX30 2023年
SEA1 EM90 2024年
ポールスター SEA1 4 2023年
スマート SEA2 #1 2022年
SEA2 #3 2023年
ロータス EPA エレトレ 2022年 SEAをベースとした派生プラットフォーム
EPA エメヤ 2024年 SEAをベースとした派生プラットフォーム
Radar SEA-C RD6 2022年
極越 SEA1 01 2023年

脚注[編集]

  1. ^ a b c d "Geely Holding Launches Open-Source Electric Vehicle Architecture" (Press release) (英語). Zhejiang Geely Holding Group. 23 September 2020. 2024年2月25日閲覧
  2. ^ a b 安麗敏「中国・吉利汽車「新型プラットフォーム」の狙い」『東洋経済オンライン』、2020年10月6日。2024年2月25日閲覧。
  3. ^ Mark Kane (2021年10月19日). “Geely's Zeekr 001 Enters Production In China” (英語). INSIDEEVs. https://insideevs.com/news/541793/zeekr-001-enters-production-china/ 2024年2月25日閲覧。 
  4. ^ Gustavo Henrique Ruffo (2022年11月17日). “Geely's Sustainable Experience Architecture (SEA) Will Underpin Izera’s Electric Vehicles” (英語). autoevolution.com. https://www.autoevolution.com/news/geely-s-sustainable-experience-architecture-sea-will-underpin-izeras-electric-vehicles-204135.html 2024年2月25日閲覧。 
  5. ^ a b c Stefan Leichsenring (2021年6月20日). “Geelys SEA-Plattform: Chefingenieur erläutert 5 Versionen” (ドイツ語). INSIDEEVs. https://insideevs.de/news/515219/geely-plattform-sea-funf-versionen/ 2024年2月25日閲覧。 
  6. ^ a b c d "ZEEKR's SEA-M Architecture Is the New Answer to Future Mobility" (Press release) (英語). Zhejiang Geely Holding Group. 17 November 2022. 2024年2月25日閲覧
  7. ^ "Geely Holding Showcases Next-Generation Products at Shanghai International Automobile Industry Exhibition" (Press release) (英語). Geely Auto. 19 April 2020. 2024年2月25日閲覧
  8. ^ 有田直矢「吉利のEVブランド ZEEKR、ウェイモ向け自動運転モビリティ「M-Vision」を発表[中国]」『Response.』、2022年11月29日。2024年2月26日閲覧。

外部リンク[編集]