並木道 (サン=シメオン農場の道)

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『並木道(サン=シメオン農場の道)』
フランス語: Promenade, route de la ferme Saint-Siméon
作者クロード・モネ
製作年1864年
種類油彩/カンヴァス
寸法81.6 cm × 46.4 cm (32.1 in × 18.3 in)
所蔵国立西洋美術館 (松方コレクション)

並木道 (サン=シメオン農場の道)』 (: Promenade, route de la ferme Saint-Siméon: Walk (Road of the Farm Saint-Siméon))は、1864年クロード・モネがサン=シメオンにて描いた作品である。落ち着いた色合いや木々のアーチと奥行きのある道の描き方などはバルビゾン派、特にコローの影響が色濃い作品[1]

概要[編集]

ノルマンディーの港町オンフルールとトゥルーヴィルを結ぶ街道沿いに位置するサン=シメオンの農場は、多くの芸術家たちの交流の場となったことで知られる[2]。モネは1864年の5月末からバジールとともにノルマンディーへ滞在した際、このサン=シメオンを拠点としている。

ウィルゲンシュタインカタログ・レゾネには、サン=シメオンの前の道を描いた5作品が収録されている (w24, 25, 28, 29, 30)。この作品はその中の一つ。モネはバジール宛の書簡[注 1]ではこのように述懐している[1]

君が描き始めを見ていない簡素な習作もありますが、それは完全に自然にもとづく写生です。コローとの結びつきを感じるかもしれませんが、それは決して模倣ではありません。モチーフと、何よりも静謐で霧がかった様子がそう思わせるだけなのです。

他の作品への影響[編集]

バジール『フュルスタンベール通りのアトリエ』1866年[3]

『並木道 (サン=シメオン農場の道)』を描いた翌年の1865年からモネバジールの誘いでパリのアトリエを共有していた。1866年に描かれたバジールの『フュルスタンベール通りのアトリエフランス語版』ではモネとアトリエを共にしていたことを示すように、奥の壁に本作品と思われる絵が描き込まれている[1]

ヴァリアント[編集]

画像 作品名 ウィルデンシュタイン番号 制作年 寸法(cm) 所蔵先 備考
サン=シメオン農園の道 w.24 1864年 59 x 80 個人蔵
道 (サン=シメオン農園の前) w.25 1864年 37.0 x 22.0 日本テレビ放送網
日本の旗 日本東京都港区
サン=シメオン農園の道 w.28 1864年 52.5 x 72.5 泉屋博古館
日本の旗 日本東京都港区
並木道 (サン=シメオン農場の道) w.29 1864年 81.6 x 46.4 国立西洋美術館
日本の旗 日本東京都台東区
サン=シメオン農園の道 w.30 1864年 91 x 48 個人蔵
フランスの旗 フランス

注釈[編集]

  1. ^ 1864年10月14日、モンペリエにいたバジール宛にこの書簡を通じて町の有力な収集家アルフレッド・ブリュイヤスへ自作の購入をもちかけている

出典[編集]

参考文献[編集]

  • Lewis, Adrian (1864-1867). "Monet's Route de la ferme St-Simeon series". Apollo 
  • 『モネ、風景をみる眼―19世紀フランス風景画の革新 展覧会図録』TBSテレビ、2013年。ISBN 978-4-906908-06-6 
  • カリン・ザークナー=デュヒティンク『クロード・モネ』タッシェン・ジャパン〈タッシェン・ビッグアートシリーズ〉、2001年。ISBN 4-88783-043-2