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ヨウシュンシャ

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ヨウシュンシャ
ヨウシュンシャ
香港動植物公園のヨウシュンシャ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angisosperms
階級なし : 単子葉植物 Monocots
階級なし : ツユクサ類 Commelinids
: ショウガ目 Zingiberales
: ショウガ科 Zingiberaceae
: アモムム属 Amomum
: ヨウシュンシャ A. villosum
学名
Amomum villosum
(Lour.)
シノニム
  • Amomum echinosphaera K.Schum.
  • Amomum villosum var. villosum
  • Cardamomum villosum (Lour.) Kuntze
  • Elettaria villosa (Lour.) Miq.
  • Zingiber villosum (Lour.) Stokes[2]

ヨウシュンシャ(陽春砂、学名: Amomum villosum)は、東南アジア全域と中国南部で栽培されているショウガ科植物である[3]カルダモンと同様に、果実のために栽培され、果実は成熟すると鞘へと乾燥し、強い芳香のある種子を含む[4]。ヨウシュンシャはショウガ科の常緑植物で、木陰で育ち、高さは1.5から3.0メートルに成長する。枝と葉はショウガのものと似ている。ヨウシュンシャは、地面に広がった花が果実を付けるのに対して、枝上の花は付けないという特徴を持つ。花は3月と4月に咲き、色は白翡翠の色である。

陽春砂仁とも。名称は中国広東省陽春市に産することに由来する。

亜種

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  • シュクシャ(縮砂)Amomum villosum var. xanthioides (Wall. ex Baker) T.L.Wu & S.J.Chen[2]
    • シノニム: Amomum xanthioides Wallich.

利用

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鞘は中薬学英語版において胃痛や赤痢の治療のために、中国料理において風味付けのために使われる[4]

薬草学

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ヨウシュンシャは甘味、酸味、苦味、塩味、そしてピリッとした味を持つ。その花、果実、根、茎、葉は薬として使うことができる。王朝以降、本草綱目といった多くの薬草に関する書物が、ヨウシュンシャの味は刺激性だがさわやかで、わずかに苦い、と述べている。

砂仁

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中薬の「砂仁」はヨウシュンシャ (A. villosum)、カイナンシャジン中国語版(海南砂仁、A. longiligulare)、シュクシャ(縮砂、A. xanthioides(= A. villosum var. xanthioides))を基原とする。

日本薬局方に収載されている生薬シュクシャ(縮砂)はA. xanthioides Wallich. を基原とする[5]

料理

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ヨウシュンシャはよい薬味、香辛料である。

保護

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種子および成熟果実に対する需要により、そして地域住民による森での焼畑農業の阻止のため、ヨウシュンシャの栽培とゴムノキとの混植雲南省広東省の政府によって推奨されてきた[6]。しかしながら、森林におけるヨウシュンシャの広範な栽培は中国西南部の熱帯雨林における種の多様性の減少をもたらしている[7]

出典

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  1. ^ IUCN 2012. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2012.2. <www.iucnredlist.org>. Downloaded on 23 November 2012.
  2. ^ a b The Plant List (2013年). “Amomum villosum Lour.”. 2019年7月1日閲覧。
  3. ^ “Amomum villosum”, Encyclopedia of Life, http://eol.org/pages/1126539/details 
  4. ^ a b G. Li; A.J. Chen; X.Y. Chen; X.L. Li; W.W. Gao (2010), “First report of Amomum villosum (cardamom) leaf lesion caused by Pyricularia costina in China”, New Disease Reports 22 (2): 2, doi:10.5197/j.2044-0588.2010.022.002, http://www.ndrs.org.uk/article.php?id=022002 
  5. ^ 厚生労働省 (2016年9月2日). “第十七改正日本薬局方 – 医薬品各条 – 生薬等”. 国立医薬品食品衛生研究所. pp. 1824. 2019年6月17日閲覧。
  6. ^ Zhou, Shouqing (1993), “Cultivation of Amomum villosum in tropical forests”, Forest Ecology and Management 60 (1–2): 157–162, doi:10.1016/0378-1127(93)90029-M, http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/037811279390029M# 
  7. ^ Liu, Hongmao; Gao, Lei; Zheng, Zheng; Feng, Zhili (2006), “The impact of Amomum villosum cultivation on seasonal rainforest in Xishuangbanna, Southwest China”, Biodiversity and Conservation 15 (9): 2971–2985, doi:10.1007/s10531-005-3876-4 

関連項目

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外部リンク

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