ヤグルマギク
ヤグルマギク | |||||||||||||||||||||
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ヤグルマギク
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Centaurea cyanus L. | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ヤグルマギク(矢車菊) | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
cornflower |
ヤグルマギク(矢車菊、学名 Centaurea cyanus)は、キク科ヤグルマギク属の1種である。
和名ではヤグルマギクと呼ばれており、近年一部でヤグルマソウとも呼ばれた時期もあったが、ユキノシタ科のヤグルマソウと混同しないように現在ではヤグルマギクと統一されて呼ばれ、最新の図鑑等の出版物もヤグルマギクの名称で統一されている。
野生種は青紫色で、種名の「cyanus」は「あさぎ色の」という意味である。属名の「Centaurea」は、ギリシャ神話に出てくる半人半馬の怪物ケンタウルスから。
産地
[編集]ヨーロッパ原産。もとは麦畑などに多い雑草だったが、園芸用に改良され紫、白、桃色などの品種が作られた。ドイツ連邦共和国、エストニア共和国、マルタ共和国、フランス共和国の国花として扱われている。
特徴
[編集]耐寒性一年生植物。ヤグルマギク属の別種には多年草のものもある。
高さは20-100cmで、全体が毛で覆われるため白みを帯びて見える。夏に筒状花からなる矢車状の花が咲く。種子は痩果で、短い毛が付く。
日本には明治期に導入されたが、現在では帰化植物として野外でも多く見られる。原産地同様に麦畑に侵入すると、収量を5割から9割も減らす強害雑草となるため恐れられている[1]。
観賞用のほか食用品種(食用やぐるまぎく)もある[2]。
栽培
[編集]東北地方以北または寒さの厳しい中部山岳地帯では春播きにするが、関東地方以西の平地では秋まきにする。現在販売されているタネはほとんどが寒咲種で、8月末にまき、暖かな日だまりに植えておいてやると、年内に開花する。普通は9月下旬に播種し、4月頃から咲かせる。
病虫害も少なく、丈夫な草花で、花壇や家庭の切り花などに用いられる。このため、上記のような問題も発生するので注意が必要である。
文化
[編集]その青紫色の美しさから、最高級のサファイアの色味を「コーンフラワーブルー」(ヤグルマギクの花の青)として引き合いに出される。
ツタンカーメン王の棺の上にはヤグルマギク、蓮、オリーブ等で作られた花輪が載せられていた。
マリー・アントワネットが好んだ花であり、洋食器の『小花散らし』の模様は彼女がデザインしたヤグルマギクの柄に由来する。
学名Centaurea cyanus(ケンタウルス チアヌス)の由来
[編集]ギリシャ神話に登場する半人半馬のケンタウルスが、ヒュドラーの血に浸した毒矢によって殺された。傷口に矢車菊の花びらをふりかけると、ケンタウルスはさっそうと生き返ったという[3]。
ローマ神話の花の女神、フローラの熱心な崇拝者チアヌスが死んだ。女神は若者の死を悼み、彼が野原で集めていた花に「チアヌス」の名前を与えた。学名の後半は、この伝説が由来の模様[3]。なお、cyanusは、ギリシャ語で「濃い青色」を意味する。
脚注
[編集]- ^ “麦作におけるヤグルマギクの防除法”. 長野県農業試験場. 2018年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月15日閲覧。
- ^ “食用花類 Edible flowers”. 農林水産省. 2022年2月23日閲覧。
- ^ a b 瀧井康勝『366日 誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、218頁。