マツブサ属
マツブサ属 | |||||||||||||||
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(上) 1a. Schisandra grandiflora
(下) 1b. Schisandra rubriflora | |||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||
Schisandra Michx. (1803)[1] | |||||||||||||||
タイプ種 | |||||||||||||||
Schisandra coccinea Michx. (1803)[2] = Schisandra glabra (Brickell) Rehder (1944)[3] | |||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||
starvine[2], magnolia vine[4] | |||||||||||||||
下位分類 | |||||||||||||||
マツブサ属(マツブサぞく、学名: Schisandra)は被子植物のマツブサ科に分類される属の1つである。落葉性または常緑性のつる性木本であり、精油を含む。花は単性花であり雌雄同株または雌雄異株、らせん状に配置した多数の花被片、雄しべ、雌しべ (心皮) をもつ(図1)。果実は赤熟または黒熟する液果であり、花後に花托が伸長してブドウの房状になる。26種ほどが知られ、多くは東アジアから東南アジアに分布しているが、1種のみ北米南部に隔離分布している。
さまざまな生理活性物質を含み、一部の種は薬用に用いられている[5][6][7](チョウセンゴミシなど)。また観賞用に栽培されることや、縄などの材料とされることもある[4][6]。
特徴
[編集]落葉性または常緑性のつる性木本 (藤本) である[6][8] (下図2a, b)。葉柄をもち、葉身は楕円形から卵形、倒卵形、革質から洋紙質、基部はくさび形、先端は鋭形から鋭突形、葉縁にはふつう鋸歯がある[6][8] (下図2c)。
花は単性、雌雄同株または雌雄異株[6][8]。花はふつう葉腋 (鱗片腋) から生じる花柄に単生する[6][8] (上図2c)。花被片は5–20枚、白色から紅色、離生し、らせん状につく[6] (下図3a, b)。雄しべは4–60個、らせん状につき、離生または合生する[6][8] (下図3a)。花粉は放射状の3溝粒または6溝粒[6][8]。心皮は12-120個、離生、2–3個の胚珠を含み、球形の花托上にらせん状につく[6][8] (下図3b)。果実は液果、赤色または黒色に熟し、花後に花托が伸長するため、ブドウの房状の集合果となる[6][8] (下図3c)。種子は1–3個、腎臓形、表面は平滑またはいぼ状突起で覆われる[6][8]。
分布
[編集]東アジアから東南アジアの温帯域から熱帯域に分布している。1種のみ (Schisandra glabra) 北米南部 (米国南東部とメキシコ) に隔離分布している[6][8]。
系統と分類
[編集]マツブサ属 (Schisandra) はマツブサ科に属し、特にサネカズラ属 (Kadsura) に近縁である。ただし分子系統学的研究からは、マツブサ属が単系統群ではなく、一部の種 (S. plena, S. propinqua) が系統的にはサネカズラ属の中に含まれることが示されている[9] (下図4)。
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4. マツブサ科 (特にマツブサ属とサネカズラ属) の系統仮説 (一部の種のみ)[9][10] |
マツブサ属には、およそ26種が知られている[1] (下表1)。日本には、チョウセンゴミシとマツブサが自生している[8]。
ギャラリー
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f “Schisandra”. Plants of the World online. Kew Botanical Garden. 2021年8月11日閲覧。
- ^ a b Wunderlin, R. P., Hansen, B. F., Franck, A. R. & Essig, F. B. (2021年). “Schisandra”. Atlas of Florida Plants. Institute for Systematic Botany, University of South Florida, Tampa. 2021年8月11日閲覧。
- ^ “Schisandra glabra”. Plants of the World online. Kew Botanical Garden. 2021年8月11日閲覧。
- ^ a b “SCHISANDRA - MAGNOLIA VINE”. 2021年8月11日閲覧。
- ^ Szopa, A., Barnaś, M. & Ekiert, H. (2019). “Phytochemical studies and biological activity of three Chinese Schisandra species (Schisandra sphenanthera, Schisandra henryi and Schisandra rubriflora): Current findings and future applications”. Phytochemistry Reviews 18 (1): 109-128. doi:10.1007/s11101-018-9582-0.
- ^ a b c d e f g h i j k l m Flora of China Editorial Committee (2010年). “Schisandra”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年8月11日閲覧。
- ^ “チョウセンゴミシ”. 熊本大学薬学部 薬草園 植物データベース. 2021年7月16日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 大橋広好 (2015). “マツブサ属”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. pp. 49–50. ISBN 978-4582535310
- ^ a b Fan, J. H., Thien, L. B. & Luo, Y. B. (2011). “Pollination systems, biogeography, and divergence times of three allopatric species of Schisandra in North America, China, and Japan”. Journal of Systematics and Evolution 49 (4): 330-338. doi:10.1111/j.1759-6831.2011.00125.x.
- ^ Zhang, J., Chen, M., Dong, X., Lin, R., Fan, J. & Chen, Z. (2015). “Evaluation of four commonly used DNA barcoding loci for Chinese medicinal plants of the family Schisandraceae”. PloS One 10 (5): e0125574. doi:10.1371/journal.pone.0125574.
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “BG Plants 和名−学名インデックス(YList)”. 2021年8月11日閲覧。
外部リンク
[編集]- Flora of China Editorial Committee (2010年). “Schisandra”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年8月11日閲覧。 (英語)
- “Schisandra”. Plants of the World online. Kew Botanical Garden. 2021年8月11日閲覧。 (英語)
- GBIF Secretariat (2021年). “Schisandra Michx.”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年8月11日閲覧。