コンテンツにスキップ

ハダカホオズキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハダカホオズキ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
: ナス目 Solanales
: ナス科 Solanaceae
: ハダカホオズキ属 Tubocapsicum
: ハダカホオズキ T. anomalum
学名
Tubocapsicum anomalum (Franch. et Sav.) Makino

ハダカホオズキ (裸酸漿、竜珠[1]、学名:Tubocapsicum anomalum )は、ナス科の草本。秋に真っ赤な実をぶら下げるようにつける。

特徴

[編集]

全体に毛のない多年生草本[2]。地下には太い根がある。草丈は60-90cm[3]、時に1mに達する。直立する茎はよく分枝し、全体に緑色。分枝はやや叉状[4]。葉は互生し、卵状楕円形から卵形、膜質で軟らかく、先端と基部は細長く尖り、縁は滑らか。長さ5-22cmで葉柄は3-10cm、葉身の基部は細まって葉柄に続く。

花期は8-9月[5]。葉は葉腋から1-2個、時に4個まで束になって生じ、長さ1.5-2.5cmの細い柄があって[4]、垂れ下がって開花する。花は白から次第に淡黄色になる。萼は湾状で先端が切れたように平らになり、ほとんど裂けない。花冠は長さ5mm、径8mmほどで短い鐘状、基部はやや筒状になり、先端は5裂し、その裂片は反り返る。雄蘂は花筒とほぼ同じ長さで葯は長さ1mm。

液果は球形で径6-7mm、赤く熟する。萼は果実になるときに僅かに膨らむが、ホオズキ属のように果実を包むまで膨らむことはない。また花柄も先端がやや太くなる[4]。種子は扁平で長さ約1.5mm。

果実がホオズキのように袋に包まれておらず、裸であることからこの名がある[6]

分布と生育環境

[編集]

日本では本州四国九州琉球列島および小笠原諸島に分布[5]。ただし琉球列島では奄美大島沖縄本島石垣島与那国島にのみ生育する[7]。 世界的には東南アジア熱帯亜熱帯域に広く分布する[5]

やや湿り気のある林縁に生える[8]

分類など

[編集]

ホオズキ属イガホオズキ属などに似ているが、これらとは異なり果時に萼が果実を包まない。本属は長く本種1種のみの単形属とされてきたが、YListではムニンハダカホオズキ T. boninense を独立種として認めている。ただしこの判断は異論がある様子[9]

種内の変異としては変種として認められているものにマルバハダカホオズキ var. obtusum がある。基本変種とは葉が厚く、先端がやや丸みを帯びる点で区別され、四国、九州南部に産する[5]。さらに北村他はこれが琉球と三宅島にも産し、海岸性であると書いている[4]。ただし初島はこの変種について、海岸のものではこのような特徴が明らかだが内陸では葉質が薄いものがあり、また中間型もあって区別は困難な場合が多いことを記している[7]

出典

[編集]
  1. ^ 『日本難訓難語大辞典』遊子館、2007年1月。 
  2. ^ 以下、記載は主として初島(1975),p.541
  3. ^ 佐竹他(1981),p92-93
  4. ^ a b c d 北村他(1957),p.157
  5. ^ a b c d 佐竹他(1981),p93
  6. ^ 林編(2009),p.196
  7. ^ a b 初島(1975),p.541
  8. ^ 鳥居(1997),p.15
  9. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “BG Plants 和名-学名インデックス(YList) ムニンハダカホオズキ”. 2015年10月9日閲覧。

参考文献

[編集]
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎他『日本の野生植物 草本III 合弁花類』,(1981),平凡社
  • 初島住彦 『琉球植物誌』 沖縄生物教育研究会、1975年、追加・訂正版
  • 北村四郎・村田源・堀勝、『原色日本植物図鑑・草本編I』、(1957)、保育社
  • 林弥栄編、『増補改訂新版 山渓カラー名鑑 日本の野草』、(2009)、山と渓谷社
  • 鳥居恒夫、「ホオズキ」:『朝日百科 植物の世界 3』、(1997)、朝日新聞社:p.12-15