ナイスの思想
『ナイスの思想』 | ||||
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ザ・ナイス の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
1967年秋 ロンドン オリンピック・スタジオ、パイ・レコーディング・スタジオ | |||
ジャンル | サイケデリック・ロック, プログレッシブ・ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | イミディエイト・レコード | |||
プロデュース | Emerlist Davjack | |||
ザ・ナイス アルバム 年表 | ||||
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『ナイスの思想』 (The Thoughts Of Emerlist Davjack) は、イングランドのロック・バンドのザ・ナイスが1967年に発表した1作目のアルバム。
解説
[編集]経緯
[編集]ザ・ナイスは1966年12月、ローリング・ストーンズのマネージャーのアンドリュー・ルーグ・オールダムが所有するイミディエイト・レコードに所属していたP・P・アーノルドのバック・バンドとして結成され、パット・アーノルド・アンド・ザ・ナイスとして活動を開始した。メンバーは、キース・エマーソン (キーボード)、リー・ジャクソン (ベース・ギター)、デヴィッド・オリスト (ギター)、イアン・ヘイグ (ドラムス)。彼等はアーノルドのライブでのバック演奏と前座を兼任し[注釈 1]、ミック・ジャガーがプロデュースした彼女のアルバムの録音に参加した。1967年8月、薬物常用で失調をきたして演奏に難があったヘイグに替えてブライアン・デヴィソンを迎えた。
1967年9月、彼等はアーノルドから独立して、オールダムのマネージメントの下でマーキー・クラブなどに定期的に出演するようになった。同年11月にイミディエイト・レコードからデビュー・シングル"The Thoughts of Emerlist Davjack"[注釈 2][4](『ナイスの思想』[注釈 3])、1968年3月に本作を発表した。
内容
[編集]本作は、1967年の秋からロンドンのオリンピック・スタジオとパイ・レコーディング・スタジオで約3週間かけて制作された[5]。オールダムはアーノルドの場合と同様に、ジャガーにプロデュースさせようと計画したが実現せず[6]、プロデュースはEmerlist Davjack[注釈 2]名義になった。
「フラワー・キング・オブ・フライズ」と「ナイスの思想」のリード・ヴォーカルはオリストが担当した。前者の歌詞は小説『蠅の王』に影響された[6]。後者には、彼等と同じくイミディエイト・レコードに属していたビリー・ニコルス[注釈 4]がクレジットなしでコーラスに参加した[7]。
「ロンド」はデイヴ・ブルーベックの「トルコ風ブルー・ロンド (Blue Rondo à la Turk)」の改作で、中間部でヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲の「トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565」の一節が演奏されている。この曲はザ・ナイスのコンサートでオープニングを飾った[注釈 5]。
「じれったいマギー」の最後に、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハが1766年に作曲した'Solfeggietto'がピアノで引用されている[8]。
セロファンを纏ったメンバーを写したジャケットは、ローリング・ストーンズやジミ・ヘンドリックスなど多くのミュージシャンの写真を撮影したゲレッド・マンコヴィッツ[注釈 6]が制作した。
収録曲
[編集]- LP
- CD
- The Thoughts Of Emerlist Davjack (CD) 『ナイスの思想+5』[注釈 7]
# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
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1. | 「Flower King Of Flies (フラワー・キング・オブ・フライズ)」 | Keith Emerson, Lee Jackson | |
2. | 「The Thoughts Of Emerlist Davjack (ナイスの思想)」 | Emerson, David O'List | |
3. | 「Bonnie K (ボニー・K)」 | Jackson, O'List | |
4. | 「Rondo (ロンド)」 | Dave Brubeck, Emerson, O'List, Brian Davison, Jackson | |
5. | 「War and Peace (戦争と平和)」 | Emerson, O'List, Davison, Jackson | |
6. | 「Tantalising Maggie (じれったいマギー)」 | Emerson, Jackson | |
7. | 「Dawn (夜明け)」 | Emerson, Jackson, Davison | |
8. | 「The Cry of Eugene (ユージンの叫び)」 | Jackson, Emerson, O'List | |
9. | 「The Thoughts of Emerlist Davjack (single version) (ナイスの思想〔シングル・ヴァージョン〕)」(Bonus track (ボーナス・トラック)) | Emerson, O'List | |
10. | 「Azrial (Angel of Death) (アズラエル (死の天使))」(Bonus track (ボーナス・トラック)) | Emerson, Jackson | |
11. | 「America [instrumental] (アメリカ)」(Bonus track (ボーナス・トラック)) | Leonard Bernstein, Stephen Sondheim, Emerlist Davjack | |
12. | 「The Diamond Hard Blue Apples of the Moon (ダイヤモンド・ハード・ブルー・アップルズ・オブ・ザ・ムーン)」(Bonus track (ボーナス・トラック)) | Davison, Jackson | |
13. | 「America (US Single Edit) (アメリカ〔USシングル・エディット〕)」(Bonus track (ボーナス・トラック)) | Bernstein, Sondheim, Emerlist Davjack | |
合計時間: |
- The Thoughts Of Emerlist Davjack (CD) 『ザ・ソウツ・オブ・エマーリスト・デヴジャック』[注釈 8]
- The Thoughts Of Emerlist Davjack (Expanded De-luxe Edition)[注釈 9]
参加ミュージシャン
[編集]- The Nice
- キース・エマーソン (Keith Emerson) – オルガン、ピアノ、ハープシコード、ボーカル
- リー・ジャクソン (Lee Jackson) – ベース・ギター、ギター、ヴォーカル、ティンパニ
- デヴィッド・オリスト (David O'List) – ギター、トランペット、フルート、ヴォーカル
- ブライアン・デヴィソン (Brian Davison) – ドラムス、チューブラー・ベル、ティンパニ
- その他
- ビリー・ニコルス (Billy Nicholls) – コーラス(「ナイスの思想」)[7]
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ オールダムは彼等に対する観客の好反応を見て、1967年8月にバークシャーのウィンザーで開催されたナショナル・ジャズ・アンド・ブルース・フェスティバルに彼等を単独で出演させた。
- ^ a b "Emerlist Davjack"とはメンバーの名字を組み合わせた造語である(Emerson, O'List, Davison, Jackson)。
- ^ 日本のレコード会社は彼等を『ザ・ナイス』ではなく『ナイス』と呼称し、シングル曲の邦題を「ザ・ナイスの思想」ではなく「ナイスの思想」にした。
- ^ 1968年にイミディエイト・レコードからデビュー・アルバムWould You Believeを発表。シンガー・ソングライター、プロデューサー、音楽監督として長く活動を続ける。特に、ピート・タウンゼント、ロジャー・ダルトリー、ザ・フーとの活動が有名。
- ^ 第3作『ジャズ+クラシック/ロック=ナイス』や2009年に発売された 『フィルモア・イースト 1969』で聴かれる。解散後にエマーソンが結成したエマーソン・レイク・アンド・パーマーのコンサートでも頻繁に取り上げられた。
- ^ ローリング・ストーンズが1967年に発表した『ビトウィーン・ザ・バトンズ』のジャケット写真を撮影した。当時ストーンズのマネージャーでもあったオールダムに高く評価されていた。
- ^ VICP-61472、イミディエイト、SKU: 4988002419289。
- ^ ODRS98035、オールデイズ・レコード、SKU: 4582239476420。
- ^ Castle Music、CMQDD790。各トラックの作詞・作曲は本CDのライナーノーツに基づく。
出典
[編集]- ^ Edward Macan, Endless Enigma: A Musical Biography of Emerson, Lake and Palmer, pp. 19, 657; Richard Morton Jack, Galactic Ramble
- ^ “The Nice Biography, Songs, & Albums”. AllMusic. 2022年5月6日閲覧。
- ^ “"The Thoughts of Emerlist Davjack" 1967 or 1968??? - Rate Your Music”. rateyourmusic.com. 2022年5月6日閲覧。
- ^ “Discogs”. 2024年3月2日閲覧。
- ^ Hanson (2014), p. 61.
- ^ a b The Thoughts Of Emerlist Davjack(Sanctuary, CMQDD790)のライナーノーツ。
- ^ a b Hanson (2014), p. 64.
- ^ Macan (2006), p. 20.
引用文献
[編集]- Hanson, Martyn (2014). Hang on to a Dream: The Story of the Nice. London: Foruli Classics. ISBN 978-1-905792-61-0
- Macan, Edward (2006). Endless Enigma: A Musical Biography of Emerson, Lake and Palmer. Chicago and La Salle: Open Court. ISBN 978-0-8126-9596-0