ディメトロドン
ディメトロドン | |||||||||||||||||||||||||||
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地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||
古生代ペルム紀前期 (約2億9,500万 ~ 2億7,200万年前) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Dimetrodon Cope, 1878 | |||||||||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||||||||
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ディメトロドン (Dimetrodon、'二種類の歯'の意)は約2億9,500万 - 2億7,200万年前 (ペルム紀前期)に現在の北アメリカに生息していた肉食単弓類[1]。単弓綱・盤竜目(ペリコサウルス目)・真盤竜亜目・スフェナコドン科。学名は、ラテン語で「2種類の長大な歯」の意。
特徴
[編集]ほとんどのディメトロドン属は全長1.7 - 3.5メートルであった[2]が最小種D. teutonisは60cm程度であった[3][4]。
体型はトカゲ型だが、背に脊椎が伸びて形成される「帆」を有し、ディスプレイなどに用いていたと想像されている。
頭骨は既に哺乳類的な特徴(骨同士の可動性が低くなっている点など)を備えつつあり、同時に歯列の異歯化が進みつつあった(切歯、犬歯、奥歯の区別がある)。 一方で現生哺乳類や派生的な獣弓類(キノドン類)において見られる二次口蓋は獲得していなかった。当時の盤竜類としては、細い体幹と尾、長い四肢を持ち、活動的な捕食者であったと考えられている。
なお、一般的には現生のトカゲのようにガニ股歩行をしていたと考えられているが、本種(もしくは近縁種)のものと推測されている足跡化石からは、彼らが時として半直立姿勢で歩行(もしくは走行)していたことが示されている。
強膜輪の構造から夜行性とする説もあるが[5]、少なくともこの研究者たちによる恐竜に対する同様の研究は疑問視されている[6]。
帆
[編集]ディメトロドンの最大の特徴は、伸長した脊椎の神経棘である。この棘の間には帆が張られていたと考えられている。
体温調節の役割を持ち、体を温めたり冷やしたりするために使用された[7]とする説があるが、その一方で近縁属には体温調節としての役割を果たすことのできない短い帆を持つものがおり[8]帆の進化の歴史の大部分において体温調節としての機能を果たせなかったとされている[9]。
帆の役割は体温調節ではなく、ライバルを脅す、仲間に見せびらかすなどの求愛行動に関連していると考えられている[10][11][9]。
ちなみにスフェナコドン科のメンバーは全体的に神経棘が伸びる傾向がある。セコドントサウルス属も帆を有し、またスフェナコドン属も、帆にまではなっていないものの、棘突起は椎体の5倍ほどまで伸びている。
現代の哺乳類との関係
[編集]ディメトロドンと現代の哺乳類は、外見上は何の関連もないと思われるが、この両者の間には異歯性という共通する特徴がある。ディメトロドンは、その学名の通りに突き刺す用途の歯(犬歯)と肉を切り裂く用途の歯という異なった用途の二種類の歯を持ち、捉えた獲物を効率的に咀嚼していたと考えられている[12]。この形質は、のちに哺乳類に受け継がれるものである。ディメトロドン属そのものは哺乳類に繋がらず、子孫を残すことなく絶滅したが、ディメトロドンの属するスフェナコドン科に近い系統から、獣弓類(哺乳類に繋がる系統)が進化した。
分布
[編集]北アメリカのテキサス州及びヨーロッパから化石が発見されている。
主な種
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D. limbatus (Cope 1877) テキサス州で発見された種。全長2.6メートル。
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D. grandis (Case 1907) テキサス州で発見された大型種。全長3.2m。低い頭蓋骨が特徴。
脚注
[編集]- ^ 土屋健『カラー図解 古生物たちのふしぎな世界 繁栄と絶滅の古生代3億年史』講談社、2017年、209頁。ISBN 978-4-06-502018-0。
- ^ Berman, D.S.; Reisz, R.R.; Martens, T.; Henrici, A.C. (2001). “A new species of Dimetrodon (Synapsida: Sphenacodontidae) from the Lower Permian of Germany records first occurrence of genus outside of North America”. Canadian Journal of Earth Sciences 38 (5): 803–812. Bibcode: 2001CaJES..38..803B. doi:10.1139/cjes-38-5-803 .
- ^ “The Kungurian Age”. Palaeos. 12 November 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。29 September 2013閲覧。
- ^ Fröbisch, J.; Schoch, R.R.; Müller, J.; Schindler, T.; Schweiss, D. (2011). “A new basal sphenacodontid synapsid from the Late Carboniferous of the Saar-Nahe Basin, Germany”. Acta Palaeontologica Polonica 56 (1): 113–120. doi:10.4202/app.2010.0039 .
- ^ Angielczyk, K. D.; Schmitz, L. (2014-10-22). “Nocturnality in synapsids predates the origin of mammals by over 100 million years”. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 281 (1793): 20141642. doi:10.1098/rspb.2014.1642. PMC 4173690. PMID 25186003 .
- ^ Schmitz, Lars; Motani, Ryosuke (2011-12-23). “Response to Comment on “Nocturnality in Dinosaurs Inferred from Scleral Ring and Orbit Morphology”” (英語). Science 334 (6063): 1641–1641. doi:10.1126/science.1208489. ISSN 0036-8075 .
- ^ Cloudsley-Thompson, J. L. (2005-01-19) (英語). Ecology and Behaviour of Mesozoic Reptiles. Springer Science & Business Media. ISBN 978-3-540-22421-1
- ^ Huttenlocker, A.K.; Rega, E.; Sumida, S.S. (2010). “Comparative anatomy and osteohistology of hyperelongate neural spines in the sphenacodontids Sphenacodon and Dimetrodon (Amniota: Synapsida)”. Journal of Morphology 271 (12): 1407–1421. doi:10.1002/jmor.10876. PMID 20886514.
- ^ a b Tomkins, J.L.; LeBas, N.R.; Witton, M.P.; Martill, D.M.; Humphries, S. (2010). “Positive allometry and the prehistory of sexual selection”. The American Naturalist 176 (2): 141–148. doi:10.1086/653001. PMID 20565262. オリジナルの2016-04-12時点におけるアーカイブ。 .
- ^ Fiesta, Enrique; Davidson, John (2015-01-10) (英語). Dimetrodon - Permian Predator. Mendon Cottage Books. ISBN 978-1-310-19617-1
- ^ Zachos, Frank; Asher, Robert (2018-10-22) (英語). Mammalian Evolution, Diversity and Systematics. Walter de Gruyter GmbH & Co KG. ISBN 978-3-11-034155-3
- ^ Hidden dental diversity in the oldest terrestrial apex predator Dimetrodon(Kirstin S Brink:2014)
参考文献
[編集]- 金子隆一 『哺乳類型爬虫類 : ヒトの知られざる祖先』 朝日新聞社〈朝日選書〉、1998年、ISBN 4-02-259709-7。
- ロバートバッカー(著)、恐竜異説
関連項目
[編集]- ディメトロドン以前の頂点捕食者オフィアコドン、プロテロギリヌス
- ディメトロドン以後の頂点捕食者アンテオサウルス
- エダフォサウルス - ディメトロドン同様、背中に帆状の突起を持つ盤竜類。エダフォサウルス科。ただし、系統は遠い。石炭紀後期からペルム紀前期にかけて生息していた。同科のイアンタサウルスなども帆を持っていた。
- セコドントサウルス - スフェナコドン科。魚食性。同様に背中に帆を持つ。
- プラティヒストリクス - 両生綱・分椎目。背中の皮骨質の装甲板が帆状に伸長していた。ペルム紀前期に生息。
- スピノサウルス - ディメトロドン同様、背中に帆状の突起を持つ肉食爬虫類。こちらは恐竜である。白亜紀前期。