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ダレスト彗星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ダレスト彗星
6P/d'Arrest
仮符号・別名 P/1678 R1, 1678
P/1851 M1, 1851 II
P/1857 X1, 1857 VII
1870 III, 1870c
1877 IV, 1877d
1890 V, 1890d
1897 II, 1897a
1910 III, 1910c
1923 II, 1923b
1943 III, 1950 II
1950a, 1963 VII
1963f, 1970 VII
1970d, 1976 XI
1976e, 1982 VII
1982e, 1989 II
1987k[1]
分類 周期彗星
発見
発見日 1851年6月28日
発見者 ハインリヒ・ダレスト
軌道要素と性質
元期:2015年6月27.0日
(TDB 2457200.5)
軌道長半径 (a) 3.50368 au[1]
近日点距離 (q) 1.36145 au[1]
遠日点距離 (Q) 5.64591 au[1]
離心率 (e) 0.61142[1]
公転周期 (P) 6.56 [1]
軌道傾斜角 (i) 019.4817 °[1]
近日点引数 (ω) 178.1148 °[1]
昇交点黄経 (Ω) 138.9337 °[1]
平均近点角 (M) 017.5207 °[1]
前回近日点通過 2015年3月2日[2]
次回近日点通過 2021年9月17日[2]
最小交差距離 0.348387 au(地球)[1]
0.222081 au(木星)[1]
ティスラン・パラメータ (T jup) 2.709[1]
物理的性質
直径 3.2 km[1]
Template (ノート 解説) ■Project

ダレスト彗星(英語: 6P/d'Arrest)は、1851年6月28日にドイツ天文学者ハインリヒ・ダレストによりライプツィヒで発見された[3]周期6.56年の周期彗星[1]。1976年8月12日には地球へ0.15124 au接近した[4]。次に近日点(太陽に最も接近する場所)を通過するのは2021年9月17日で、見かけの等級は10になると予測されている[5]

ダレスト彗星が前回近日点を通過したのは2015年3月2日であった[2]。しかしこのときは2014年10月から2015年5月までがほとんど離角が30°未満であったため、観測に不向きな状態であった[6]

1991年にはAndrea Carusi、Giovanni B. Valsecchi、Ľubor Kresák英語版、Margita Kresáková英語版らは1678年フィリップ・ド・ラ・イールによって観測された天体はダレスト彗星と同一の天体ではないかと提唱した[3][7]

特徴

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軌道

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ダレスト彗星は周期6.56年の周期彗星で、軌道長半径は3.5 auである[1]。近日点(太陽に最接近する地点)は1.36 au、遠日点(太陽から最も遠い地点)は5.65 auであり、軌道離心率0.61の楕円軌道を公転している[1]。発見時から今までの近日点通過は以下の通りである[8][9]。ただし、1678年については含めない。

  • 1851年7月9日
  • 1857年11月28日
  • 1864年2月26日 (観測できず)
  • 1870年9月23日
  • 1877年5月10日
  • 1884年1月14日 (観測できず)
  • 1890年9月18日
  • 1897年5月23日
  • 1904年1月29日 (観測できず)
  • 1910年9月16日
  • 1917年4月2日 (観測できず)
  • 1923年9月15日
  • 1930年5月10日 (観測できず)
  • 1937年1月8日 (観測できず)
  • 1943年9月22日
  • 1950年6月6日
  • 1957年2月12日 (観測できず)
  • 1963年10月23日
  • 1970年5月18日
  • 1976年8月12日
  • 1982年9月14日
  • 1989年2月4日
  • 1995年7月27日
  • 2002年2月3日
  • 2008年8月14日
  • 2015年3月2日

また、次回以降の近日点通過は以下のように予測されている[9]

  • 2021年9月17日
  • 2028年3月31日
  • 2034年10月11日
  • 2041年3月30日
  • 2047年7月31日
  • 2053年9月20日
  • 2060年4月8日
  • 2060年11月10日
  • 2073年6月29日
  • 2080年2月16日
  • 2086年10月8日
  • 2093年5月30日
  • 2100年1月7日
  • 2106年8月3日

物理的特徴

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彗星核の直径は3.2 kmであると考えられている[1]

探査計画

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2002年6月3日に打ち上げられたアメリカの彗星探査機CONTOURエンケ彗星シュワスマン・ワハマン第3彗星とともにダレスト彗星を訪れる予定だったが、8月15日に探査機との通信が失われたため実行されなかった[10]。この計画は本来は2008年に実行される予定であった[11]

2007年ごろ、彗星表面のサンプルリターンミッション(Comet Surface Sample Return、CSSR)において探査する彗星の候補が挙げられた。その候補はテンペル第1彗星ボレリー彗星ヴィルト第2彗星チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星ジャコビニ・ツィナー彗星コプフ彗星、ダレスト彗星、ヴォルフ・ハリントン彗星ワータネン彗星であった[12]。その後、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に決定され[13]ニュー・フロンティア計画の候補としてCAESAR英語版という探査が計画されている[14]

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 6P/d'Arrest"”. JPL Small-Body Database Browser. Jet Propulsion Laboratory. 2021年9月7日閲覧。
  2. ^ a b c ダレスト彗星 6P/d'Arrest”. 吉田誠一. 2021年9月7日閲覧。
  3. ^ a b Kronk, Gary W.. “6P/d'Arrest”. cometography.com. 2021年9月7日閲覧。
  4. ^ "JPL Close-Approach Data: 6P/d'Arrest"”. JPL Small-Body Database Browser. Jet Propulsion Laboratory. 2021年9月7日閲覧。
  5. ^ ダレスト彗星 6P/d'Arrest (2021)”. 吉田誠一. 2021年9月7日閲覧。
  6. ^ Elements and Ephemeris for 6P/d'Arrest Orbital Elements”. Minor Planet Center. 2014年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月7日閲覧。
  7. ^ Carusi, A.; Valsecchi, G. B.; Kresak, L.; Kresakova, M.; Sitarski, G. (1990). “Periodic Comet d'Arrest = Comet la Hire (1678)”. IAU Circ (5283 #1). Bibcode1990IAUC.5283....1C. http://www.cbat.eps.harvard.edu/iauc/05200/05283.html. 
  8. ^ 6P/d'Arrest”. Minor Planet Center. 2021年9月7日閲覧。
  9. ^ a b 木下一男 (2016年7月30日). “6P/d'Arrest”. 2021年9月7日閲覧。
  10. ^ CONTOUR”. NASA. 2021年9月7日閲覧。
  11. ^ Tytell, David (2003年7月23日). “CONTOUR: MISSING IN ACTION”. Sky and Telescope. 2021年9月7日閲覧。
  12. ^ Comet Surface Sample Return”. NASA (2017年11月8日). 2021年9月7日閲覧。
  13. ^ Veverka, Joe. “Comet Surface Sample Return (CSSR) Mission”. NASA. 2021年9月7日閲覧。
  14. ^ Mission”. Comet Astrobiology Exploration SAmple Return. 2021年9月7日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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