サクラスミレ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サクラスミレ
福島県会津地方 2020年5月中旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : マメ類 Fabids
: キントラノオ目 Malpighiales
: スミレ科 Violaceae
: スミレ属 Viola
: サクラスミレ V. hirtipes
学名
Viola hirtipes S.Moore[1]
シノニム
和名
サクラスミレ(桜菫)[3]

サクラスミレ(桜菫、学名:Viola hirtipes)はスミレ科スミレ属多年草[2][3][4]。花は日本産スミレ属の中で一番大きい[3]

特徴[編集]

無茎の種。短い地下茎が横に伸びる。高さは8-15cmになる。は根生し、葉柄は花時に直立し、長さ2-5cmになり、1株に3-4個束生し、短い開出毛が生えるかときに無毛、上部には翼がある。葉身はやや平開し、長さ3-6cm、長卵形で、先端は鋭頭、基部は心形、縁には鈍鋸歯がある。表面は暗緑色、裏面はしばしば紫色をおびることがあり、裏面葉脈上に毛がある。花後、果期の葉は大型になり、長さは5-15cm、左右が耳状に張り出した狭三角形になる[2][3][4]

花期は4-5月。葉の間から長さ7-12cmの花柄を伸ばし、横向きにをつける。花柄の途中には狭小な2個の小苞葉がある。花柄にはふつうまばらに毛が生えるか、または無毛。花は大型で、径約2.5cm、淡紅紫色をしている。花弁は広く、長さ15-20mm、縁は凹頭か円頭、側弁の基部に毛が生える。唇弁の距は長さ7-8mmになる細く長い円筒形で、毛はない。片は披針形で、先端はとがる。雄蕊は5個あり、花柱は太いカマキリの頭形になり、上部が左右に鋭角的に張り出す。染色体数は2n=24[2][3][4]

分布と生育環境[編集]

日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の日当たりのよい草原に生育する[2][3][4]。本州の中部地方以北の山地に多いが、西日本では高地に見られる[4]。世界では、朝鮮半島中国大陸(東北部)に分布する[2]

名前の由来[編集]

和名のサクラスミレは「桜菫」の意で、花の色が華美であり、花弁の先端がサクラの花弁のように切れ込むからという[4]

種小名(種形容語)hirtipes は、「多毛の茎の、短剛毛ある柄の」の意味[5]

ギャラリー[編集]

下位分類[編集]

  • ケナシサクラスミレViola hirtipes S.Moore f. glabra E.Hama[6]
  • ワタゲスミレ Viola hirtipes S.Moore f. grisea (Nakai) Hiyama[7]
  • シロバナサクラスミレ Viola hirtipes S.Moore f. lactiflora T.Hashim., nom. nud.[8] - 白花品種[2]
  • ケントクスミレ Viola hirtipes S.Moore f. nudipes Hiyama[9]
  • チシオスミレ Viola hirtipes S.Moore f. rhodovenia (Nakai) Hiyama ex F.Maek.[10] - 葉脈に沿って紅紫褐色の斑紋が入る品種[2]

交雑種[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ サクラスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e f g h i 門田裕一 (2016)「スミレ科」『改訂新版 日本の野生植物 3』p.218
  3. ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.313
  4. ^ a b c d e f 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.723
  5. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1496
  6. ^ ケナシサクラスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  7. ^ ワタゲスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  8. ^ シロバナサクラスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  9. ^ ケントクスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  10. ^ チシオスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  11. ^ a b アルガスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  12. ^ a b ヤシュウスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  13. ^ a b オクハラスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献[編集]