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アンドリー・ビレツキー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アンドリー・ビレツキー
Андрій Білецький
2017年のビレツキー
ナショナル・コー党首
就任
2016年10月14日
ウクライナ人民代議員
任期
2014年11月27日 – 2019年7月24日
アゾフ大隊司令官
任期
2014年5月5日 – 2014年10月
第3独立強襲旅団司令官
就任
2022年11月1日
個人情報
生誕アンドリー・イェヴヘノヴィチ・ビレツキー
(1979-08-05) 1979年8月5日(45歳)
ウクライナ・ソビエト社会主義共和国ハルキウ
市民権ウクライナ
政党ウクライナの愛国者 (2005年 - 2008年)
社会民族会議 (2008年 - 2016年)
ナショナル・コー (2016年 - )
子供1人
住居ウクライナキエフ[1]
出身校ハルキウ大学
宗教ロドノヴェリエ
兵役経験
所属国ウクライナの旗 ウクライナ
所属組織 ウクライナ国家親衛隊
軍歴2014年–2016年
指揮アゾフ大隊
戦闘ドンバス戦争

アンドリー・イェヴヘノヴィチ・ビレツキーウクライナ語: Андрій Євгенович Білецький、Andriy Yevhenovych Biletsky、1979年8月5日 - )[1]は、ウクライナ白人国家主義者極右政治家のネオナチであり、ナショナル・コー党首。ウクライナ陸軍第3独立強襲旅団司令官。テロによる殺人未遂の罪で収監されていたが、ペトロ・ポロシェンコ大統領に勲章を授与され国会議員となった[2]アゾフ大隊の最初の司令官であり[3][4]社会民族会議の共同設立者だった。2014年から2019年まで、ビレツキーは人民戦線党の支援のもとキーウ選出[5]のウクライナ議会議員だった。2018年、ナショナル・コーは国家主義的なヘイトグループであるとアメリカ合衆国国務省によって認定された[6][7][8]

「白き酋長(Білий вождь: ビリー・ヴォズド)」の二つ名で知られる。

政治的主張

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ガーディアン紙はビレツキーを「少数派に対するヘイトクライムに関与した、ウクライナの公然たる人種差別的愛国者グループの長」であるネオナチと描写している[9]

また、英国放送協会はビレツキーが「国際シオニスト投機的資本」の根絶をスローガンとしており、国家主義システムを構築することによって、白色人種を保護することを主張していると指摘している[10]

一方で、本人は自身が反ユダヤ主義者でも人種差別主義者でもないことを強調している。ウクライナ人ジャーナリストDmitry Gordon氏が主宰したインタビューの中で、彼はイスラエル日本をウクライナの将来の発展のためのロールモデルとして見ていると述べている[11]

2007年、ビレツキーは自著にて、ウクライナの民族浄化を行うことを主張し、「この重要な世紀における私たちの国の歴史的使命は、セム族主導の非人道性(недолюдства:劣等人種の意とも取れる[12])に対する最後の十字軍で世界中の白人国家を率いて導くことです」と述べた[2]。その後ペトロ・ポロシェンコ大統領は、テロによる殺人未遂の罪で収監されていたビレツキーに勲章を授与、ビレツキーは国会議員となった[2]

2022年ウクライナ軍事衝突における位置づけ

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公式にはアゾフ大隊の司令官を辞しているものの、ビレツキーはTwitter上(@AndrijBilec)でアゾフ大隊を「我々」と呼称しており、一方のアゾフ大隊側(@Polk_Azov)もTwitterでビレツキーが「カディロフ、私の首が欲しいなら取りに来い」と述べるインタビュー動画を掲載する[13]など、密接な関係性を維持していることが伺われる。その後、2022年11月1日に結成されたアゾフ大隊の後継部隊の第3独立強襲旅団の司令官となっている。

日本との関係

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ウクライナを代表する格闘家、アレクセイ・オレイニクとともに、ジェナディ・ミンカ氏が主宰するクラブ「クラン・ミナモト」にて柔術を取り入れた総合格闘技を学んだとされる[14][15]


また、インタビューにおいて彼の考えるナショナリズムについて以下のように語っている。

「私にとって、ナショナリズムの例は、徳川幕府時代の日本のように価値観を維持することではなく、明治維新期に日本が中世の孤立の後に西洋を追いかけ、そして後に彼(西洋)を追い抜いたことです。そして今、日本は世界で最も強力な5つのプレーヤーの1つです。私たちは、他国との効率と優位性をめぐる競争の面で(日本に)私たちのナショナリズムを見ています[16]。」

参考文献

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  1. ^ a b Білецький Андрій Євгенійович
  2. ^ a b c Company, The Asahi Shimbun. “ウクライナには「ネオナチ」という象がいる~プーチンの「非ナチ化」プロパガンダのなかの実像【中】”. 論座(RONZA). 2022年5月24日閲覧。
  3. ^ Azov fighters are Ukraine's greatest weapon and may be its greatest threat
  4. ^ Volunteer Ukrainian unit includes Nazis
  5. ^ Volodymyr Ishchenko (2014年11月13日). “Ukraine has ignored the far right for too long – it must wake up to the danger”. The Guardian. https://www.theguardian.com/commentisfree/2014/nov/13/ukraine-far-right-fascism-mps 
  6. ^ Gerasimova, Tanya (14 March 2019). “U.S. Considers C14 And National Corps Nationalist Hate Groups”. Ukrainian News Agency. https://ukranews.com/en/news/619748-u-s-considers-c14-and-national-corps-nationalist-hate-groups 27 February 2022閲覧。 
  7. ^ Ukraine court orders Hromadske TV to pay costs in case over C14 tweet”. Committee to Protect Journalists (8 August 2019). 27 February 2022閲覧。
  8. ^ Engel, Valery (30 November 2019). “Zelensky Struggles To Contain Ukraine's Neo-Nazi Problem”. Centre for Analysis of the Radical Right. 27 February 2022閲覧。 See also its PDF version at Civic-Nation.
  9. ^ Ukraine has ignored the far right for too long – it must wake up to the danger | Volodymyr Ishchenko” (英語). the Guardian (2014年11月13日). 2022年4月2日閲覧。
  10. ^ Что делает шведский снайпер в украинском батальоне” (ロシア語). BBC News Русская служба (2014年7月16日). 2022年4月2日閲覧。
  11. ^ Билецкий: Половина людей, которые воевали за Украину, разговаривает на русском языке”. gordonua.com. 2022年4月2日閲覧。
  12. ^ Украина. Госбюджет, налоги, цены”. polpred.com. 2022年4月8日閲覧。
  13. ^ https://twitter.com/polk_azov/status/1499450089735086080”. Twitter. 2022年4月8日閲覧。
  14. ^ Wayback Machine”. web.archive.org. 2022年4月4日閲覧。
  15. ^ Клан Минамото,кто такие? - Харьков”. www.kharkovforum.com. 2022年4月4日閲覧。
  16. ^ Андрій Білецький: Влада зарейдила націоналістичні гасла” (ウクライナ語). glavcom.ua. 2022年4月8日閲覧。