Wikipedia:投票は議論の代用とはならない

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投票は代用とはならない
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ウィキペディアは、合意の形成によって運用されています。対立が起これば、議論、討論、および協力によって解決します。禁じられない限り、投票は注意して扱われるべきです。投票が行われるとき、通常それは合意を決定する助けとなる手段と考えられるべきであり、唯一の決定要因にすることはできません。投票は全体的な手続きの一部であることがある(Wikipedia:削除依頼のように)一方、投票は一般に記事の発展のために使われません。ウィキペディアは民主主義でない、を忘れないでださい。投票が「採決」と見える時さえ、ウィキペディアにおける大部分の決定は「合意」を基に成立するのであって、集計数つまり多数決原理によるものではありません。つまり、投票は議論の代用とはなりません

この慣行に対する明らかな例外には、ウィキペディア裁定委員会メンバーの選任があります(日本語版にはないシステム)。これは2009年に無記名投票方式となりました。参加者からの詳しい論拠も求められず完了します。加えて、「上位」機関(例えば裁定委員会、財団理事会、あるいはジミー・ウェールズ)は折に触れて合意に関係なく決定を下すことがあります。

なぜ投票に注意を払うのでしょうか[編集]

投票に注意を払わなくてはならないいくつかの理由があります。

  1. 編集者達は最善の解決策(もしくは最善の妥協案)が選択肢のひとつとなっていないとそれを選ぶことができません。このことは、複雑、複数の問題が関与している場合には特に問題となります。合意の確立には、互いに好ましい解決策となるまで、個々の選択肢から選ぶよりは言葉によって意見を述べることが求められ、またその背景となる理由を展開し、他の人が挙げなかった点を取りあげます。述べられない異論や取り上げられていない観点に対処することは困難です。
  2. 投票は対立や派閥を生むことがあります。最悪のケースでは、調査投票は単に立場を選択するのではなく、参加者が他の投票者と礼儀正しく接しられない原因となるかもしれません。議論を二極化し激化させることで、礼儀正しさを破綻させる一因となり、論争的な問題の議論を非常にとげとげしいものにするかもしれません。このことは参加者が誠実な態度を取ることを難しくします。多くの場合、世論調査より単純な議論の方がそれぞれの立場の主張の熟慮、分析と最終的な統合を促すことに優れているかもしれません。
  3. 調査投票は、編集者が多数派が議論に自動的に勝つ、もしくは結果は永久に拘束力がある[注 1]と信じるように誘導するかもしれません。これはウィキペディアは多数決主義ではありません及び合意形成というウィキペディアの方針と矛盾します。
  4. ウィキペディアが採決によって問題を解決するようであるなら、編集者は記事内容に関しても投票を使いたくなるでしょう。このことは、検証可能性独立記事作成の目安及び中立的な観点に関するウィキペディアの方針の土台を崩すかもしれません。

記事を議論する際における調査投票の実施[編集]

ウィキペディアにおいて、投票と平行した何らかの議論もなく、単に投票を投ずる行動を取ることは通常ありません。場合によっては、編集者は、どんな題材を個々の記事に含むべきかという議論の中で調査投票の実施を決めます。そのような投票が時折使われ、時には役に立ちますが、投票の使用はしばしば論争となり、決して拘束的でありません。用いる場合には、調査投票は対立する意見を黙らせるのではなく、むしろ合意に達する助けとなる方向で進展されなければなりません。

(英語版では)かつて編集者の言動に対する対処をQuickpollsというシステムを用いた投票によって行ったことがありますが、この方法は問題を悪化させるだけであまり役に立たないとして何年も前に廃止されています。記事の内容が投票の対象になることはほとんどありません。しかし、記事のノートページでの議論では、コミュニティの意見を測り、長期化あるいはまとまりにくい議論を特定の問いに焦点を当てるため、議論の当事者が投票を始めることがあります。投票が絶対に禁止されているわけではありません。投票は禁じられていると主張して、目についた投票をいきなり終了させたり削除したりすれば、しばしば反対に遭います。投票を実施すべき状況でないと思うなら、そのような方法ではなく、もっと議論が必要であることを指摘し話し合いを促すことによって、自由な形式の会話に引き戻したり、関連する議論を開始したりすることができます。

調査投票のガイドライン[編集]

記事に関連して調査投票 (straw poll) を行うことを検討している編集者は、投票は注意して行うべきであることと、議論が不十分な段階で調査投票を提起すべきではないことを忘れてはいけません。調査投票については次のことに注意してください:調査投票は議論や合意の代用とすることはできません[注 1]。調査投票はそれに同意しない編集者に対する拘束力はありません[注 1]。投票は既存の論争を解決するというよりもむしろ事を荒立ててしまうかもしれません。

記事の内容に関する調査投票は、しばしば議論の決定打とはならず、時にひどく物議をかもすことになります。調査投票をより生産的に行うために、編集者は以下のことを忘れないでください:

  1. 記事におけるあらゆる議論の最終目標は合意です。そして調査投票は編集者が真の合意に達する手助けとする場合にのみ有用です。
  2. そういった理由から、記事における調査投票には拘束力はまったくありません[注 1]。そして多数意見を拒否し続ける編集者は、単に少数意見であるというだけで議論から締め出されることはありません。同じく、多数意見の立場にある編集者は、議論を続けて真の合意を目指すようにする義務があります。
  3. 同じ理由から、記事における調査投票は議論が不十分な段階で行うべきではありません。もし進行中の議論において合意に至らないことが明らかなら、調査投票は合意形成を手助けする見込みがありませんし、意見の合意形成を遅延または妨げるように方向づけてしまうかもしれません。
  4. 同じく、もし調査投票が決定打とならないか、またはもしその設問自体が公正かどうかについて同意が得られなければ、投票とその結果は単に無視されるだけとなりがちです。
  5. いったん調査投票が始まったとの感触があると、投票内容の字句をわずかに編集することでさえ、調査投票自体が公正かどうかについての激しい論争を引き起こすことになりがちです。これはつまり、投票を始める前に投票の設問を精密に決めて、その設問について合意を得ておくべきであることを意味します。
  6. ウィキペディアの基本方針、たとえばWP:NPOVWP:Vなどは、調査投票の結果によって上書きすることは当然できません。事実について投票で決めることはまったく無駄骨であることは、誰しも心得ています。
  7. 他の利用者に調査投票に参加してもらうよう依頼する際には、編集者は極端なまでに注意すべきです。詳しくはカンバスを参照してください。
  8. 調査投票の目的は、議論や合意を促進することにあります。編集者は調査投票の参加者が提示した説明について評価すべきであり、その説明がその人自身の意見を展開するか妥協を提案するかの手助けになるかどうかについて見てみるべきです。この文脈においては、少数の十分に理性的な意見は、違った方向を目指している説明が不十分な複数の投票よりもよっほど議論に影響を与えられるかもしれません。
  9. 記事においては、調査投票は、合意が存在するかどうかを評価したり、2,3の独立した選択肢がある場合(例:記事名をふたつのうちのどちらかから選択する)に編集者の意見を試しに計ってみたりするにはもっとも有用です。
  10. 調査投票は過度に使うべきではありません。もし近い時期に行った調査投票が問題を起こした場合には、ふつう次の投票を行う理由はありません。たとえあなたが合意が変更されたとか、最初の投票が不公正な方向に誘導されたと思ったとしてもです。もしあなたが多数意見に同意しないのなら、調査投票は拘束力をもたず、議論は続くということを思い出してください。

Not-vote[編集]

「投票」(vote) という単語はさまざまな意味に解釈されますが、一般には特に投票による決定(=票決)や多数決に関連付けられます。そのため、「投票」という単語を使用することは、ウィキペディアにおけるプロセスを説明するには最善の方法とはいえないかもしれません。専門的に見れば正しいかもしれませんが、そのような発言はウィキペディアが多数決方式を使っているとの誤解の一因となるかもしれません。違う用語(例:「調査投票」(polling)、「コメント投票」(commenting))を使うほうが望ましいかもしれません。

(英語版の)ウィキペディアンは、しばしば「!vote」と表記します(not-voteと読む)。この「!」は論理記号で否定を意味し、2006年の英語版ウィキペディアで導入されました。そのため、「!vote」や「!voting」とあるものは投票ではなく、個々の見解を述べているだけです。

この !vote は「投票ではない」ということの重要性を思い出させるものです。一方、私たちはしばしば「投票」しているように見えますが、単に票数を数えるだけで結論を導くことはされておらず、主張の力強さもまた重要なものです。合理的な論拠に基づいていないとみなされるような「投票」は、完全に無視されるか、ほとんど考慮されない可能性があり、また単に票数として扱われているならば注意喚起されるかもしれません。そのため、なぜ投票という方法なのかということを説明することも重要となります。

請願署名[編集]

請願署名はさらに問題であり、有意義な談話や関与を避けることにつながり、初期の意見や選択にその範囲を縛り、競合あるいは対立する観点とで議論したり調整するような機会を損なわせます。通例、請願署名は避けるべきです。もし行われたなら妥当な期間が経過するか、当初の関心事が可決したら終了させ、{{historical}}のタグをつけるべきです。

削除、移動、秀逸な記事[編集]

記事の削除についての議論(例:Wikipedia:削除依頼)、記事の移動の依頼(Wikipedia:移動依頼)、秀逸な記事の選考(Wikipedia:秀逸な記事)のような手続きでは、投票による調査を行っています。これは時に多数決方式を取っていると誤解されることがありますが、実際には投票の人数ではなく、議論において述べられた意見の強度に基づいて決定しています。

こういった手続きの主な目的は合意形成にあるので、参加者はたった一言だけ意見を述べてあとは放っておくというやり方よりも、自身の主張の理由を説明し、他の参加者の意見に耳を傾け、何とかして妥協するというやり方が望ましいです。そういった手続きで投票を停滞させる行為 (vote stack) を試みることは非効率的かつ妨害的であって、理由を付記することのない票は最終的な判断にあたって重きを置かれることはまったくないでしょう。必要に応じて{{Not a ballot}} (英語版) テンプレートを使うことで、このことを参加者に思い出させることができます。

方針とガイドライン[編集]

ウィキペディアの方針とガイドラインは、(1) コミュニティの合意形成を介して、あるいは、(2) ありうる例ではジミー・ウェールズ英語版財団理事会開発者 (英語) の宣言の結果、(3) 現存する実行方法を成文化することで生まれています。ウィキペディアは多数決型民主主義ではありません。時に投票を呼び掛けることがありますが、そうではないのです。方針とガイドラインは投票だけで決定したものではありません。

投票が、方針とガイドラインの構築に役立つことは珍しく、逆効果ともなりえます。英語版では過去に、調査投票と投票はいくつかの方針にて用いられており、それはスリー・リバート・ルールや古い即時削除の基準の一部が該当します。このような少数の例では、1か月以上にわたり問題について議論した後、慎重に投票が行われています。

多くのガイドラインの主な目的は「現存する実行方法を文で表す」ということであり、ウィキペディアのやり方を編集者が理解することを助けます。言うなれば、方針やガイドラインを提案するのに投票や調査投票を呼びかけることは、多くの場合に軽率であり、不要だということです。提案が議論となっていないなら、頭数を数える必要はありません。もしくは、議論となっている場合にはまやかしの多数派を見つけるために頭数を数えても解決にはなりませんし、対立を生むことさえあります。投票自体への、またそのカラクリへの討論も起こりえます。軽率に投票を行おうと考えるならば、理由を説明し、投票自体を投票すべきです(チェック・改訳求むWhen editors consider a poll ill-advised, they should explain why and if appropriate should vote against the poll itself.)

標準仕様[編集]

(たとえばWikipedia:レイアウトの指針のような)ある問題について標準仕様を定めるという合意がなされれば、その仕様についてはおそらく複数の提案が出されるでしょう。そのうちのいずれかが明らかに望ましいというわけでもなければ、最も好まれる仕様を選ぶのには投票が推奨されます。これは、最終的な標準仕様が合意を反映しているようにするために、複数の(しばしば似通った)仕様のうちどれが最も広範な支持を得ているかを計る手助けとなります。

人物の選任[編集]

時にはウィキペディアにおいても、コミュニティによる投票が利用者に追加の権限を付与するかどうかを決めるために用いられます。特に管理者の選任裁定委員会の選挙がそうです。しかしどちらの場合も、投票結果は決定を下す人たち(例:ビューロクラット、ジンボ・ウェールズ)による解釈に委ねられます。歴史的に、委員会の裁定は、問題のそれぞれの側面、また他の関連する要因についての主張を考慮したものです。

こうした手続きでは、続く意見なく「はい/いいえ」と単に述べるのではなくて、その論拠を説明し、候補者に質問し議論を交わすことが望ましいものです。その最終結論は、賛成・反対のはっきりとしたカウントにしばしば基づいていると同時に、このことは確かな論拠と論理を用いる人々の意見を傾かせる影響があることがあります。さらには、そうした構造化された議論と、多数決の手続きとがよく似ているために新規のウィキペディアンは混乱します。分割点となるような目標とする正確なパーセンテージはありませんが、管理者(adminship)の要請のように一部の手続きでは、合意を確立するための大まかな数値としてのパーセンテージを示しています。

機能追加の要望[編集]

MediaWikiソフトウェアの変更は開発者が行っており、通常は Phabricator にて議論されています。一部の人たちは多くの人が機能を求めれば、開発者が実装してくれるのではと思い込んで投票を呼びかけます。しかし開発者は実現可能性やサーバーの負荷の問題を第一に考えているため、常にそうなるとは限りません。

また一方、英語版ウィキペディアの既存の機能の有効化また無効化のような設定変更の要求のためであれば、調査投票は、その合意を実行できる役割を持つシステム管理者のために役立つかもしれません。機能の要求と同じく、最終的な決定権は、システム管理者や、突き詰めると最高技術責任者に委ねられています。

裁定[編集]

裁定はコミュニティにおける手続きではありませんが、この文書に全ての例を挙げるために説明します。裁定委員会(日本語版にはない)は、原理、発見した事実、解決策を挙げていくという手順に沿っています。各々の裁定人はこれらの問題を議論し、声明と決議の賛否を投票 (vote) します。また各事例が終決されるまで投票は閉じられません。裁定人は、他の裁定人との議論によってその見解を変更することができます。一般に、招かれた対立する見解は、裁定人の間で総意に達する目的で、その対立への対処を言い換えたものです。(改訳チェック願い In general, findings which attract opposition are reworded to address that opposition, with the aim of reaching a consensus view among the arbitrators.)それにもかかわらず、裁定委員会の裁定は単に多数決次第となる。

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d 現在ウィキペディア日本語版では論争を仲裁する機関(例:裁定委員会)がないため、「投票に拘束力はない」と定めると論争の解決が困難となって妥当ではないのではないかとの異論があります。議論はWikipedia‐ノート:論争の解決#投票節の除去の提案を参照してください。

関連項目[編集]