M&M's

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M&M's
ロゴ
所持会社 マース
使用開始国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
主要使用国 全世界 (100カ国以上)[1]
使用開始 1941年9月10日 (82年前) (1941-09-10)
ウェブサイト www.mms.com
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M&M's(エムアンドエムズ)は、マースが販売しているアメリカ合衆国チョコレートブランドの一つ。日本ではマース ジャパンが販売。

M&M's
M&M'sのマスコット達

特徴としてチョコレートが砂糖菓子でコーティングされ、その上から様々な色で着色され、「m」の白文字が刻印されている。砂糖菓子でチョコレートがコーティングされているのは、夏場などにチョコレートが溶けたり、脂肪分が白く表出するブルーム現象がおきやすい時期にも、手にべたつかず食べられるようにしたためである。様々な派生商品が発売されている。日本では1987年より販売が開始された[2]

沿革[編集]

M&M'S チョコレートが含まれるMREパッケージ内容物

M&M'Sが開発されたきっかけは、アメリカ陸軍の兵士たちの要望によるものだった。南太平洋に展開していた陸軍部隊を監察官が視察した際、兵士が「口の中で溶けて、手に溶けないチョコレートを開発してくれ。単純で当たり前のことだろう」と嘆願した。当時軍が支給する食料に含まれていたチョコレートは南太平洋の暑さですぐに溶けてしまい、甘いものを楽しみにしている兵士達をがっかりさせていた。そこで試行錯誤を重ねて開発されたのがM&M'Sだった。

元々は、スペイン内戦の折に現地を訪れたフォレスト・マースが、兵士たちが砂糖でコートされたチョコレートで口を楽しませていたのを見たことに着想を得たものだが、1940年の帰国後に彼の友人であるブルース・ムリーと共同で米ニュージャージー州に工場を設置、二人の苗字の頭文字である「M」をつなげて「M&M'S」(マース&ムリーズ)を商標として翌1941年より製造を開始している。ブルースはハーシー社々長の息子で、この製品の権利の2割を保有していた。このため、製品は当時チョコレート配給権をもっていたハーシー社のチョコレートを使って製造することができた。

太平洋戦争が始まると、陸軍は紙筒にM&M'Sを詰めたものを補給品目に加え、海軍もこれに従った。現在もM&M'Sは軍の補給物資の一つとして扱われており、現行アメリカ軍レーションであるMRE中にもこれが含まれるパッケージも見られる。後には宇宙食として宇宙飛行士にも支給され、1981年のスペースシャトル初打ち上げミッション(STS-1)の際にも積み込まれた。

キャッチフレーズの「お口でとけて、手に溶けない」は日本でも有名[3]

製品一覧[編集]

M&M'Sの主な製品は下記の通り。

  • M&M'S ミルクチョコレート(Milk Chocolate)
1940年に発売されたオリジナル。茶色の袋。
  • M&M'S ピーナッツ(Peanut)
ピーナッツが中に入った少し大きめの粒。1954年に発売された当時はすべて茶色の粒だったが、1960年よりカラーのものが発売。黄色の袋。
  • M&M'S ダークチョコレート(Dark Chocolate)
2006年に発売された。紫色の袋。
  • M&M'S ダークチョコレート・ピーナッツ(Dark Chocolate Peanut)
2007年に発売された。黄色と紫色のツートン色の袋。
  • M&M'S アーモンド・チョコレート(Almond Chocolate)
もともとクリスマスイースターのシーズン商品として1988年に発売されたが、1992年に年中販売されるようになった。薄い橙色の袋。
  • M&M'S クリスピー(Crispy)
1998年クリスマス休暇(12月)の時期に発売。ライスパフが入った食べ応えのある粒。水色の袋。(現在、米国内で流通しているのは黄緑色の袋に変更されている)

キャラクター[編集]

M&M'sのパッケージにも描かれる特徴的なキャラクターは、“スポークスキャンディ”(spokescandies)と呼ばれている。1954年に最初のレッドとイエローが誕生し、同年にテレビコマーシャルに登場してデビューしている[4]。広告における彼らは、青のM&M'sの登場と同時期に、コンピューターグラフィックスに切り替わった。

これらのスポークスキャンディーのチームは、その色ごとに異なったキャラクターが与えられている。ミルクチョコレートM&M'sのマスコットで皮肉屋のレッド。ピーナッツM&M'sの幸福かつ間抜けなマスコットのイエロー。これが最初に登場したキャラクターである。その後に加わったものとして、アーモンドM&M'sのマスコットの冷静なブルー。ダークチョコレートM&M'sのマスコットの魅惑的なグリーン。クリスピーM&M'sのマスコットのややノイローゼ気味のオレンジ。その他にも何色かのキャラクターがいたが、これらは登場から比較的短期間で姿を消した。

これらスポークスキャンディ中における女性のキャラクターは、長らく、緑が唯一の存在であったが(初登場の1995年から2012年まで)、第46回スーパーボウル中における広告で新たに、事務的な女性の、チーフチョコレートオフィサーのブラウンが加わった。

事実上の降板[編集]

2023年1月23日、マースは今後スポークスキャンディーの使用を無期限で使用停止にすることを明らかにし、事実上の降板になった。背景には2022年に「セクシーすぎる」として、女性キャラクターが履いている靴を別の靴に履き替えているが、その事に一部の保守層が不満を抱いたことから、社会の分断を生みたくないマースがこの決断を下したとしている[5][6]

なお、スポークスキャンディーの後任となるM&M'sの広報担当として、俳優コメディアン歌手のマーヤ・ルドルフを起用することも併せて発表された。ルドルフは2023年2月12日に開催予定の第57回スーパーボウルから広告塔を務める予定[5]

脚注[編集]

  1. ^ USATODAY.com - M&M's candy fades to black and white”. USA Today. 2009年11月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月25日閲覧。
  2. ^ M&MSの歴史 チョコレート物語
  3. ^ 同キャッチフレーズは、アメリカ人コピーライターのロッサー・リーブスの考案によるもの。
  4. ^ http://www.m-ms.jp/history/timeline.html
  5. ^ a b David, Moye (2023年1月24日). “M&M'sのキャラクターが無期限の降板に。理由は「世の中を分断させたくないから」”. ハフポスト. 2023年1月25日閲覧。
  6. ^ フジテレビ国際取材部 (2023年1月24日). “M&M’Sのキャラクターが消える!?無期限使用中止に 政治的に利用?で賛否”. FNNプライムオンライン. 2023年1月25日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]