ADORE (緑黄色社会のアルバム)

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ADORE
緑黄色社会EP
リリース
ジャンル
時間
レーベル Here, play pop!
チャート最高順位
後述を参照
緑黄色社会 アルバム 年表
  • ADORE
  • (2017年)
ミュージックビデオ
「始まりの歌」 - YouTube
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ADORE』(アドーア)は、日本のポップ・ロック・バンドである緑黄色社会の2作目のミニ・アルバム。2017年8月2日にHere, play pop!よりタワーレコード限定で発売された。前作『Nice To Meet You??』より約7か月ぶりのリリースで、バンドサウンドを前面に押し出した作品[1]。かねてよりライブで演奏されていた楽曲を含む5曲が収録され、この5曲の歌詞とアレンジで「メンバーの理想や憧れ、やりたいこと」が表現されている。オリコン週間アルバムランキングでは最高位37位、オリコン週間インディーズアルバムランキングでは最高位3位を記録した。

2018年に発売された1stフル・アルバム『緑黄色社会』には、全5曲中3曲が収録された。

背景・リリース[編集]

2017年4月7日、愛知県にあるライブハウスell.FITS ALLで行なわれた初のワンマンライブ「緑黄色社会ワンマンライブ~Nice To Meet You??~」で、8月に新作CD(この時点ではタイトル未定)の発売と11月から12月にかけて東名阪ツアーを開催することを発表[2]。6月8日、タイトルが「ADORE」であることと収録曲が発表され、アーティストビジュアルが公開された[1]

アルバムタイトル「ADORE」は「憧れ」「崇める」という意味を持つ英単語で、「メンバーの理想や憧れ、やりたいこと」が収録されている5曲の歌詞やアレンジで表現されている[3]。「CINRA.net」のインタビューで、インタビュアーから“want”“キラキラ”“恋って”といった曲を聴くと、「恋愛」がモチーフとして重要なのかなと思ったんですけど、どうですか?と言われた長屋は恋愛も友情も家族愛も「人が集まる」という点で通ずるものがあり、当てはめ方は自由だという考えを示し、聴く人がそれを恋愛に当てはめるのか、友情に当てはめるのか。そこは、自由に捉えてくれたらいいなって思いますと答えている[4]

2018年7月13日、前作『Nice To Meet You??』やフル・アルバム『緑黄色社会』とともに収録曲全曲の配信が開始された[5]

収録曲[編集]

全作詞: 長屋晴子。
#タイトル作詞作曲時間
1.「始まりの歌」長屋晴子長屋晴子
2.「want」長屋晴子長屋晴子
3.「キラキラ」長屋晴子長屋晴子
4.「恋って」長屋晴子peppe
5.「それなりの生活」長屋晴子長屋晴子
合計時間:

曲の解説[編集]

始まりの歌[編集]

「始まりの歌」は、緑黄色社会のライブの定番曲となっているポップアンセム[6]。本作から3年前に完成したものの、「当時はもうちょっとかっこいい曲を作りたいなという時期だったので、今の自分たちには似合わない」ということからライブで数回演奏して以降は封印されていた[3]。本作に収録にするにあたり、アレンジが大幅に変更された[3]。曲中には小林との掛け合いパートが含まれており、長屋は小林の歌声を活かしたいことからこのパートを作ったと説明している[7]。このほか曲全体で男女の声の割り振りを考えてコーラスワークを作るなど、声にフォーカスした曲として仕上げられている[7]

2017年6月30日に公式YouTubeチャンネルでミュージック・ビデオが公開された[8]。監督はかとうみさと[9]

後に1stフル・アルバム『緑黄色社会』にも収録された[10]

発売後、スギヤマ薬品のCMソング[11]毎日放送ミント!』のテーマソングとして使用され、2022年からは阪神タイガース投手才木浩人の登場曲として[12]、また、2023年からは名古屋テレビ放送(メ~テレ)『ドデスカ![13]・『ドデスカ!ドようびデス。』・『ドデスカ!+』のテーマ曲、2024年からはABEMA今日、好きになりました。ニャチャン編』の主題歌[14]として使用されている。

want[編集]

「want」は、願望を箇条書きにした歌詞を持つ楽曲で、長屋は結局シンプルな方が一番伝わりやすいと思ってと語っている[3]。バッキングは当初エレクトリック・ギターで演奏していたが、「ロックな感じになりすぎた」ことからアコギで演奏することになった[3]

キラキラ[編集]

「キラキラ」は、本作から2年前に完成した楽曲で、歌詞は人のすれ違いをテーマとしたもの[3]。楽曲について長屋は「人と人がすれ違ってしまうことって、実は素晴らしいことだなと思って書いた曲」と語っている[15]。小林は1Bの何も知らないくせに、って知らせなかっただけなのにねという歌詞に「当時の長屋の等身大の気持ち」が出ていると思ったという[3]

後に1stフル・アルバム『緑黄色社会』にも収録された[10]

恋って[編集]

「恋って」は、peppeによって作曲された楽曲で、「ライブで観客と一体感を出したいと思って、観客全員で手を叩くイメージから作った」ということから仮タイトルは「CLAP」[3]。peppeによると「『Bitter』のような化学反応を期待して」歌詞を長屋に丸投げしたが、長屋はこれを感知しておらず当初のイメージとはかけ離れた歌詞となったとのこと[3]。歌詞の主人公は女性会社員で、歌詞について長屋は「女性会社員が初めて恋をする感じ」と説明している[3]。小林は長屋の書く歌詞について「最後にちゃんとオチがある」と評し、この曲の最後の「なんてね」という歌詞を挙げて今回のアルバムのタイトルでもある、理想や本当はこうしたいという願望みたいなものがオチになっているところがいいと思いましたと語っている[3]

後に1stフル・アルバム『緑黄色社会』にも収録された[10]。2021年にABEMA『恋のコーチは元恋人』主題歌に採用された[16]

それなりの生活[編集]

「それなりの生活」は、本作から4年前より演奏されている楽曲[3]。長屋が弾き語りをする機会を得た際に、自分と向き合うかたちで作られた[3]。長屋は「より素直に、自分に向き合って歌詞を書くようにになったきっかけの曲」としている[15]。音源の初出は会場限定音源第3弾『リアリズム』で、全国流通盤への収録は本作が初となった。

本作に収録されるにあたって、アレンジが変更された[3]。小林は「前回でいうと『丘と小さなパラダイム』的な立ち位置」としている[15]

クレジット[編集]

※出典[17]

緑黄色社会
追加ミュージシャン
レコーディング・スタッフ
  • Recording
    • 村上宣之 – Instruments(All) & Vocal(M1, M3, M4)
    • 原田孝一 – Vocal(M2, M5)
  • 村上宣之 – Mixing
  • 滝口 "Tucky" 博達 – Mastering
  • 新井政俊 – Director
アートワーク
  • いのうえよしひろ – Art Direction & Design
  • オノツトム – Photographer
  • よしだえりか – Stylist
  • 鷲塚明寿美 – Hair & Make

チャート成績[編集]

週間チャート
チャート (2017年) 最高位
日本 (オリコン)[18] 37
日本 (オリコンインディーズアルバム)[19] 3

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b "緑黄色社会、早くも新作「ADORE」発表". 音楽ナタリー. ナターシャ. 2017年6月8日. 2020年7月5日閲覧
  2. ^ "緑黄色社会、初ワンマンで新作リリース&東名阪ワンマンツアー開催を発表". 音楽ナタリー. ナターシャ. 2017年4月8日. 2023年2月11日閲覧
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n ツボイ(インタビュー)「緑黄色社会が『ADORE』に込めた等身大の気持ち」『TRACKs』、JTN、2017年8月1日。 オリジナルの2017年8月2日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20170802205731/https://tracks-live.com/interview/ryokuoushokushakai-10/2020年7月5日閲覧 
  4. ^ 天野史彬(インタビュアー:天野史彬)「新世代のポップソングを歌う緑黄色社会が語る「世代感」とは」『CINRA.net』、CINRA、1頁、2017年7月25日https://www.cinra.net/article/interview-201707-ryokuoushokushakai2020年7月5日閲覧 
  5. ^ ryokushakaのツイート2023年2月11日閲覧。
  6. ^ 高橋智樹 (2021年8月24日). "【10リスト】緑黄色社会、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!". rockin'on.com. ロッキング・オン. 2023年2月11日閲覧
  7. ^ a b 鞘師至(インタビュアー:鞘師至)「緑黄色社会 interview」『Shibuya eggman』、eggmanhttp://eggman.jp/special/special-7962/2021年8月12日閲覧 
  8. ^ "緑黄色社会が新作から「始まりの歌」MV公開、各地でミニライブも". 音楽ナタリー. ナターシャ. 2017年6月30日. 2022年6月29日閲覧
  9. ^ かとうみさとの2017年6月30日 午後11:42のツイート2022年6月29日閲覧。
  10. ^ a b c "緑黄色社会が初のフルアルバム詳細発表、過去ナンバー含む全10曲収録". 音楽ナタリー. ナターシャ. 2018年1月18日. 2020年7月5日閲覧
  11. ^ 緑黄色社会の2017年11月3日 午前9:05のツイート2021年6月27日閲覧。
  12. ^ "選手登場曲". 阪神タイガース 公式サイト. 阪神タイガース. 2023年10月3日閲覧
  13. ^ "メ~テレ、在名局唯一のローカル情報番組「ドデスカ!」をパワーアップ Aぇ!groupが学校訪問:中日スポーツ・東京中日スポーツ". 中日スポーツ東京中日スポーツ. 2023年3月24日. 2023年10月2日閲覧
  14. ^ "緑黄色社会、「始まりの歌」&「想い人」がABEMA"今日、好きになりました。ニャチャン編"主題歌/挿入歌に決定". skream!. 激ロックエンタテインメント. 2024年3月25日. 2024年3月25日閲覧
  15. ^ a b c 天野史彬(インタビュアー:天野史彬)「新世代のポップソングを歌う緑黄色社会が語る「世代感」とは」『CINRA.NET』、CINRA、3頁、2017年7月25日https://www.cinra.net/article/interview-201707-ryokuoushokushakai?page=32021年1月3日閲覧 
  16. ^ "緑黄色社会「恋って」が新恋愛番組の主題歌に、THE RAMPAGE武知海青も恋模様見守る(コメントあり)". 音楽ナタリー. ナターシャ. 2021年12月14日. 2021年12月14日閲覧
  17. ^ ADORE (ブックレット). 緑黄色社会. Here, play pop!. 2017. HPP 1008。
  18. ^ "緑黄色社会のアルバム売上TOP6作品". ORICON NEWS. oricon ME. 2022年11月17日閲覧
  19. ^ 酒井優考 (2018年3月14日). "緑黄色社会 『緑黄色社会』 何気ない日常をキラキラしたものに!". Mikiki. タワーレコード. 2023年2月11日閲覧