Phase-change Dual

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Phase-change Dual
Phase-change Disc
PD
PDメディア
メディアの種類 光ディスク
記録容量 650MB
書き込み方法 相変化記録
策定 松下電器産業
主な用途 外部記憶装置
ディスクの直径 12cm
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Phase-change Dual(フェイズ-チェンジ デュアル)またはPhase-change Discは、松下電器産業1995年4月に開発した書き換えが可能な光ディスクおよびその規格。略記・略称はPDピーディー)。

概説

片面650MBの容量を持ち、ディスクの大きさは一般的なCDDVDなどと同様の直径12cm(5インチ)で、四角いカートリッジに収容された状態で使用する。赤色レーザー光を用いた相変化記録技術を採用しており、約50万回の書き換えが可能である。

PDドライブは内蔵型、外付型がそれぞれ販売されており、どちらのものでもCD-ROMを読み込むことができた。ドライブ・メディア共に、そのほとんどが松下電器のみで製造されており、同社は容量650MBの補助記憶装置と4倍速のCD-ROMドライブとの兼用ができるPDドライブを搭載したノートパソコンPRONOTE PDも発売した(1996年8月)。

同じ時期の書き換えが可能なメディアとしてCD-RWが挙げられるが、ファイル単位の書き込みや削除が可能な点が特徴で、パケットライト方式を用いたCD-RWや、フロッピーディスクを扱う感覚に近い。また、カートリッジに入っている特性上、記録面に直接触れることがないために強く、比較的信頼性が高い。CD-RやCD-RWはそれほど当時普及しておらず、また、書き込み失敗が多いなどの不安定さもあった。PDは書き込み速度は速くはなく、フロッピーへ書き込むのよりは早いといった程度だが、発売当時ではそれほど苦になる速度ではなかった。

一方、フロッピーディスクを扱う感覚に近い書き換え可能なメディアとしては、MOZIPなどが存在したが、それらと比べてPDドライブはCD-ROMが読み込める点がメリットであった。当時CD-ROMドライブは必須の周辺機器となりつつあったが、まだすべてのパソコンに必ず内蔵されているわけではなく、また当時主流だったデスクトップ機はドライブベイを1つしかもたない機種も多かった。そのような環境では、CD-ROMドライブと大容量(当時)の補助記憶装置が1台で兼用できるPDが、費用的にも設置の面でも有利だったのである。

総じて、同時期の他の光メディアと比べても優秀なものであった。ただし、参入メーカーも少なく、MOやZIPに比べて普及したとは言いがたかった。後に、CD-Rを作成する事が可能なPDドライブも発売された(マルチCD-R・PD-R)が一部の普及にとどまった。

後継にあたる技術として1997年4月DVD-RAMが登場したが、DVD-RAMはPDと同様のカートリッジを採用し、片面の容量がPDのちょうど4倍にあたる2.6GBのVersion1.0規格では、DVD-RAMドライブでのPDの読み書きが可能となっていた。しかし、2000年夏に他のDVDと同一の容量である、新しい片面4.7GBのVersion2.0規格のDVD-RAMが登場した際にはPDとの互換性は考慮されておらず、この時点で市場から姿を消す運命を辿った。

関連項目