コンテンツにスキップ

日産・R383

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Yayoruya (会話 | 投稿記録) による 2023年6月24日 (土) 16:18個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (曖昧さ回避ページ日産へのリンクを解消、リンク先を日産自動車に変更(DisamAssist使用))であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

日産・R383
カテゴリー 二座席レーシングカー
コンストラクター 日産自動車
デザイナー 桜井眞一郎
先代 日産・R382
後継 日産・R390
主要諸元
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン
全長 4,115 mm
全幅 2,030 mm
全高 1,088 mm
トレッド 前:1,280 mm / 後:1,260 mm
ホイールベース 2,400 mm
エンジン 日産 GRX3 5,954 cc V12 ツインターボ Can-Am仕様のみ ミッドシップ
トランスミッション ヒューランド 5速 MT
重量 740 kg
タイヤ ファイアストン
主要成績
テンプレートを表示

日産・R383(にっさん・アールさんはちさん)は、日産自動車1970年日本グランプリ、およびCan-Am参戦用に開発した二座席レーシングカーである。当時の国際自動車連盟(FIA)規定でグループ7にあたる。状況の変化のために実戦には一度も出場しなかったことから「幻のマシン」とも呼ばれる。

概要

1969年の日本グランプリR382で制覇した日産は、グランプリ3連覇とCan-Am参戦を見通し、R38シリーズの総決算となる次期型マシンR383の開発に着手した。

日本グランプリ用はR382と同じGRX-3型V12気筒6.0リットルエンジンを搭載。出力は100馬力向上して700馬力以上となった[1]。Can-Am用はそれにツインターボを装着する計画で、900馬力を予定した[1]。ライバルのトヨタが同時期に開発していたトヨタ・7(5.0リットルターボ)は公称800馬力だった。

R382と外観上最大の相違は、ラジエーターがフロントからサイドへ移動したこと。このためノーズはすっきりスマートになった。空力特性の追求がそれまで以上に重要になっていたからである。

しかし1970年6月8日、日産は「公害・安全問題の解決に注力する」という理由から、この年のグランプリ不参加を表明する。相手を無くしたトヨタもこれに続き、結局この年のグランプリは中止となった。この件に関しては、トヨタ7ターボの優位を知った日産が「勝ち逃げした」とも囁かれた[2]

グランプリ不参加は決定したものの、Can-Am参戦を目指しR383の開発は続行された。この年の8月には1号車が完成している。しかしCan-Am参戦を決定していたトヨタが、8月に起こした死亡事故で参戦を断念し、日産もこれに次ぐことになる。9月21日、正式にR383の開発は中止された。

一般公開

2006年のニスモフェスティバルで走行するR383

R383は1度も走行することなくお蔵入りしたが、6年後の1976年になって報道陣に公開され、翌年の第22回東京モーターショーでも参考出品の形で一般公開された。日産のプロトタイプマシンがサーキットに戻って来るのは、これから10年以上後の1983年に登場するスカイラインターボCまで待たなければならない。また、完全な日産の自社製プロトタイプとなると、1991年日産・R91CPとなる。

開発から36年後の2006年12月3日、富士スピードウェイで開催されたニスモフェスティバルにおいて、レストアされたR383が初めてサーキットを走行した[3][4]

1984年に登場したグループCカー、ルマン・LM04Cハセミモータースポーツ車「スカイラインターボCトミカ」は青と白のラインで登場しており、製作に際して同車の塗装を参考にしたといわれている。

スペック

[1]

  • 全長 4,115mm
  • 全幅 2,030mm
  • 全高 1,088mm
  • ホイールベース 2,400mm
  • トレッド(前/後) 1,280/1,260mm
  • 車両重量 740kg
  • エンジン GRX-3(V12・DOHC・4バルブ) 5,954cc(Can-Am仕様はツインターボ)
  • 最高出力 515kW (700ps) 以上
    • ツインターボは900PS
  • 最大トルク 647N・m (66.0kgm) 以上
    • ツインターボは90.0Kgm
  • サスペンション(前/後) ダブルウィッシュボーン
  • ギアボックス ヒューランド製5速MT
  • ブレーキ アウトボードディスク
  • タイヤ 18インチ/20インチ

出典

  1. ^ a b c NISSAN HERITAGE COLLECTION online ニッサンR383 - 日産自動車 2012年11月14日閲覧。
  2. ^ 桂木洋二 『激闘 '60年代の日本グランプリ』 グランプリ出版、1995年、p.246。
  3. ^ 「ニッサンR383」が36年の歳月を経て初走行 -日産自動車(2006年11月16日)
  4. ^ 【NISMO FESTIVAL 2006】幻のレーシングカー『R383』が初めて走った! ~R38_シリーズ4台が初の揃い踏みデモ走行~ - CORISM(2006年12月9日)

関連項目