2004年アテネオリンピックの陸上競技・男子ハンマー投

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2004年夏季
男子ハンマー投

金メダリストの室伏広治（2011年）
会場アテネ・オリンピックスタジアム
開催日8月20–22日
参加選手数24か国 35人
記録82.91
メダリスト
金メダル 室伏広治 日本 日本
銀メダル 該当者なし
銅メダル 該当者なし
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2004年アテネオリンピックの陸上競技・男子ハンマー投は、2004年アテネオリンピックの陸上競技で行われた男子ハンマー投。8月20日-22日に行われた[1]。24の国から35人の選手が出場した[2]。

ドーピングにより大会最終日にメダリスト2人が失格となり、2位だった日本の室伏広治が繰り上げ優勝し、この種目で日本初のメダリストとなり、日本の陸上男子では68年ぶりの金メダリストとなった[3][4]。

ドーピング違反による失格[編集]

ドーピング違反により、元々1位と3位であった選手が失格となった。

元々の優勝者はハンガリーのアドリアン・アヌシュであったが、ドーピング検査で検体をすり替えた疑いで失格となった[5]。これにより、2位であった室伏広治が1位となり、金メダリストとなった。

元々、イワン・チホンが銅メダルを獲得した。アヌシュの失格により、チホンは銀メダルに繰り上げられた。しかし、2004年の検体の再検査でメタンジエノン（英語版）陽性反応が出たため、2012年に失格となり、メダル剥奪となり、2012年の夏季オリンピックを辞退した[6][7][8]。

しかしながら、銀メダルに繰り上げされる立場にあるトルコのエスレフ・アパク（英語版）は2013年に禁止薬物の使用により2013年6月8日から2015年6月25日まで2年間のドーピング禁止処分を受けており[9]、また、銅メダルに繰り上げされる立場にあるベラルーシのワディム・デフヤトフスキーは、2008年北京オリンピックでのドーピングに関して国際オリンピック委員会の訴訟対象となっていた[10][11]。エスレフ・アパクとワディム・デフヤトフスキーは2004年からドーピング違反で競技からの出場停止処分を受けていたため、銀メダルと銅メダルは再度授与せずに、IOCは銀メダルと銅メダルを該当者なしとし、メダリストは金メダルは室伏のみとすることを決定した。（ただし、結果の公式発表では、エスレフ・アパクが銀メダルなしに2位として、ワディム・デフヤトフスキーは銅メダルなしに3位としてリストに記載されている）[3][2][12]。

背景[編集]

本種目は1896年のオリンピック以外の全ての夏季オリンピックで開催されており、24回目の開催である。決勝進出の12人のうち7人は2000年のオリンピックにも出場した。7人は金メダリスト（1996年の決勝進出者でもある）ポーランドのシモン・ジョルコフスキ、銀メダリストのイタリアのニコラ・ビッツォーニ（英語版）、銅メダリスト（1992年の銀メダリストであり、1996年の決勝進出者でもある）ベラルーシのイゴール・アスタプコビッチ 、5位の（1996年の決勝進出者でもある）ロシアのIlya Konovalov、8位のチェコのVladimír Maška、9位の日本の室伏広治、12位のギリシャのAlexandros Papadimitriouである。直近の世界選手権の優勝者はシモン・ジョルコフスキ（2001年）とベラルーシのイワン・チホン（2003年）であった。イワン・チホン、2002年の欧州チャンピオンアドリアン・アヌシュ、2003年の世界選手権の銅メダリストで2003年に1986年以降の最高記録を出していた室伏広治が優勝候補とされた（室伏の2003年の記録は現在でも世界4位の記録となっている）[2]。

アルバニア、タジキスタン、トルコがこの種目に初出場した。アメリカはボイコットした1980年のオリンピックを除く全ての大会で出場しており、最多の23回目の出場となった。

出場資格[編集]

陸上競技の予選期間は2003年1月1日から2004年8月9日までであった。男子ハンマー投の場合、各国内オリンピック委員会は予選期間中に78.65m以上の記録を出した選手を最大3人までエントリーすることが認められた。国内にその基準を満たす選手がいない場合、74.35m以上の記録を出した選手が1人エントリーできた[13]。

競技形式[編集]

予選で各選手は3回投擲することができた。予選距離78.00m以上の記録を出した選手全員が決勝に進出した。この記録を出した選手が12人未満の場合は、上位12人が決勝に進出した。決勝では各選手は3回投擲することができ、その時点での上位8選手はさらに3回投擲することができた[1][12]。

記録[編集]

本オリンピック以前の世界記録とオリンピック記録は以下の通り。

世界記録 86.74  ユーリ・セディフ (URS) シュトゥットガルト (西ドイツ) 1986年8月30日
オリンピック記録 84.80 ソビエト連邦 セルゲイ・リトビノフ (URS) ソウル (大韓民国) 1988年9月26日

本種目で新記録は出ていない。

日程[編集]

全ての時間はギリシャ標準時 (UTC+2)

日 時間 ラウンド
2004年8月20日 9:15 予選
2004年8月22日 21:15 決勝

結果[編集]

予選[編集]

ルール: 予選基準 78.00 以上を出す (Q) または少なくともベスト12となると予選通過となる。

順位 グループ 選手 国 1 2 3 記録 注
1 B イワン・チホン ベラルーシ ベラルーシ 77.85 77.12 80.78 80.78 Q
2 A アドリアン・アヌシュ ハンガリー ハンガリー 79.59 — — 79.59 Q
3 B クリスティアン・パルシュ ハンガリー ハンガリー 77.43 80.50 — 80.50 Q
4 B 室伏広治 日本 日本 79.55 — — 79.55 Q
5 B プリモジュ・コズムス スロベニア スロベニア 76.97 78.81 — 78.81 Q, SB
6 A Markus Esser ドイツ ドイツ 76.39 75.29 77.49 77.49 q
7 B Libor Charfreitag スロバキア スロバキア X X 77.30 77.30 q
8 A イゴール・アスタプコビッチ ベラルーシ ベラルーシ 76.70 76.08 76.88 76.88 q
9 B Nicola Vizzoni イタリア イタリア 76.84 75.35 75.03 76.84 q
10 A エスレフ・アパク トルコ トルコ X X 76.74 76.74 q
11 B ワディム・デフヤトフスキー ベラルーシ ベラルーシ 71.69 74.81 76.72 76.72 q
12 B Karsten Kobs ドイツ ドイツ 76.69 X X 76.69 q
13 A Ilya Konovalov ロシア ロシア 75.40 X 76.36 76.36
14 A シモン・ジョルコフスキ ポーランド ポーランド 76.12 74.55 76.17 76.17
15 B Miloslav Konopka スロバキア スロバキア 74.42 X 76.16 76.16
16 A Olli-Pekka Karjalainen フィンランド フィンランド X 74.51 76.11 76.11
17 B Sergey Kirmasov ロシア ロシア 75.12 73.68 75.83 75.83
18 A Aléxandros Papadimitríou ギリシャ ギリシャ X X 75.55 75.55
19 A Oleksandr Krykun ウクライナ ウクライナ X 75.42 74.37 75.42
20 B Artem Rubanko ウクライナ ウクライナ 75.08 X X 75.08
21 B James Parker アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 73.15 74.09 75.04 75.04
22 B András Haklits クロアチア クロアチア X 73.51 74.43 74.43
23 B David Söderberg フィンランド フィンランド X X 74.14 74.14
24 A Patric Suter スイス スイス 72.45 X 73.54 73.54
25 B Yuriy Voronkin ロシア ロシア 73.47 71.97 X 73.47
26 A Stuart Rendell オーストラリア オーストラリア X 72.61 X 72.61
27 A Juan Ignacio Cerra アルゼンチン アルゼンチン 69.10 72.53 68.64 72.53
28 A Vítor Costa ポルトガル ポルトガル 72.47 72.44 X 72.47
29 A Roman Rozna モルドバ モルドバ X X 71.78 71.78
30 A Vladimír Maška チェコ チェコ 71.76 X X 71.76
31 B Ali Al-Zinkawi クウェート クウェート 70.67 71.06 70.68 71.06
32 B Dorian Çollaku アルバニア アルバニア 70.06 69.27 67.61 70.06
33 A A.G. Kruger アメリカ合衆国 アメリカ合衆国 69.38 68.03 X 69.38
— A Vladyslav Piskunov ウクライナ ウクライナ X X X NM
A ディルショド・ナザロフ タジキスタン タジキスタン X X X NM

決勝[編集]

順位 選手 国 1 2 3 4 5 6 記録 注
1位 室伏広治 日本 日本 79.90 81.60 81.16 82.35 X 82.91 82.91 SB
2位 該当者なし [note]
3位 該当者なし [note]
2 エスレフ・アパク トルコ トルコ 75.79 79.51 X 79.23 75.15 76.34 79.51 [note]
3 ワディム・デフヤトフスキー ベラルーシ ベラルーシ 78.67 78.82 X 75.41 76.61 X 78.82 [note]
4 クリスティアン・パルシュ ハンガリー ハンガリー 76.94 78.16 77.55 78.73 X 77.26 78.73
5 プリモジュ・コズムス スロベニア スロベニア 75.82 77.08 76.45 78.56 77.61 78.24 78.56
6 Libor Charfreitag スロバキア スロバキア 74.93 77.52 77.30 75.60 77.54 73.06 77.54
7 Karsten Kobs ドイツ ドイツ 75.72 75.97 76.30 76.30
8 イゴール・アスタプコビッチ ベラルーシ ベラルーシ X X 76.22 76.22
9 Nicola Vizzoni イタリア イタリア 74.27 72.97 73.02 74.27
10 Markus Esser ドイツ ドイツ 72.51 X 71.31 72.51
— アドリアン・アヌシュ ハンガリー ハンガリー 80.53 82.32 83.19 82.64 82.04 — 83.19 DPG[5]
— イワン・チホン ベラルーシ ベラルーシ X X 78.55 78.31 79.81 X 79.81 DPG[6]

note IOCは銀メダルと銅メダルを該当者なしとし、メダリストは金メダリストは室伏のみとすることを決定した（結果の公式発表では、エスレフ・アパクが銀メダルなしの2位として、ワディム・デフヤトフスキーは銅メダルなしの3位としてリストに記載されている）[3][2]。

出典[編集]

  1. ^ a b “Athletics at the 2004 Summer Olympics”. IAAF (2004年8月22日). 2023年5月1日閲覧。
  2. ^ a b c d “Hammer Throw, Men”. Olympedia.org (2004年8月22日). 2023年5月1日閲覧。
  3. ^ a b c “Athens 2004 Athletics Hammer Throw Men Results”. IOC (2004年8月22日). 2023年5月1日閲覧。
  4. ^ “室伏、繰り上がり「真実の金」 2004年アテネ五輪”. 日本経済新聞 (2019年11月14日). 2023年9月3日閲覧。
  5. ^ a b “IOC strips Annus of hammer gold”. CNN. (2004年8月29日). http://edition.cnn.com/2004/SPORT/08/29/olympics.doping/ 2014年4月8日閲覧。 
  6. ^ a b “IOC disqualifies four medallists from Athens 2004 following further analysis of stored samples”. IOC. (2012年12月5日). https://olympics.com/ioc/news/ioc-disqualifies-four-medallists-from-athens-2004-following-further-analysis-of-stored-samples 2023年5月1日閲覧。 
  7. ^ “Olympics 2012 drugs: Hammer thrower withdrawn over Athens test”. BBC News Online. (2012年8月3日). https://www.bbc.co.uk/sport/0/olympics/19116807 2014年8月17日閲覧。 
  8. ^ “Olympic drug tests: Four athletes stripped of 2004 Athens medals”. BBC Sport. 2012年12月5日閲覧。
  9. ^ “Esref Apak among 31 Turkish athletes banned for two years”. BBC Sport. (2013年8月5日). https://www.bbc.com/sport/athletics/23579781 2022年7月1日閲覧。 
  10. ^ “CAS Reinstates Olympic Medals for Hammer Throwers”. ESPN. (2010年6月10日). https://www.espn.com/extra/olympics/story?id=5271541 2022年7月1日閲覧。 
  11. ^ “CAS Reinstates Olympic Medals for Hammer Throwers”. FoxSports. (2010年6月10日). https://www.foxsports.com/stories/olympics/cas-reinstates-olympic-medals-for-hammer-throwers 2022年7月1日閲覧。 
  12. ^ a b “Athletics at the 2004 Athens Summer Games: Men's Hammer Throw”. Sports Reference. 2020年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年2月15日閲覧。
  13. ^ “2004 Olympic Games - Athletics Qualifying Standards”. GBR Athletics. 2020年10月21日閲覧。

外部リンク[編集]

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